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三人の精霊と俺の契約事情  作者: 望月 まーゆ
三人の精霊と帝国事変の書
190/217

真理の刻①

「アーサーさん、お話なら直接会わずに水晶で良かったですのに」

「いやいや、私たちはにゃかにゃお会いできにゃいですから嬉しいですにゃ」


腰まで伸びた紫色の髪と透き通るような青い瞳の女性と鎧を身に着けた猫が邸宅の玄関で出迎える。


ここはホーエンハイム城の敷地内にあるリリスの住んでいる邸宅。

悪魔祓いや加護などが張り巡らされている。

護衛で今はメルルと同居している。


アーサー達は、早速昨夜の出来事の話をリリスに聞きに来たのだ。


「あら?精霊ちゃんたちは」

「ああ、多分ルナのところだよ」


その言葉に目を細めるリリスとメルル。


「ルナちゃんもきっと喜びますにゃん」


目を潤ませるメルルだったーー。


☆ ☆ ☆


「ミランダお姉様がねえ」

「はい。それと精霊たちが言った言葉が気になります」


リリスとメルルが目を合わせる。

二人同時で頷き、メルルが告げる。


「アーサーちゃんには本当にお世話になったにゃん。何か恩返しをとずっと思ってましたにゃん。今回の件は我われも協力させてもらいますにゃん」


「はい。先ずは反帝国バンディッツとレムリア国の関係には関しては、エレナとケイトに聞いてみましょう」


エレナとはリリスの妹で魔女の国クリスタルパレスで起こった魔女狩りで姉妹離れ離れになり、五年後に再開した。

現在は、元帝国聖騎士で反帝国バンディッツ所属兼ソルジャーハンターのケイト・ローレントと旅をしている。


リリスが通信用水晶を覗き込む。

水晶の中で砂嵐の歪んだ映像が徐々に鮮明化していく。

水晶の向こう側にぱっちりした青い瞳がドアップに写しだされた。


「ああっ!もう、エレナ近い近い」

「ああ、お姉ちゃんハロー」


水晶の向こう側で笑顔で手を振る、

リリスの妹エレナ。

肩までの紫色の髪に青い瞳はリリスよりも目がぱっちりしている。


「相変わらず元気ね。ケイトさんはいらっしゃる?」


「うん。待ってて」


エレナが大きな声でケイトを呼ぶ声が聞こえて、数十秒後にメガネをかけた髪がボサボサで頬に絆創膏を貼った冴えない男が水晶の前に現れた。


「お久しぶりです。妹がお世話になっております」


「いえいえ、とんでもないです。何かご用意ですか」


(水晶の見えないところで、エレナの私が世話をしてやってるんだよと言う声が聞こえる)


「私と言うより、アーサーさんが聞きたいことがあるのよ。代わるわね」


そういうと、リリスは左目をパチンと閉じてウインクしながら水晶をアーサーに手渡す。


「お久しぶりです。お元気そうで何よりです」


「ああ、色々噂を耳にしているよ。

なんだい聞きたい事って」


アーサーは深妙な顔つきでケイトに問いかける。


「反帝国バンディッツとレムリア国の接触についてです」


ケイトの顔が明らかに変わったのが水晶越しの映像でも分かった。

まるで、土足で踏み入れてはいけない領域に足を入れてしまったかのような険しい顔をしている。


「ーー君からの通信で何となくは予想していたけどね」


そう言うと、覚悟を決めたのか眼鏡を押し上げた。


「結論から言うと、レムリアと反帝国バンディッツを締結関係を結んだ。これはレーベンハートさんが交渉した案件だ」


「そもそもレムリアってどんな国なんですか?」


ケイトの顔が複雑な表情に変わる。


「国という規模ではないが、現世界では最小規模の都市国家だ。国には教会のみがあるだけだ」


「教会があるだけの国・・・」


「レムリアは表向きの顔、裏は新聖教の本部でレムリア祭壇だ」


水晶から聞こえたケイトの声はリリス、メルルまで聞こえていた。

余りの衝撃的な話に三人は固まった。


「レーベンハートさんはそれを知ってて、協力関係を結んだんですか」


ケイトは首を横に振りながら、


「それは俺にも分からない。ただ、作戦コードは確実に実行される」


「作戦コードって何ですか?」


「アーサー、君だから俺は、包み隠さず全て話してる。君を信頼しているからね。

ただ、ここから先は水晶の逆探知や誰が聞いてるかも分からないので、直接会って話をするよ。それにいずれ同じ道を歩むことになるかもしれないのでね」


「同じ道・・・ですか」


ケイトにホーエンハイム城にいる事を伝えると、近くの街で馬車を借りて半日程で来てくれる事になったーー。



ーー ケイトが語る作戦コードとは ーー

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