S.タピオカミルクティー
平穏な日常。
ある日のミーナの喫茶店にて。
「たちおか・・・なの?」
「ち・が・う!タピオカ!!」
「うんんんんんん」
リサが「ち、ち、ち」と人指しを立てながらエルザに向かって得意げに言う。エルザを顔を膨らまし悔しそうに口を尖らせている。
「それにしても、とても美味しいですわ」
怪しげな黒い塊が入っているドリンクをストローで飲み。笑顔を浮かべるシルフィー。
「な、、何?その怪しげな黒い物体は??」
アーサーは初めて見るタピオカに軽べつ的な冷ややかな視線を注ぐ。
「タチオカなの。もちもちなの」
「TA・PI・O・KA!言い方をカタカナにしても間違ってる!!」
「あううう・・・なの」
リサの鋭いツッコミに後退りするエルザ。
( カタカナの言い方って・・・)
思わずツッコミを入れたいけど我慢してスルーしたシルフィーだった。
「干しぶどうじゃないの?本当に美味しいの」
アーサーはじーーーっと、目を細めてシルフィーの飲むタピオカミルクティに視線を注ぐ。
自分の飲んでいる姿をじっと見つめられてシルフィーは照れ臭そうに顔を真っ赤にしている。
「帝国の女子には今凄く人気で、タピオカ専門店も出来る程なんですよ。この大きな黒い粒が印象的ですよね。コレは謂わゆるデンプンです。もちもちした食感でほんのり甘いんですよ。アーサーさんもどーですか?」
エプロン姿のミーナがアーサーに挽きたてのコーヒーを運びながら、タピオカについて説明する。ミーナはいろんな地域に足を運び、料理の研究をしている。最近の料理のトレンドをいち早く取り入れている。
「・・・僕はコーヒーでお腹いっぱいだよ」
顔が引きつるアーサー。
ーーそれを見て、
「ええ、これ本当に凄く美味しいのにタチオカ」
エルザが人指しを立て「ち、ちっ」と得意げに、
「TA・CHI・O・KAなの!!」
「もーどっちでも良いーー!!」
シルフィーの雄叫びがミーナの喫茶店に響いた。
ーー そんな平穏な日常である。ーー




