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三人の精霊と俺の契約事情  作者: 望月 まーゆ
第3章: 三人の精霊と俺の時空ラビリンス
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幸せの先に


コンコン

乾いた音が部屋に響く。


「はい」


「ルナ、入るわよ」


ルナの返事を待ってリサの声と共に三人の精霊たちが部屋の中に入る。


えっ?

ええーーー!!


「る、る、る、ルナよね?」


リサは驚きのあまり目がくるくる回っている。


「ええ、そうよ。何で?」


三人の精霊たちの反応に首を傾げるルナ。


「何でって、その・・・大きさが、」


三人の精霊たちが見たのは人間と同じ大きさになった純白のドレスに身を包んだ美しいルナの姿だったーー。


「ああ、だって・・・契約したじゃないの」


へっ?


「契約したら大きくなるの?」


「えっ?アーサーさんからまだ貰ってないの? ならまだあなた達と一緒に冒険者でいたのかもね」


「どーゆーことなの?」


エルザはチンプンカンプンで頭から煙が出ている。


「契約の指輪よ。この指輪をはめてもらった精霊は魔力を失う代わりに人間とほぼ同じになれるの」


銀色の綺麗な指輪を見せるルナ。


「アクセルはルナを精霊じゃなくお嫁さんに選んだんだね」


顔を真っ赤に染めて頷くルナ。


「アクセルは私を一人の女性として見てくれた事に凄く嬉しかった。

この指輪をはめてくれた時に本当に愛されてるんだと思った」


三人の精霊たちは目を細めて幸せに浸るルナを見つめていた。


自分たちもいつか大切な人に同じようにその指輪をはめてもらえる日が来る時を信じて。


羨ましい?

ちょっぴりそれもあるけど・・・

正直独り占めはできない。


だって私たちは三人で一人前だから。







華やかなに契約式は行われた。

ホーエンハイムの国を挙げてのイベントに、

アクセルとルナは祝福された。


ルナのあまりの美しさに皆が惚れ惚れするほどだったーー。



アーサーと精霊たちもアクセルとルナに招待されて、契約式を最後まで参加した。


三人の精霊たちは友人の晴れ姿を心から祝福していた。


式典もひと段落し落ち着いた頃、

アクセルとルナから呼び出しがあったーー。



「すっかり長居をさせてしまってすまなかったな。ルナがどうしても精霊たちに祝ってほしかったみたいでな」


「いいえ、ウチの精霊たちも喜んでたよ」


「ところで、聞きそびれていたんだが、

アーサーたちの今回の目的はなんだい?」


「ーーーー!!」


精霊たちと顔を見合わせるアーサー。

明らかな動揺を見せる精霊たち。


アクセルとルナは不思議そうな表情でアーサーと精霊たちを見つめている。




忘れていた・・・・・・



「あっ、、えっと・・・」



全身から汗が吹き出る。


ホーエンハイムを、友達を助けることで本来の目的を忘れていた。


いかに自分が無知であったか、何も考えないでその場凌ぎで過ごして来たかが今ようやくわかった。



「何だい?言いにくい事なのか。友達じゃないか、遠慮なく何でも話してくれよ」


アクセルがポンとアーサーの肩を叩く。

無垢な笑顔、ニシシシとイタズラに笑う。


今のアーサーにはその笑顔が辛い。


言える訳がない。

たった今、幸せを掴んだばかりの二人に。


さっきまであんなに自分たちも手を叩き心から二人の幸せを祝福していたんだ。


運命とはこんなにも残酷なのか・・・


同じ立場でこの場でその台詞を言える奴がいたらそいつは本当の意味で悪魔だ。


俺には絶対に言えない。



ルナと契約をするために来たと・・・。



アーサーは手で口を塞ぐ。

驚愕の事実に直面する。

徐々に血の気が引いていくのが自分でも分かる。



もしも、ルナと契約を本当にしたいのならば俺たちはホーエンハイムを見殺しにしなければならない。



または、アクセルにルナと契約するなと告げるしかない。


俺に言えるのか?


面と向かって、自分の事を友人だと言ってくれる人間に言えるのか?


たった今、幸せを掴んだ夫婦を引き離すことができるのか?


アーサーの脳裏に先ほどのアクセルとルナの結婚式のシーンが頭を過る。




答えはノーだ。





結局は、二人は結ばれない運命という選択肢しか残っていない。


リセットされるということは、全て無かったことになる。


「ア、アーサー?」


アーサーの涙腺は崩壊した。

ダムが決壊したように涙を流した。



ルナと契約出来なかったことでいずれこの世界はリセットされ、アクセルとルナの結婚式は無かったことになる。


アクセルとルナはもう永遠に結ばれる事は無い。


アーサーの思考は三人の精霊にも共感覚で伝わる。


落胆の表情を浮かべる三人の精霊たち。


彼女たちもまた理解したのだ。


この幸せな時間はもう二度と彼女には訪れないということをーー。




いきなり袋小路にハマってしまったーー。


毎日投稿が困難となり、不定期投稿となります。

今までと変わらぬご愛読よろしくお願いします。

なるべく早めの投稿出来るように致します。

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