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三人の精霊と俺の契約事情  作者: 望月 まーゆ
どーなっつ&コーヒー
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S・属性別相性占い


精霊には、いくつのかの属性に別れている。その系統によって性格が決まるわけでは無いし、相性が良い悪いも決まらない。ーーが、苦手な人は誰でも一人はいる筈だ。


属性は、大きく分けて六系統ある。炎・水・地・風・光・闇に分類させる。炎は水に弱いなどと言われているが実際のところは全ての属性はイコール(同じ)らしい。


世界には、この属性以外にも数多くの魔法が存在する。中にはまだ発見されてない新しい魔法もあるかもしれない。


『人が想像出来る数だけ魔法も存在する』と言われるらしい。


これはそんな属性と相性のお話です。





* * * * * * * * * * * * *



「何度同じことを言ったら分かりますの。ウチのクラスが最下位なのはご存知かしら?」


「ーー知ってるわよ」


「もう少し真剣にやって下さいますかしら。出来ないなら努力して下さいませ」


「・・・私は、私なりにーー」


その言葉を聞き表情をむっとさせ、


「な・に・か? おっしゃいましたか!」


「いいえ。 努力します」


「次回は、頼みましたわよ」


水色の髪の毛をツインテールにしてハキハキと物事を喋るのは水の精霊でクラスのまとめ役のクラリス。水の精霊の中でもトップクラスの実力者だ。


「リサ、大丈夫なの? またリサに文句言ってきたの?」


一部始終を見ていたエルザが心配で駆け寄る。心の中では自分じゃなくて良かったとホッとしている。


「ーーだけど、私が上手く魔法が使えないのが悪いから」


「それでも言い方ってのがあるわ。あれでは文句を言われてるとしか(とらえ)えられないわ」


シルフィーも現れて腕を組んで顔を膨らませている。


「エルザだってあまり上手く出来なかったのに怒られなかったの。リサだけなの」


「ーー確かに、私も正直成績は良い方ではありませんが怒られるのはいつもリサだけですわね」


「・・・クラリスに嫌われてるのかな?」


リサは悲しそうな顔になり一人下を向いて歩いて行ってしまった。


「ーーリサ」




いつか私にも人間のパートナーが出来てその人にこの身を捧げ永遠の愛を誓う。


それが精霊にとっての一番の幸せ。


だけど、パートナーとはいずれ別れがくる。


パートナーが亡くなれば当然、契約は切れる。その際、新しいパートナーを探してまた次のパートナーと契約することが出来る。


契約が切れてから一年以内に契約出来ない精霊はこの世から消えてしまう。


大抵の精霊は一人のパートナーと契約しそのパートナーの寿命が尽きたら次のパートナーを探さないで消えてしまう。


彼女たちにとってパートナーとはその人以外に考えられないのだろう。


リサはそんなことを想像しながら未だ見ぬパートナーに胸をときめかせていた。


最近のリサのお気に入りスポットは、世界樹の加護の境界線から唯一人間界が見える場所がある。そこから人間界を覗き込みいつか自分のパートナーになる人間を想像しているのだ。


「いつか私も誰かを好きになって幸せになるんだあ。私のことも好きになってくれるかな」


リサはふわふわといつものお気に入りスポットに飛んで行くと、


「あれ? 誰かいる」


青い髪の精霊がリサのお気に入りスポットで人間界を覗き込んでいた。


「いつか私も誰かに恋をするのかしら?私なんかの事を好きになってくれる人がいるのかしら」


ツインテールにしている髪留めをとり、首を振りながら髪の毛を描き上げた。


リサは、息をするのも忘れるくらいその姿に見惚れていた。


「だ、誰?」


誰かに見られている視線を感じクラリスが振り返る。


「り、リサなぜあなたがここに?」


「えっ、いやその・・・」


リサはもじもじと手と手を合わせ指を動かしていると、クラリスはさっきまでの自分の独り言を聞かれたと思い顔を真っ赤にして、


「リサ・・・全部聞いてたの?」


「えっ・・・全部じゃないけど少し」


クラリスは更に顔を赤くしてその場を離れようとする。


「ーー待って!!」


立ち去ろうとするクラリスの腕を掴むリサ。


「何よ! 私を馬鹿にしようとする気?良いですわ、からかえば良いじゃないの」


リサは首を振りながら、


「私も同じことをここで想像してる」


「えっ」


目を丸くするクラリス。


「ここは、唯一人間界が見える場所でしょ。私はまだ人を好きになった事はないし、人間と喋った事もない。やっぱここから人間を見て想像しちゃうもん」


「リサ・・・」


「恋ってなんだろ?愛ってなんだろ?人を好きになるってどんな気持ちなんだろって」


リサは、笑顔でクラリスを見た。


「そう思うことって誰にでもあることだよ。だって私たち女の子だもん」


「リサ・・・うん。そうですわね」


二人は一緒に並んで座り人間界を眺めていた。


「私とリサがこんな風に一緒に人間界を観ている何て不思議ですわ」


「そーだね。一緒に遊んだり喋ったりすることほとんどないもんね」


二人は、人間界を見たまま喋る。


「べ、別にリサの事・・・嫌いって訳じゃないですのよ。と、特別仲良くしたいって訳でもないですけど」


クラリスは照れ隠しに明後日の方向を向いて喋る。意外な言葉に逆に照れ臭いリサは、


「わ、私もよ。特別仲良くして欲しくもなくもないけど。クラリスの事嫌いじゃないみたいな感じ」


「・・・・」


「・・・・」


「ふふふ」


「くすくす」


二人は吹き出しお腹を抱えて笑った。


しばらく二人は寝込んでいつまでも笑っていた。


「ねえ、リサ。また一緒にここで人間界を見に行きくれるかしら?」


「もちろんよ。だって私たち友達でしょ」


その言葉に目を丸くしリサの顔を見るクラリス。リサは笑顔で微笑んでいた。


「ええ、もちろん友達よ」



二人は一緒に世界樹まで並んで帰った。

今日あったことは二人だけの秘密になった。


その後卒業まで何度かクラリスと一緒に人間界を観ながら恋愛についてのお喋りをするリサだった。


学校では相変わらずの関係だったがお互いに照れ隠しでみんなの前ではわざと仲が良くないように見せていた。



「リサとクラリスは炎と水属性だから仲が良くないの」


エルザが思い付いたように言うと、


「それよね、属性の相性説って意外に当たるのよね。私、風だからエルザとの相性最悪よ」


エルザから少し距離をとるシルフィー。


「酷い、もー捕まえてやる!」


顔を膨らませシルフィーを捕まえようと追いかけるエルザ。


「きゃー来ないで、来ないでえ」


必死に逃げ回るシルフィー。


そんな二人を横目にリサは思う。


相性何て迷信で関係ないよ。炎だろうが水だろうがお互い気持ちさえ通じれば誰とだって仲良くなれる。


だって、エルザ()シルフィー()()クラリス()はこんなに仲良しだもん。



おわり。

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