表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三人の精霊と俺の契約事情  作者: 望月 まーゆ
三人の精霊とクリスタルパレスの魔女の書
133/217

偶然は突然に


「レーベンハートさん、お世話になりました」


「本当に行くのかい?いつまで居てもこちらは構わないんだよ」


「そう言ってもらえて嬉しいです。エレナもナタリアも復興を遂げた新しいクリスタルパレスを見てみたいと言ってますので」


「そうか、何か必要とあればいつでも声をかけてくれ」


「ありがとうございます」


ケイトが頭を下げると、


「レーベンハートさんありがとう」


エレナは笑顔で挨拶する。


ナタリアが会釈し、三人がバンディッツの地下本部を後にしようとした時、入り口の扉が開いた。




グリフィンの移動速度は速くあっという間に貿易国家ローズクラウンに着いた。


グリフィンさえあれば世界中いろんな場所に行ける。まさにアーサーが思い描いていた『世界中を見てまわりたい、まだ見たことのない物をこの目で確かめてみたい』この言葉を現実に出来るのだ。


アーサーは、三人の精霊たちを見つめた。


「どーしたのアーサー様?」


まじまじと見つめるアーサーの視線を感じ首を傾げた。


「いや、この先も僕と一緒に世界中いろんな場所を旅してほしいなっとか思ってね」


アーサーは照れ臭そうに頬を指で掻いた。


その言葉に嬉しそうに三人の精霊は、


「ずっと一緒!どこにだって着いて行くよ」

「もちろんなの!」

「アーサー様とならどこだってお伴しますわ」


三人の精霊は親指を立ててポーズを決めた。


「そうと決まれば、レーベンハートさんに挨拶して一旦キャメロットに戻っていろいろ準備しよっか」


「うん。何かピクニックみたいでわくわくするねえ」


「ミーナのお店でご飯食べたいの」


「エルザはそればっかですわね」


シルフィーは、ため息を吐いた。


三人の精霊たちとアーサーは和気あいあいとおしゃべりをしながらローズクラウンの国境付近まで移動した。


国際指名手配されているアーサーは、精霊たちは目立つので具現化を消し体内にリンクさせた。


街中至るとこに帝国兵が配備されてはいるが皆、やる気はなくただ立っているだけだ。

今の帝国を象徴するような有様だ。


アーサーは堂々と帝国兵の前を通っても声もかけられない。本当に国際指名手配をされたのか疑問に思う程だ。


アーサーはそのまま地下のバンディッツ本部に繋がる例のBARに向かった。



錆び付いた鈴の音を店内に響かせた。


「こんにちは、お久しぶりです」


「よお、久しぶりだな。バンディッツ本部にご用かい?」


「ええ、レーベンハートさんにご挨拶を」


「そうかい。今日は精霊ちゃんは一緒じゃないのか?」


『一緒だよー!』


その声と共にアーサーの体は光輝き、三人の精霊が飛び出した。


「へえ、こりゃまた・・・」


BARのマスターは面食らっていた。


「ーーじゃあ、失礼します」


アーサーは会釈してBARの奥にある扉の中に消えていった。


「改めて精霊使いってのは凄いねえ」


BARのマスターは自分の腹を撫でていた。




アーサーは、地下へ続く狭い階段を降りて行き、本部のある扉を開いた目の前に眼鏡をかけた青年と鉢合わせした。


「ーーっと、すいません」


アーサーは慌てて謝ると、


「いえいえ、どうぞ中へ」


ケイトは頭を掻きながら道を譲った。

アーサーは頭を何度も下げながら中に入った。


その後ろを三人の精霊たちがふわふわと着いて行く。


その姿をケイトは眼鏡から目が飛び出るんじゃないかという位驚きの表情を見せた。


「せ、精霊を三体も・・・」


「ケイト見て可愛い」


「あれは精霊ですね。ですが、一人の人間に対して契約出来るのは一体と聞いてましたが」


ナタリアは首を傾げた。


「はははは、ケイトもやはり驚いただろ?」


レーベンハートはケイト達のリアクションに満足そうに高笑いする。


アーサーと三人の精霊たちはケイト達の向かいに立ってレーベンハートとケイトのやり取りを聞こうとした時にエルザが気づいた。


「あら?リリスなの」


珍しい紫色の髪の毛、青い瞳は見間違える訳がない。エルザは指差した。


「本当だ、リリス久しぶーーん?」


アーサーが言いかけた時にリリスにしては少し背が小さいのと彼女よりも幼い雰囲気を感じた。


「あなた方、リリス様にお会いした事があるのですか?」


ナタリアが凄い勢いで話に食いついた。


「リリスとは何回も会ってるよ。友達だもん」


リサは少し自慢げに話す。


「ケイトさん。もしかしたらこれでエレナ様の記憶もーー」


ナタリアは涙ぐんでケイトを見つめた。


「ああ、一つの希望だな」


ケイトはエレナを見つめて答えた。エレナは話が飲み込めず、きょとんとしていた。


「アーサー君だったかな?この子はエレナ、クリスタルパレスの姫でリリスの妹だ」


「だから似てたのかあ」


リサは口に手を当てて驚く。


「姉妹だけあって本当によく似てますわね」


シルフィーは眼鏡を何度もかけ直しながらまじまじと見つめる。


「リリスだと思ったの」


エルザはエレナのまわりをぐるぐると飛んで観察している。


エレナはあまりにみんなから視線を集められるので下を向き顔を紅くした。



「この子は三年前のクリスタルパレスの崩壊、謂わゆる魔女狩りからの記憶がない。僕は彼女の記憶を取り戻すことと彼女の姉を捜すことを目的に旅をして来たんだ」


「そうだったんですか」


「ーーそれでリリス様は今どこに?」


ナタリアが聞く。


「リリスならたぶん、ホーエンハイムに」


ーー ホーエンハイム? ーー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ