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三人の精霊と俺の契約事情  作者: 望月 まーゆ
三人の精霊とバルティカ戦線の書
159/217

リーダーの資質


人類はまた、同じ恐怖を味わうこととなったーー。


数百年前に最強と謳われた伝説のパーティー【angel of eyes】、そして伝説の勇騎士サーガによって封印されたと思っていた。


もう二度と目覚めることなどあり得ないと。



☆ ☆ ☆



バルティカ共和国全土へと響き渡った咆哮で人々の脳裏から消えさられていた恐怖は思い出された。


今、現在生きている人々はこの咆哮や数百年前の出来事など知る由もないが本能や受け継がれてきたDNAでそれが危険かどうか判断した。ーー危険だと。



国中至る所で、パニックになっていたのは言うまでもない。


バルティカ戦線は崩壊し、人間は竜魔族に敗北するーー。


老若男女問わず、全ての人間がそれを察したのだ。


そして、出した答えがーー、


一刻も早くこの国から脱出しろ!!





* * * * * * * * * * * * *



「セ、セントラルコントロール、セントラルコントロール応答願います!!セントラルコントロールーー!!」


慌てふためく中央本部ーー兵士の通信を無視して中央本部の幹部の役人たちは頭を抱えていた。


「本部長おおおーー!!!」


荒い足音を響かせ、力一杯作戦司令室のドアを開けた。


「この無礼者!何事だ」


総本部長ダグラス・クルーニーに仕える役人が先程入って来た兵士に怒鳴りつける。


「ーーどうした?」


「はっ、国民たちが一斉に大移動を始め国中至る所で争いが起こっております。兵士たちが仲裁に入っておりますが、一向に収まる気配がありません」


「それを治めるのが、お主たちの役目だろ」


呆れ顔で鼻を鳴らす役人。

「まあまあ」とダグラスが役人の肩に手をポンと乗せると、


「状況はこちらにも入ってきている。一刻も早く元凶を潰さねばならない。しかし、今や策も尽きた・・・百年続いたこのバルティカ戦線も終止符が打たれる時が来たのかも知れん・・・」


「ほ・・・本部長」


ダグラスの言葉に司令室にいた全ての役人たちが耳を傾けていた。その言葉を聞き重苦しい空気が立ち込めていた。


常に前を歩き、バルティカの壁を守ってきた男のまさに敗北宣言とも捉えられる言葉に最早誰も反論することが出来なかった。



その時だったーー、


階段を上ってくる無数の足音がバルティカの壁に響き渡るーーそれはまるで行進しているかのように徐々に近づいてくるのが、司令室にいる役人たちの耳にも聞こえてきた。





そして、司令室のドアが開かれたーー。



「き、・・・君たちは?」


ダグラスは言葉に詰まったーー。

目の前に現れた見慣れぬ連中、その中から一人の少年がスッと前に出た。


「ここにいる皆さんが僕たちが待ち望んだ希望です」


ロビンは両手を広げダグラスに紹介する。それと同時に小柄な少女がロビンの隣に歩み寄る。


「遅くなり申し訳ございませんでした。アヴァロン魔法騎士団団長、リンスレット・ローエングラムと申します」



リンスレットが頭を下げたのと同時に他のメンバーも一緒に頭を下げたーー。



「・・・では、彼女たちがあの円卓の魔道士」


「はい、僕の同志です!」


騒つく作戦司令室、その中の一人が思わず口をこぼす、


「あんな子どもの女の子が団長?」

「アヴァロンも落ちぶれたものだ」


その言葉にロビンが反応する。


「おい!今の誰だ?俺を馬鹿にするのは構わないが、リンちゃんを馬鹿にするのは許さねーぞ!!」


「彼女は誰もが認めるアヴァロン魔法騎士団の団長です。実力もそして人間として皆に慕われています。誰よりも努力しこの地位を手に入れたのです」


メーディアがロビンの前に右手を広げ制止するように前に出た。しかしその口調は穏やかではない。


「ふんっ、自分たちの国も守れない奴がどの口を叩く」


キルケーが腕を組みながら挑発的な態度をとっている。その言葉に司令室にいるバルティカ共和国の役人や兵士たちの表情は見る見る変わっていった。


「貴様らーー」


ダグラスの隣にいた役人が徐々に歩み寄って来る。


「んだ?やるのか?私を誰だと思っているーーっんぐぐ」


キルケーの口を塞ぐ手ーー、


「よしな!あんたらもこんな事で争ってる暇は無いんだろ?」


ふわふわと空中を浮遊しながら澄ました視線を役人に送る。


「・・・ああ、」


確かにと肩を落す。それと同時に再び沈黙と重苦しい雰囲気に包まれる。


「私たちの目的は、バルティカ戦線の援護である事には変わりはない。ただし、先ほどの団長への発言は謝罪してほしい。円卓だのアヴァロンだの私には関係なのだけど、一人の人間として許せなかったのでね!!」


氷のように突き刺さる視線ーー、その瞬間にバルティカの役人、兵士全員が分かった。


この人たちは正しく選ばれた円卓の魔道士だと。


そして、自分たちとは圧倒的にレベルが違うんだと・・・。


「先ほどの発言・・・申し訳ございませんでした」


二人の兵士が生唾を飲み込みながら頭を深々と下げた。一瞬で空気感を変えられる圧倒的な存在感、それが円卓の魔道士。


アヴァロン王シーサー・ペンドラゴンが自ら選んだ魔法のスペシャリストたちなのだ。


「このバルティカ戦線に終止符を打ちに行きます!」



リンスレットのはっきり大きな声がバルティカの壁に響いたーー。



ーー 円卓の魔道士バルティカ戦線に立つーー

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