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三人の精霊と俺の契約事情  作者: 望月 まーゆ
三人の精霊と帝国事変の書
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マーリンの誤算

マーリンは何度も世界の崩壊を見てきた。

その行く手には必ず、新聖教団という壁がそびえ立っていた。


何度、時の砂の魔法で時間を戻し人生をやり直しても必ず、世界の崩壊は防げないでいた。


この崩壊を防ぐには何が絶対的に足りないと感じたのだ。


「自分たちの手では防げないなら誰かに未来を託せば良いのでは」


マーリンは今まではシーサーと出会った時をスタート地点でのリスタートを繰り返して来た。シーサーこそがこの世界を救う鍵と考え、生き残れば良いと考えていた。


ーー結果はいつも世界の最期を見せられた。


そこでマーリンが思いついたのは、ペンドラゴン家にソロモン王の力を色濃く後世に伝える事と、その末裔の情報を新聖教団に知られる事なく育てること。

表向きはシーサーが鍵と見せかけて、その末裔が本命の鍵とする考えだ。


更に、マーリンは世界の崩壊を誘発させる人物たちを自ら監視する事で、未然に防ぐことを考えた。


それが「円卓の魔導士」だ。


まず、マーリンが声をかけたのがシーサーと親交のあったメイザースだ。


彼は秘密結社アルファを設立したばかりだったが、この時点で既にデーモンズゲートへの扉に触れていた。


次に、メーディア。彼女の場合はメイザースの監視役だ。シーサーと契約を結んで思考リンクさせて常にメイザースの動きを見ている。これでデーモンズゲートに近付けなくさせている。


クリスチャン・ローゼンクロイツ。

薔薇十字軍の真の支配者であり、福音の会の設立者。彼は悪魔でさえ自分の支配下に従えた。ルシファーを操り、グリモワールを使いこなし世界の崩壊を誘発させた。


その為、目の届く範囲内で行動させ少しでも動きを制限させていた。



アレイスター・クローリー。

ゾロアスター教の指導者であり、黒魔術や禁呪等の禁止魔法や魔法省の法令違反を繰り返してきた前科持ち。

見た目は少女だが、噂によると禁止魔法等や悪魔に身体を憑依され歳をとらなくなったと言われている。

クローリーはメイザースとローゼンクロイツと手を組み共謀し世界を破滅に向かわせていた。


そこで世界で初めての「特定人物観察指定」処置されたのだ。

この制度は24時間365日この人物を監視する制度だ。

まさに、クローリーの為だけに作られた制度なのだ。


マーリンの見てきた未来には必ずと言っていいほどこの三人が絡んでいた。


この三人の接触が無ければ世界の崩壊は訪れないと考えていたのだ。



今回のマーリンの考えは完璧だった。



ーーしかし、想定外の出来事が起こる。


『魔女狩り』『ホーエンハイム襲撃事件』


そして、最後の大誤算はマーリンが鍵となる筈だった人物によって自らの命を消されてしまった事だ。



私は何度も何度も見てきた。

同じ体験を何度もしてきた。

だけど、今回だけは違う最期を迎えた。


もう、戻らなくて良いよね。


あの子たちならきっと歴史を変えてくれる。


何百年かけてやっと訪れた最初で最後の奇跡を私に見せてほしい。



ーー 私は最期の時まで見ているわ ーー

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