表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三人の精霊と俺の契約事情  作者: 望月 まーゆ
三人の精霊と悪魔教団の書・序
58/217

おいしい香り

ゾロアスター教ーーそれは表向きは白装束を着た、 普通の宗教団体。

新聖教とは違い武装勢力ではなく、 端から見れば普通の新興宗教活動をしているように見えるので信者も普通の一般人である。


他の宗教と明らかに違うのは頭から被り顔が見えなくなるように白装束を身に付けて活動している事だ。


白装束には、 理由があるのだろうか・・・



ゾロアスター教は、 各地に点々としていて誰でも気軽に新興出来るとあってその勢力は拡大している。


ある地方は既にゾロアスター教に染まり礼拝の時間となると一斉に白装束を纏った人で溢れかえるーーその光景はまやさに異常だ。


ゾロアスター教の真の目的と活動については未だ不明である。


これだけ多くの人々が信じきってしまう謎の宗教団体、 それを司る神 エレボスとは。



★ ★ ★



太陽が水平線から顔を出したばかりの頃、何ともいえない美味しい匂いが迷い込んできた。


精霊はヨダレを垂らしながらやって来た。


「いい匂いなの、 お腹ぺこぺこなの」


ヨダレを拭きながらお腹に手をやってうなだれるエルザ。


「エルザは食べる事ばっかりね。 何か最近丸くなってきてない? お腹に肉がつんたんじゃないの」


リサがエルザのお腹に視線をやる。


「女の子は少しふっくらしてるのが可愛いの。 ガリペタよりはいいの」


ふんっと、 鼻を鳴らし自分の胸を触りながらリサの胸をジッと見つめるエルザ。


「胸は関係ないでしょ!! もうお風呂一緒に入ってやんないからね」


ふんっと腕組みをしてエルザから視線を逸らすリサ。


「えーん、 シルフィー」


シルフィーに飛びつこうとするが手で抑え込まれてしまったエルザ。


「ひどいの」


エルザは、 一人悄げているとまた一人美味しい匂いに誘われてやって来た者がいる。


「おはよ。 みんな今日は早いね」


「アーサー様、 おはよ」


「おはようございます。 アーサー様」


「アーサーさまぁ、 聞いてほしいの。 リサとシルフィーがあーー」


アーサーは、 エルザを「はい、 はい」と軽くあしらうと厨房を覗いた。


そこにはメーディアが可愛らしいエプロンを身に付けて慣れた手つきで朝食の準備をしていた。


「メーディアおはよう、 何かゴメンねご飯の準備とかさせちゃって。 何か手伝いしよっか」


「アーサーさんおはようございます。 いいえ、 大丈夫ですよ。 お客様をおもてなしするのが本来の私の仕事ですから。 お気持ちだけで充分です」


微笑みかけるメーディア、 出逢ってから初めてメーディアの笑顔を見た気がした。


「相変わらず素晴らしい香りなのだよ」


両手を広げて鼻から思いっきり息を吸って匂いを楽しんでいるような表情を浮かべているメイザース。


「おはようございます。 メイザース様、 間もなく朝食の準備が整いますのでもうしばらくお待ち下さいませ」


調理の手を止め、 頭を下げたままメイザースに挨拶をする。 これが本物のメイドなのかと感心する。 アーサーの家にもメイドや執事が居たがアーサーは引き篭もりだった為にほとんど顔を合わす事もなかったし、 実際居てもそこまで仕事ぶりを見ることもなかっただろう。


「アーサーさん達もどうぞお席に」



★ ★ ★


「ミーナのお兄さんと同じくらいおいしかったの」


満足そうに満遍の笑みを浮かべてお腹を膨らましているエリザ。


「朝から食べ過ぎよエルザ」


リサは、 お腹を膨れたエルザを見て呆れてため息を吐いた。


「どうりで最近、 ふっくらとしてきたと思いましたわ」


シルフィーは、 ゆっくり紅茶を飲みながら膨れたお腹のエルザを冷やかすように見た。


「メーディアちゃんの食事は実に美味しいからね。 ついつい私も食べ過ぎてしまうのだよ」


「ついつい食べ過ぎてしまうの」


メイザースの真似をして高笑いするエルザ。


二人意外は、 皆一同静かに食後の紅茶をすすっていた。


「メイザース、 これから俺たちは何をすればいいだ?」


ティーカップを置きながらこれからの自分達の行動を知っておきたいと疑問をメイザースに投げかけてみる。


「ん〜。 一度ゾロアスター教を見てみると良いのだよ。 潜入捜査なのだよ」


不敵な笑みを浮かべ紅茶をすする。


「潜入捜査・・・」


「大丈夫。 君たちだけではさぞ不安だと思い助っ人を呼んでおいたのだよ」


「呼ぶって、 海のど真ん中の孤島に? どうやってーー」


メイザースは、 壁に掛かっている時計に目をやった。


「そろそろくる頃なのだよ」


その時ーーどーんという外で何がぶつかる音がした。



ーー 何がぶつかったのか? ーー


誤字脱字修正しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ