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三人の精霊と俺の契約事情  作者: 望月 まーゆ
三人の精霊と光の精霊の書
34/217

思惑


世界は帝国が中心に動いている。

そして、全ての国々は帝国と和平交渉をしている。


この和平交渉は、帝国への忠誠を誓うものであり絶対服従の意味もあるのだ。


逆らえば武力行使され、小さな国など一瞬で滅ぼされてしまう。


そんな帝国でも恐れているのもがある。


一つ目が、妖精・精霊などの魔法である。

帝国による魔女狩りにより妖精族は壊滅し魔法は減少しつつある。


二つ目が、宗教団体新聖教である。

世界中に信者がおり、その信者が暴動を起こすのを帝国は恐れている。


三つ目が、竜魔族と呼ばれる、魔物や幻獣などの生物の脅威である。

特に竜族は伝説の生物で倒すのは困難である。



そして、今回メルル達の国 ホーエンハイムが目を付けられているのが二つ目に当たる宗教団体 新聖教の一部隊にあたる薔薇十字軍である。


新聖教の信者の事をクルセイダーズ・十字軍と言い魔法や魔術を操り禁呪にも手を出している怪しい団体なのだ。


その宗教団体のバックに帝国の関係者がいると噂されている。


帝国の脅威になる存在の相手に自分たちの仲間がいる。

裏切り行為が存在している可能性があるのだ。


帝国は、その事について一切触れられないでいる。 何故ならそれが公になれば国民に不安を与えかねない。

それと同時に帝国への不信感が生まれてしまう。


そうなると、和平交渉している国々が和平交渉を解除し更に手を結んで他国で連携をしてしまえばいくら帝国でも太刀打ちが困難になってしまうからだ。


新聖教のバックについている人物はそのことも計算に入れて活動しているのだろう。


今回、ホーエンハイムに襲撃しているのも本物の魔女の魔力を手に入れ、世界に新聖教の存在のアピールと帝国への脅しになると考えいる。


新聖教は、世界の常識を変え、自分たちの理想卿を創りあげようとしているのだ。


その為にはまずは圧倒的なチカラ、この世界で最高のチカラは竜か魔力。


現実的に手に入れやすいのは魔力・・・。



欲しいのは、魔女の魔力を手に入れること。



★ ★ ★



ホーエンハイムの国は、周りが海になっており断崖絶壁の上にある小さな国である。


断崖絶壁の岩山に阻まれ側面からの敵の進入はほぼ不可能、正面からの進入しか出来ないのである。


国の入れ口には大きな壁のような扉があり一度閉じれば、 国中の人間で引っ張って開けなればならない程の扉がある。


現在扉は閉まっていて何者の進入も許さない状態であり、 更に大天使 マリアの加護により空中からの進入も不可能である。


まさに頑丈なシェルターのような状態で薔薇十字軍の攻撃を防いでいるのだ。


大天使 マリアの加護は、絶対防御の一つで光の壁を広範囲に創り悪魔族、邪悪な魔力の者の進入を防ぐ効果がある。


この効果が切れてしまえばホーエンハイムは国の入り口の扉を破壊された時点で防御策は無くなってしまうのだ。


ホーエンハイムの自慢は、メルル率いるキャットハンズと呼ばれる騎士団だ。


レイピアと呼ばれる細身の軽量型の剣を操るスピードを活かした剣術が特徴の騎士団だ。


ただ、剣対剣ならば優勢に戦えるが魔法を使う相手なるとかなり分が悪い。


今、ホーエンハイムの国は現実何も出来ずに扉と加護で耐えている事しか出来ない状態なのだ。


メルルは、今後の展開を予測し一番最悪なのは加護が剥がれ、扉を破壊されることと判断した。

援軍を呼んで戦いになれば犠牲者が増えるだけである。


ならば今の現状を維持して長期戦に持ち込んだ方が相手は引くのではないかと予測したのだ。


今一番欲しい援軍は、新たに加護を貼り直してくれる魔法が使える人だ。


それが偶然にも居たのだ! 何たる幸運!


しかも、ルナの知り合いだ。

過去に何があったかは知らないがメルルはお構いなしに適当なそれらしき言葉で惑わす。


メルルの思惑通りルナは、和解して今まさにホーエンハイムに戻るのみとなった。


メルルは、現在の国王を王座まで登りつめさせた人物だ。

その術は、愛くるしい容姿と巧みな話術、そして状況判断能力。


今回もその全てが生きた。


喫茶店で、三人の精霊たちと出会った際もその愛くるしい容姿のおかげですぐに打ち解ける。


次に、ルナが三人の精霊たちと過去に問題があり協力するのは難しいと判断すれば巧みに誘導するような話術を仕掛ける。


結果、和解し三人の精霊たちとの協力に持ち込んだ。


これが、ホーエンハイム最高の騎士であり最高の指揮官 メルルの戦略なのだ。


メルルは言う。


「熱いものは冷めても食べられるにゃん。

なぜなら一度火が通ってるからにゃん」だと。



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