表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三人の精霊と俺の契約事情  作者: 望月 まーゆ
三人の精霊とバルティカ戦線の書
158/217

混沌


ーー押し寄せる感情の波が彼女の身体を蝕んで行く。


それは、怒りであったり哀しみであったり、いろんな感情が混沌となり彼女自身も表情のコントロールが出来なくなっていた。



意識を失い、目覚めた時には全てを破壊し尽くしていた。


幾度となく文明が築いてもまた、壊れていくーー。


その中心にはいつも自分が居たこと。

彼女自身は、気づいていない・・・


いや、本当は心のどこかでは気づいていたかも知れない。



暗い狭い部屋で、人間の姿をしたエキドナは俯きながら膝を抱えている。


目を閉じ、小刻みに身体を震わせていた。


時折、瞼の裏に写る自分とは有り得ない自分。全く記憶の無い空白の時間。


ーーもし、また眠ってしまって目が覚めたら何もない世界だったら・・・。




コワイ。





全て失う。





今の私から大切なモノを奪わないで。






俯く視線の先に問いかけるーー。

エキドナは更に小さく丸くなり顔を伏せた。





ずっと忘れていた・・・?


無かった事にしていた・・・?


違う、違うと膝を抱えながら首を左右に振るエキドナ。


分かっていた・・・?


知らない振りをした・・・?


目を閉じ、耳を塞ぐーー聞きたくないよ!!!





「本当は、分かっていたんでしょ?」




「自分の正体に・・・?」



耳を塞ぎ、目から大粒の涙を流しながらまるで、見えない何かから必死で抵抗するように首を左右に振るエキドナ。


「愛する家族には気付かれなくない?」


「本当は、気づいてるんじゃない?」


もう辞めて!!エキドナは地面に顔をつけて崩れ堕ちた。



「アポカリプスの正体は、あなただって」





エキドナの泣き叫ぶ声がバルティカ共和国全土へと響き渡ったーー。



その声は、かつてのエキドナの声とは程遠い、憎しみと邪悪が混沌とする咆哮だった。


それは、悪戯に惨殺された神竜たちが待ち望んでいた声でもあった。



死体は笑ったりはしない・・・だが、微かにニーズヘッグの口元が微笑んだのを誰も気づいてはいなかった。





ーー 邪竜アポカリプス復活 ーー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ