災厄との邂逅
戦闘パートを多めにしましたがうまく表現できてなくても、温かい目でお願いします。
轟音が鳴り響く。
音の元は異形な化け物たちが高速で棍棒を振り落ろしたからだ。
その先にいるのは水色の髪を持つ妖精たち。
躱す間もなく彼らはグチュグチュと潰されてゆく。
他の生き残ってる者たちは回復魔法で傷を癒し、怪我が少ないものは水魔法や弓で化け物に攻撃する。
しかしほとんど効いた様子もなく、奴らはニヤニヤと笑っていた。
なぜだ?こいつらはいったいなんだっていうんだ!!
僕は、その地獄の中で化け物共を物質創造で作った武器で切り刻んでゆく。
敵の総数も分からない終わりなき化け物の巣窟で。
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この状況になる少し前のこと
僕とルカ率いる水妖精精鋭部隊は地下湖にたどり着いた。
それまでにかなり強い水竜が現れたりしたが、精鋭部隊は瞬殺した。さすがは水の種族である。
その後湖の底深くに洞窟を発見しそこに全員で突入した。
水中から出た後、現れたのは見たこともない魔物たちであった。
「魔王、なんかこいつら見たこともない魔物だわ。使う魔法も変だし。」
ルカが未知の魔物たちと戦いながら、敵の使う魔法が変なことに気付いた。
「確かにどちらかといえば闇系統だと思うけど、光魔法で相殺できてないね。」
突入前に作成した武器を見ながらそう答えた。
魔剣クラウ 片手剣 SR
専用効果・・・光属性、切れ味減少防止(中)、耐久力向上(中)
何が起きるからわからないから、魔力の消費を抑えて性能は低めである。
とはいえども、これはかなり強い光属性を持つ高性能な魔剣だ。
なのに、さっきからの魔物は全員光属性をあまり気にせずに行動していた。
こいつらは、闇属性に近い雰囲気なのだが何かが違う。
この変な気がするのはなぜなの?
ん~・・・なぜなのか分かんないな。
それにしても、かなり洞窟の奥地に来たのに肝心の相手が見つからなかった。
「ねぇ、ルカ。ここまで陸の中だとワダツミはいないんじゃないの?」
「そうね、陸でも無理じゃないけど普通は岸辺にいるはずよ。」
水妖精たちは、各々武器を構えながらしばらく前進すると一人が走ってきて報告をしてきた。
「魔王様!こっちに大広間を発見いたしました!!」
そのまま、騎士のメンツを前に大広間に入った。
はずれだったか。
地下湖の周りの土地には穴も開いておらず脱出した形跡もない、この洞窟を除いて。
だからこそここには手掛かりがあると思い来たが、もう水辺はなさそうだ。
最後尾にいた僕もそれに続こうと思い走り出そうとしたとき、隣にいたルカに手を掴まれた。
「止まって!!」
・・・今だからこそ言えるが、その時は油断しきっていた。
どの敵であろうとも能力と魔法で倒せると思っていた。
でもダメだった。そんな後悔しかない。
次の瞬間、巨大な大鎧をまとった巨人が天井を突き破り降ってきた。
ルカが僕を一緒に押し倒してギリギリ躱せたが近くにいた水妖精たちが踏みつぶされ、そのままこっちに剣で攻撃をしてきた。
「ッ!!?」
その剣を躱し魔剣で斬りつける、が
ギャリィイイン!!
という音とともに防がれてしまった。
あの鎧、少なくともレアリティがHRクラスはあるだと!?
クソ、武器を作るしかないか!
そう思い物質創造を使おうとすると、巨人がスキルを放ってきた。
奴の剣が巨大化し黒い力を纏う。
確か、上位両手剣スキル【ムーンリパルサー】のはずだ。
攻撃範囲が広範囲かつ攻撃速度が速い、そのかわりに攻撃力が低いスキルだ。
だが水妖精の精鋭を一撃で殺すほどの力があるのでそんなのは関係ないだろう。
これを躱せば、ルカは避けれずに直撃するだろう。
下手をすれば即死だ。
ならば、受け止めるしかない!!
「むぎゅ!?」
即座にルカの頭を押し込み、魔剣を自分の頭上にかざす。
そして相手の巨大化した剣と僕の魔剣が交差し、ガリガリと音を立てて拮抗していた。
魔剣自体は壊れなかったが、自分の体が嫌な音をたてていくのが分かった。
少しすると、ひと際大きい音がなって自分の体が傾くのがわかった。
たぶん背骨が折れたせいだと思う。だけど・・・!
「物質変化!!」
自分自身の砕けた骨を変形させて、背骨を再構成する。
それで何とか態勢を立て直した。
でも、これじゃジリ貧だ。
そのときルカが彼女がうてるだけの最大の魔法を放つ。
「ウォーターイクスプロ―ジョンX!!」
簡単に言うとこの魔法は超強化された水素爆発で、スキル使用中であった巨人の頭を吹き飛ばした。
そのまま体が倒れて、巨人は全く動けなくなった。
その一瞬で僕とルカは一旦息をついて状況を整理した。
「ミーティア、さっきの奴は部族長並みの力をもっていたわ。これはどういうこと?」
どういうこと? というのは何故、十二天の次に強いはずの族長クラスと同等の化け物がいるのか?
ということだろう。
魔王領域の巨人は一番強いやつでも族長には手も足もでないはずだった。
それを彼女は知っているからこそ、そう思ったのだろう。
この世界では魔物や眷属は基本、領域で生まれる。
そして、領域を支配している人物の力に反映されていてその強さが決まる。
だから、この魔物は本来は魔王領域で生まれてるやつのはずなのだ。
だがここまで強すぎるのは、何かがおかしいのだ。
と話し合っていると
「ギャアアァアア!!」
大広間の方向から水妖精の悲鳴が聞こえてきた。
さっきの敵の強さ的にこのままじゃほかの皆が全滅するかもしれない!
「ルカッ!このことは後で話す!!だからいまは!!!」
「わかってるわ!」
二人で大広間に武器を構えて突っ込んだ。
その場所で見たのは地獄のような光景だった。
たくさんの巨人が、合成獣が不死類がどんどん水妖精を殺しいていく。
彼らには慈悲などはなく抵抗も空しく死んでゆくものの方が多い。
その光景を見た族長は怒りの声をあげながら、静止も空しく無謀にも敵軍につっこんだ。
「ルカ、つっこんじゃだめ!!」
その声すら聞こえてないのか、彼女は泣きながら魔法の詠唱をしまくった。
「失せなさい!ウォーターバレットⅧ、アクアウェイブⅩ、フラッドランスⅨ!!!」
魔法によるたくさんの水の弾丸が相手の体を貫き、大波が相手を押し流し、水の槍が押し流した魔物を打ち砕いた。
しかし、如何せん敵が多すぎた。
魔法を乱射するルカに徐々に敵が群がってきた。
そして、とうとう魔物の爪がルカを切り裂き軽々と吹き飛ばした。
自分の頭の中が真っ白になり、すぐにルカの方に走り出そうとした。
しかし助けに行こうとすると、僕の周りにも敵が向かってきた。
さっきの巨人よりも弱いが、魔物が10体以上。
邪魔だ!!
「物質創造」
衝撃の細剣 レイピア LR
専用効果・・・ノックバック(大)、レイピアスキル使用時・・・【ノックバック発生】
「レイピアスキル【ぺネトレイトラッシュ】!!」
そして、突進系のスキルで魔物ども貫き吹き飛ばした。
ちなみにノックバックというのは攻撃したときに相手をのけぞらせる効果を発生させるというもの。
スキルで突進した勢いを殺さないままルカの元に向かい、彼女をとりまく魔物も蹴散らした。
そして、彼女を拾い上げて無事な仲間のところに向かった。
ルカは痛みのせいで気絶しているようだった。
体中が打撲と切り傷まみれで、左腕の骨が粉々にされてるらしく左腕はグニャグニャになっていた。
このままじゃ冗談抜きで全滅かもしれない。
もう僕の魔力もほぼ空。魔王の力が完全にあったとしてもかなりキツイと思う。
なら、
「水妖精部隊、今すぐルカを連れて撤退して!!」
「魔王様をほっといて逃げることはできません!」
水妖精の一人が不服そうにそういってくるのを僕は一睨みして言う。
「このままでは、全員死ぬ。なら、あなたたちはほかの十二天にこのことを伝えるべきだ。」
「ですが!」
「つべこべ言わず、いけ!!そんな長くは持たない・・・」
そういって、僕はレイピアを構える。
勝てるかどうかといえばNOだ。
だが負けるにしてもお前らを半分以上は道連れにしてやるよ。
そう腹を括り仲間を後ろにいかせて、僕が目の前の敵にスキルを放とうとしたときに突然声が聞こえてきた。
「『ここまで魔王が弱体化していたとは予想外であったな。』」
突然の声に驚き上を向くと小柄な人型の影がそういった。
「『全く・・・かなり強めの眷属をおいたがこんな程度だったのか。』」
その影はあきれたような声をだして、落胆したような声を出した。
なんなんだ!?この影は?!
「おまえは誰だ!!こいつらの親玉か!?」
「『ふむ。俺様の存在をしらないようだな。
教えてやろう、貴様が魔族の王ならば言うならば、俺は邪神族の王レグナント。邪神領域の支配者だ。そして・・・』」
影は不敵に笑ってこういった。
「『この世界の支配者となる男だ。いま、命乞いをすればお前らに生きる権利をやろう。』」
この日、世界に災厄が舞い降りた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!