創造者の戦
そのまま僕は敵のところまで飛ばされてきてしまった。
そこまではいいけど、落ちた先がケルベロスの口元ぉおお!!
このわんこ野郎、めっちゃ口開いて
カモン!! って言ってるみたいに待ってるじゃん・・・
ふざけるな!!誰が食われるか!
「ふん!」
といって剣(投げ飛ばされる直前に騎士鎧の模型から奪った)でケルベロスを切り伏せる。
そいつをミンチにして、血がかからないように下がった。
え、そんなの無理って?安心してください転移魔法があります。
飛べる距離は、50Mの範囲内か1KM、2KMまで。
僕は転移魔法上手くないからこれ以上は調整できません。
ここまで近づくとかなり敵がおおいってわかるね。
てか、魔物と兵士合わせて2000ぐらいいるんじゃね?
報告のうその多さに、ワタシ、気になります。
と、そういう風に悠長に観察してると猫妖精の兵士が切りかかってきた。
「死ねええぇえ、魔王ぅぅ!!」
ねえ、テンプレなセリフを言ってくるってやられ役のすることだと思うよ?
両手剣で斬りかかってきたのを剣で防ぎ続ける、がバキンという音とともに剣が真っ二つになった。
やば、折れた。
そして相手の武将さんは、鬨の声をあげて精鋭部隊と一緒に群がって攻撃をしてきた。
魔法、剣、スキルその他もろもろで。
「失せろニャ、【クローラッシュ】!!」
「神よ天にあだなす者に裁きの鉄槌を。『ジャッジメントV』!!」
「天地に仇なす暗黒遊戯をみせてやろう、【邪滅棍】!!」
「片手剣スキル、【テンペストスラッシュ】!」
・・・etc
とまず、凄まじい爪のラッシュと光の大槍が降ってきた。
爪のラッシュを後ろに下がりながらよけて、光の大槍は対抗魔法で受け止める。
「『ダークランスX』!!」
闇の大槍をだして相手の光の槍を相殺した。
棍棒の攻撃は両手で受け止めたんだけど、残りの攻撃は今の状態では止めれないな。
如何せん攻撃の手数が違いすぎる。
もう少し優しくしてくれてもいいじゃない・・・
しかたないか・・・
「『物質創造』」
僕の手にたくさんの魔力が集まり形を作り始める。
そして、一本の剣が生み出される。
これが僕の所持する能力『物質創造』― 物質を生み出す能力である。
消費した魔力に応じて高品質な性能のモノを作り出せる能力。
なお、いまの作った魔剣の性能を見てみると、
フェアリーキラー 片手剣 UR
専用効果・・・ 妖精族特攻、物理攻撃力大
武器にあるURとは品質の高さを表す。
C,UC,N,R,SR,HR,UR,LR,AFという順でCが一番品質が悪く、AFが一番品質が良い。
コモン、アンコモン、ノーマル、レア、スーパーレア、ハイパーレア、アルティメットレア、レジェンドレア、アーティファクトという呼び方だ。
上から3番目だけどとてもいい品質だということだ。
そして専用効果とは装備したときにのみ得られる能力。
ついでに、専用効果以外では、所持効果というのもある。
その中の妖精族特攻は、風妖精なども含む妖精族に対して大ダメージが入るもの。
「片手剣スキル【ソフトピアース】!!」
そのまま、片手剣スキルで襲ってきた猫妖精たちを攻撃する。
物理攻撃をしかけてきた猫妖精たちはそれぞれ急所を外されて数人が同時に貫かれた。
【ソフトピアース】は12連突きをするスキルで、片手剣には珍しい突きのみのスキルの一つである。
名前はやわらかそうだが、対人で尚且つ、一対一だと穴が空きまくり相手の体がグロ映像になる可能性が非常に高い技だ。
でも攻撃力は低いので、相手を殺す心配も少なく、その上命中率の高いので急所を外して攻撃できる一番好きなスキルである。
だが、いくら急所は外しても妖精族特攻で大ダメージは食らっているわけなので
「いでぇええですにゃあああああ!?」
「かーちゃーん!!」
「か、神よぉぉぉおお?!」
とかの阿鼻叫喚の地獄絵図ともなるのです。
ニャ―野郎は奴らの大将だったみたい。
さて、猫妖精の猛者クラスはある程度倒したから残りは魔王軍の兵士で戦えるだろう。
あとは、使役された魔物たちの相手である。
まずは計50体ほどいるケルベロスとオルトロスの相手でもしますか。
オルトロスとケルベロスというのは、たくさんの顔がある犬の魔物である。
ただサイズがとても大きく、そいつらの顔までの高さが地面からだいたい10Mほどもある。
人族領域にいる見掛け倒しのタイプではなく、魔王城の近くの火山に生息するタイプなので油断できないのだ。
・・・魔力の消費激しいけど仕方ないか。
「『物質変化』」
左手に持っていた剣が徐々に形が変化し、武骨な刀へと変化した。
そして右手でそこらに転がってる猫妖精がもっていた高級そうな棍棒を持ち上げ、それを片手剣に変化させる。
『物質変化』とは、手に触れている物質を違うものに変化させることができる能力。
これも『物質創造』と同じ物質を操る僕のスキルの一つである。
消費魔力は『物質創造』よりは少ない。
が、
(あ、あと少しで魔力切れしそうだ・・・若干頭がクラクラしてきた。)
そんなこんなで作り出したのはこの二つ。
斬魔刀 片手刀 HR
専用効果・・・魔物特攻、ビースト特攻
ビーストキラー 片手剣 SR
専用効果・・・ビースト特攻 (弱)、攻撃力UP (小)
ただ、物質変化は品質を一つ下げるという弱点ももつ。
AFの装備にかぎり『物質変化』の品質低下を無効にする。
というかさっきの猫妖精の棍棒って元がHRとかエグイ強さもってるじゃん。
道理で相手の攻撃が痛いと思ったよ、二重の意味で。
とりあえず、さっき作った武器を両手でもち二刀流になる。
だが、どこぞの英雄みたいに手の延長線上のように二本の武器を使えない。
じゃあ何故2本も武器もつかって?
それはね・・・
「【月華】!【クロスブレイド】!!」
目の前の魔物に、刀でスキルを放った後に間髪入れずに片手剣でスキルを打つ。
これぞ、
「連携剣技≪光塵≫!!!」
光の奔流がそこらへん一辺にいた魔物を飲み込んだ。
そして。ケルベロス、オルトロスだけでなくグリフィンとその他も消し飛ばした。
やはり魔物特攻とビースト特攻TUEEEE。
この超火力こそ、本来剣技を仲間と交互に行い発動するコンビネーションスキルである。
一人ですると、後日全身筋肉痛がおきるので本当は、あまりしたくないです。
ふつうは複数人でするのがふつうなんだけど、僕今はぼっちで戦わされてるし。
え、ドンマイ!?
か、悲しくなんかないやい!!
などと一人漫才していると戦闘が終わったようで返り血をたっぷり浴びている仲間の火妖精が喋りかけてきた。
「魔王様生きてますカ~?」
「生きてないなら返事してないでしょ!?」
思わず突っ込んでしまったわ!そもそも上司にそれは失礼でしょ!?
「そうでしたねェ。あ、そうそう一応猫妖精で襲ってきた奴全員捕まえましタ。」
「ごくろー、牢に入れといて。全く反乱なんてなんで起きたんだろ・・・」
そう言うと彼女は苦笑いしながらこう答えた。
「仕方ないですよ、魔王様のやり方は 優しすぎるんスヨ。 意見の食い違いなんて気にしてたら、やっていられないっすヨ。」
といいながら彼女は部隊の元に帰っていきました。
ほんの少しだけ複雑な気持ちになってしまった。
やはりもっと前に人族領域を攻めるべきだったのか。
先代魔王のように力を使い、魔王としての権威をちゃんと示すべきなのか。
僕は、どうすればいいか分からない。
ねぇ、教えてよ・・・魔王様。
そのまま、僕は魔王城の会議室へと向かった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。