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三人の精霊と俺の契約事情  作者: 望月 まーゆ
三人の精霊と精霊ミリア物語
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精霊ミリア物語①

「この辺が非常に臭うのデス。ヨダレが出てしまうほど濃く、それでいてデリシャスな匂い」


滴り落ちるヨダレを腕でで拭く悪魔。


「これさえ物に出来れば私のチカラもこちらの世界で発揮出来るのデス。忌々しいデーモンズゲートのおかげでチカラのほとんどをあちら側に置いて来てしまった故、この様な面倒臭い事に・・・」


感情を剥き出しにし爪をバリバリと噛む悪魔。


「サタンサマ、せいれいヲハッケン」


「ほほう、良くやった。案内しろ」


悪魔サタン、冷酷非道の邪神。





* * * * * * * * * * * * *




ーー 神秘の森 ーー



「いる、居る。精霊が多量にいる。お前達よく見つけた。後で数匹貴様らにも褒美としてやるぞ」


ヨダレを拭いながら神秘の森にいる精霊たちを見つめるサタン。


「キィィィーー」


その言葉を聞き気味の悪い笑みを浮かべるデビル。


「ーー世界樹の加護も届かない場所にわざわざ出てきてくれるのは絶好のチャンスだ。この機を逃したらもー捉えることは出来ないかもしれないのデス」


コクリコクリと頷くデビル。


「他に捜索に行った連中も呼び戻しなさい。この森にいる精霊を全匹捕まえるのよ。生きたまま私の前に差し出しなさい。良いデスね」


「キィーー!!」


その鳴き声を残し姿を消すデビル。



「グフフ、何匹捕まえられるかしらデス」




☆ ☆ ☆ ☆



ーーその頃、神秘の森での五人一組の戦闘訓練が行われようとしていた。



「先生!! 何で私がこの三バカと同じチーム何ですか」


ルナが物凄い剣幕で先生に抗議する。


もちろん、 三バカとはリサ、エルザ、シルフィーのことだ。


「チームのバランスを考えて、 成績優秀で歴代の精霊でもトップクラスの貴女がこのチームに入るのが一番バランスがとれるのよ。

我慢して下さいね」


先生も、申し訳なさそうに慰さめるようにルナを説得している。


ルナも渋々といった雰囲気で、 先生から離れ、 チームに戻りながら三バカを思いっきり睨み付けた。


リサ、シルフィーはその視線を逸らさず受け止め、 「ふんっ」といった感じでルナを突き放した。 エルザは二人の陰に隠れて怯えていた。



☆ ☆ ☆ ☆



「あなた達、足引っ張らないでね」


「ルナ! そういう言い方しないの。せっかく同じチームなんだからみんな仲良く協力してやろうね」


「ミリアは優し過ぎるんだよ。もうっ!」


ミリアは、茶色の髪でふんわりボブカットの清楚な雰囲気を出している。世話好きでルナとミリアは幼なじみで凄く仲が良い。


いつも二人でいて気の強いルナは、周りから反感を買いやすいがミリアがいつもサポートして揉め事がおきない。


ミリアの前だとルナも大人しくなってしまうほどミリアは、みんなの心を癒してくれる存在なのだ。


「私とミリアで攻撃を仕掛けるわ。エルザとリサは、障壁準備ね。シルフィーは、私とミリアの援護をしてちょうだい」


「・・・私の・・その」


リサは、障壁の事を言いかけたーーまさにその時だった!!


「ーー ルナ来るわよ!!」


「エルザ! 障壁準備!!」


「えっ? えっ? なの、なの」


エルザは、パニックになり何をどうして良いのか分からなくなっている。


「ーーーー。リサ!」


エルザのパニックぶりに無理だと判断しリサに障壁をお願いする。


しかし ーー、


「ーーーー?!」


「・・・・リサ?? 」



ルナが振り返るとリサは、下を向きぼーっと立っている。


無理も無い。リサの障壁は物理的な条件下の中でないと発動出来ないのだ。


それを説明しようと思って最中の襲撃だったのだ。


ミリアが何とか敵の攻撃を回避させた。


ルナが怒りを露わに振り返ると、


「どういうつもりなの?! ヤル気がないの?あなた達がそういう態度ならこっちはどうすれば良いわけ? 」


鬼の形相でエルザとリサを睨み付けルナが怒鳴り散らす。


「今のは流石に私もフォロー出来ないわよ」


ミリアも肩をすくめて呆れた表情をする。


「・・・けど・・・私の・・・」


リサが申し訳なさそうに弁解をしようとするが、


「ーー 言い訳なんて聞きたくない!!

ミリアと二人で勝手にやらせてもらうわ」


リサ達は、その言葉に対して何も言い返せなかった。


「ごめんなさいね。私もルナの意見に賛成なの。やる気のない人達とはやりたくないわ。あなた達はここで見学していて良いわよ」


そう言い残しルナの元に駆け寄り二人で仲良く何やら作戦でも立てているようだった。


取り残された三人は置物のように静かにただ呆然と立ち尽くしていた。




ーーその時、森に爆音が轟いた。

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