精霊の落ちこぼれ
「わたしの使えるまほうは、防御障壁なの」
防御障壁とは、ある一定の空間にバリアを貼り敵の進入、魔法攻撃など全てを回避するものだ。 更に、大地の精霊の障壁は絶対防御と言われていて最強の盾なのだ。
「おおっ! 絶対防御か他には?」
アーサーが目を輝かしてエルザを見つめると、
「・・・なの」
( ん? よく聞こえなかったぞ )
「・・・これしか使えないの。絶対防御じゃなくて、 すぐ剥がれるの」
エルザは、申し訳なさそうにモジモジしながら小さな声で答えた。
アーサーは、豆鉄砲を食らった鳩のように口を開けていた。
( いつか剥がれるの防御障壁って・・・ )
気を取り直して。
「ーー次は、リサ 」
「・・・壁よ」
( ん? またまた良く聞こえないぞ )
「だ・か・ら! 私も防御障壁って言ってるのよ」
リサは、顔を赤く染め気まずさと恥ずかしさの二つの感情でアーサーを真っ直ぐ見れないでいる。
「炎の精霊だから、手から炎が出せたりとか・・・」
「出せないわ」
( こいつら まさか ・・・ )
「最後に、シルフィーだ」
最初から疑いの眼差しで見つめながら聞いてみた。
「風の精霊なので、もちろん風を自由自在に・・・」
「操れないわよ」
( やっぱり・・・)
「私は、 高密度の風の衝撃波を作りだせるわ」
「おお!やっと魔法っぽいな」
アーサーが、期待でワクワクしていると横からリサが、「ふんっ」と冷やかしを入れてきた。
「その衝撃波、2、30メートル位で消えるわよ」
「・・・・・・」
シルフィーの方に視線を移すと気まずそうに斜め上を見て口を尖らせていた。
「お前たちが今まで契約してもらえなかった理由が良く分かったよ」
アーサーが呆れたという感じにガクッと肩を落とした。
三人の精霊たちはしょんぼりしている。
「別に 私たちアーサー様を騙すつもりは・・・ほら実際使える魔法もあるし」
リサが必死で弁解しようとするが、
アーサーは、三人に背を向けて歩き出しドアの向こうに側に消えて行った。
三人の精霊は後を追うことも出来ずにただ、 後悔と悲しみに縛られていた。
ーー 騙すつもりは無かったんだよ ーー




