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叙情詩
鳴り止まむ爆発音の中、駆け出した。
それはこの暗い現実から逃げ出す為、先の見えない未来からの逃避行だった。
宛のない路かもしれないが二人ならきっと乗り切れると信じていた。君がいれば自分は何度でも蘇り守ってみせるとーー。
暗闇の中で目の前の光さえ見えない、爆煙と砂埃の入り混じる戦火で、君という光が明日を導いてくれる限り、僕は歩き続けるだろう。
繋いだ手は離さない。何度握り返しただろうか。その度、君は何度も微笑んでくれた。
その笑顔に僕は何度救われただろう。
さあ、共に行こう。
この先に絶望という未来しか待っていなくても君さえいれば僕は生きて行ける。
ーー ロイ・ハロルド ーー




