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三人の精霊と俺の契約事情  作者: 望月 まーゆ
三人の精霊と帝国事変の書
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集結

がらんとして何もない石畳と絨毯の奥まった闇へ、高い窓から射し入る光の光線がステンドグラスの加減で、虹にも似た幻想的な色を映し出している。


「やあ久しぶりだね、クローリー。噂だけは色々と聞いているよ」


虹色の光を浴びてまるで影から浮かび上がるように現れる。


「そのまま全部返すよローゼンクロイツ。お互い真っ黒な話しか聞かないね」


両手を広げ肩を落とすクローリー。


「こうして話をするのはいつ以来だろうか」

「さあね。第1次悪魔大戦?かな」


「おやー。お二人さんお早いですねえ」


渇いた靴音が礼拝堂に響き渡る。


「こちらから呼んでおいたのに逆にお待たせしてしまい申し訳ないのだよ」


ニヤニヤと愛想笑いを浮かべる。


「ーーこの三人が揃うってことは、いよいよって感じか」


「お前の説が正しかったってことか?」


「はい。お二人さん準備に入って下さい。作戦コードネームはグングニルとでも言っておきますかねえ」


「グングニルねえ」


クローリーは笑みを浮かべる。


「これはただの大戦ではない。私たちが新しい時代を創るための聖戦さ」


「作戦コードネーム グングニル決行だ!」


ローゼンクロイツが強く叫んだ。

武者震いが止まらないクローリーだった。





* * * * * * * * * * * * *



何度も同じ事を繰り返している感覚になることがある。

または、前にも同じことを経験した感覚。

前にも見た・聞いた・知っている。

謂わゆる『デジャブ』という経験。



メイザースはこの体験が頻繁にあるのだった。


そして、必ず同じ場面で終わりを迎え、また最初に戻り繰り返すという経験だ。


何の根拠もないがおそらく何らかの魔法等による副作用と考えていた。


自分の体に魔法の効果を消す術式を編み込んでも効果は無かった。


「うーん。困りましたねえ」

「メイザース様、何かお困りですか?」


銀色のショートヘヤーで両サイドを三つ編みにして赤いリボンで留めているメイド服を着た女の子、メーディアが腕組みをしているメイザースの顔を覗き込んだ。


「これはこれはメーディアちゃん。私事の話なのだよ」

「そうですか、お役に立ちませんか」


悲しそうな表情を浮かべるメーディア。


「ーーでは、コーヒーを淹れてくれるかな」

「はい、喜んで」


メーディアは嬉しそうにキッチンへと駆け出した。




メイザースの『デジャブ』は必ず同じ事を繰り返している。


夢か現実か稀にわからなくなる時もある。

それほどリアルな体験なのだ。


メイザースはある意味で未来を体験しているのだった。


これから先起こることが分かる。

今まではそのシナリオ通りに動いていた。


ーーなら、


メイザースはそのシナリオを覆してみる事にした。


「やはり思った通りですねえ」


メイザースの考え通り、結末は違う最期を迎えてまた元に戻る。


「未来は変えられる?」


メイザースは少しずつ試行錯誤を繰り返していろんな結末を迎えてみた。


そして、自分だけの最高のラストを飾る事が出来たのだ。


「この未来は何としても成し遂げたい。

いや、成し遂げなければならない」


それからメイザースは魔法研究に没頭する。

有りとあらゆる魔法に関する情報を手に入れて自分に怒っている『デジャブ』について徹底的に調べた。



ーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー


ーー




「私もその経験ありますよ。偶然ですね」


「えっ、何度も同じ事を繰り返している感覚なのだよ。現実なのか夢なのか分からなくなる感覚なのだよ」


「ええ。最近は特にこの感覚が強くなっているように感じるね」


不敵な笑みを浮かべるローゼンクロイツ。


「・・・身近に同じ体験をしている人物がいるとは思わなかったのだよ」


メイザースは同じ魔法研究をしているローゼンクロイツにこの体験を打ち明けたのだった。


ローゼンクロイツも同じようにこの『デジャブ』を体験していたのだった。


そうなると、他にもいるのではないかとメイザースは円卓の魔導士全員に声をかけて聞いてみた。


ーーしかし、ローゼンクロイツ以外に他は誰もいなかった。


「私とローゼンクロイツのみですか」


結局何の糸口も掴めずに肩を落とすメイザース。


アヴァロン城から出ようとした丁度その時に黒いローブを頭から被った少女とすれ違う。


( そーだまだクローリーにだけ聞いてないな。ダメ元で聞いてみるか)


「やあ、クローリー話があるのだが」


「あん?何だ、メイザースか。何の用だ」


メイザースが『デジャブ』について聞いてみた。


ーーすると、


「確かに同じような体験をしていると思っていたよ。気のせいかとずっと思っていた」


クローリーは顎に手を当て思い出していた。


メイザースの中で一つ仮説が成立した。

アヴァロン城の中で何かある。


こんな身近で三人も奇妙な体験をするとは考え難い。


そして、この三人の共通点を探る。



魔法・魔術・秘術・悪魔召喚等の研究。



それなら幾らでも他の人がやってきているはず、なぜ円卓の魔導士から三人も・・・。


そもそも円卓の魔導士の選考の理由はなんだ?




円卓の魔導士の目的は何の為だ?








ーーメイザースは辿り着いた真実にーー


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