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竜騎機将ナナカレイ  作者: 鈴神楽
変革編
16/17

やり直し?

「下からは近づくのは無理だね」

 マサムネに乗る較は、バハムートヘルをいまだ攻撃続ける、百母の長の八頭光集進竜を見て言った。

「まあ俺はともかく、竜騎機将は抜けられねえな」

 五郎も同意する。

「それと敵にも気をつけてね」

 較の言葉に答える様に、空を飛べる魔竜達が襲ってくる。

「望むところだ! ロンギヌススピア」

 的確に魔竜達を撃ち抜き、出来た穴から進む五郎。

『ヤヤお姉ちゃんどうするの?』

 通信機から聞こえる七華の声に較が答える。

「出来るだけ中心部に近づいて、そうしたら、あちきが大穴開けるから、そこから進入しよう」

「任せておきな!」

 五郎はマサムネを魔竜が大量に飛ぶバハムートヘル中心部に躊躇無く進める。

 その後を竜騎機将ナナカレイとイフシゼロが続く。

『いつもいつも無茶をする』

 九十九の声が、通信機から聞こえた。

「まーな、何時もの通りフォロー頼むぜ!」

 呑気に言う五郎に、予想外の九十九の答えが返ってくる。

『偶にはお前が人の無茶の後始末しろ』

 九十九が操る、ムラサメが速度を上げると、一体の魔竜に正面からぶつかって行く。

 ぶつかる直前、ムラサメのポセイドンサイが放たれて、魔竜が死ぬが、その死体に機体をめり込ませて、ムラサメが更に加速する。

「九十九なに考えてる!」

 五郎が怒鳴る。

『最後の最後だ、一度位無茶をしてみたくなってな』

 九十九が操るムラサメはそのまま魔竜の軍団の中心まで行くと爆発し、そこに一本の道を作った。

 呆然とする五郎。

「前みたいに脱出しているんだろう?」

「みたいだけど、助けないと危ない」

 後ろから較がそう言うのを聞いて、五郎は必死にレーダーを探した。

 九十九はパラシュートで脱出していたが、何体もの魔竜が狙っていた。

「今助けに行くぞ!」

 五郎が慌ててそちらに方向転換しようとする。

『折角造った道を無駄にするつもりか!』

 九十九の声が通信機から聞こえる。

『これは私たちDSSがつけないといけないけじめだ! このチャンスを逃せば後は八刃がどうにかしてくれるのを待つしかなくなるぞ!』

 その言葉に五郎が叫び返す。

「だからどうした! 俺は、全てを助ける道を選ぶ! その為だったら幾らでも無茶を通してみせる! だから今はお前を助けに行く!」

 その時すでに魔竜の牙が九十九に迫っていた。

「九十九!」

 ムラサメの爆煙が五郎の視界を一瞬塞ぐ。

「際どいけど助かったみたいだよ」

 較が肩を叩き言った。

 爆煙が晴れて、改めて五郎が凝視した時、九十九に襲い掛かっていた魔竜の頭を切り捨てた谷走英志が九十九と共に影に消えていくのが見えた。

「本当危なかったよ、折角貯めといて力使うところだった」

 五郎は自分の肩を叩いた較の手を見て驚く。

「お前、手が白く光っているぞ?」

「この下にあるバハムートでオーフェンと戦った時の後遺症みたいな物だよ。今は結構便利に使わせてもらってるけどね」

 較が明るく答える。

 そして、バハムートヘルのほぼ中心に来た時、較が言う。

「ここまでありがとう。こっから先はあちきが七華をサポートするよ」

 そう言って特別に造られた出口から、マサムネを出る較。

「雲より高い所から飛び降りるって言うのに平然としてやがるな」

 五郎がそう呟いた時、凄まじい白い光がバハムートヘルを貫いた。



「較さんが、バハムートに大穴を空けて、竜騎機将と共に突入した様子です」

 オペレータールームには哀愁が漂っていた。

「まー今更、ダークノヴァツインの数十倍の破壊力ある光線を放つ少女が居ても、驚く気力も無いわよね」

 九菜の言葉が全てを物語っていた。

「七華達を中枢部まで誘導する仕事が残っているぞ!」

 十斗の言葉に気を引き締めて、オペレーター達が竜騎機将から送られてくる情報を分析して、もっとも早く中心部に向かうための情報を計算し、竜騎機将にフィードバックしていく。

「相手がやろうとしていることが後どれだけ掛かるかが、明暗を分けるな」

 そう呟きながら十斗が見ると、時計は作戦開始から二時間経っている事を示していた。



 竜騎機将ナナカレイに乗る七華達は、較が造った大穴からバハムートヘルの内部に入る。

『噂では知っていたが、これがこの世界最高の攻撃力を持つ、必殺の白手の本気か』

 後から入ってきたイフシゼロに乗る十二支が言った。

「本当の本気はもっと凄いって話だよ」

 七華の言葉に、十二支が沈黙する。

『こっから中枢部までどの位かかりそう?』

「竜騎機将なら三十分もあれば大丈夫です」

 七華がそう答えると、較が平然とナナカレイの首の所までジャンプして言う。

『それじゃあ、特急で行くよ!』

「解りました」

 七華が操る、ナナカレイを前に、二体の竜騎機将は、障害物を排除しながら、目的地に向かって走り出した。



 オペレータールームの影が蠢き、英志が九十九と共に現れる。

 そして、英志の肩にはエンペラードラゴンのエースが居た。

 十斗がそちらを見て言う。

「一応感謝する。しかし今更何の用だ?」

 それに対して英志が言う。

「中枢部の場所を教えて下さい。外は他の八刃が居るから大丈夫、私は中の敵と戦いに行きます」

 それに対して、十斗が問い返す。

「八刃だからか?」

 英志が真っ直ぐな瞳をして言う。

「それもありますが、私は自分がやった間違いの償いをしなければいけない。私は自分達の血に誇りを持っています。それは血と共に流れる強い意思があるからです。あの男にそれがあると勘違いし、あいつ等の手助けをしまった。間違いは訂正出来ませんが、償う事は出来ます」

 十斗が冷たい目で言う。

「償えるなど、罪を犯した者の詭弁だ」

 その言葉に英志が断言する。

「詭弁だろうと何もしない人間よりは増しです」

 次にエースが言う。

『竜の巫女は新たな竜の世界を作るのに必要な人間だ。ここで失うわけにはいかない。我はあれを助け出さないと行けなのだ』

「その姿では何にも出来ないな」

 十斗の反論にエースが強い意志を込めて答える。

『問題は何が出来るか出来ないかではない! 目的の為に全力で動く、それが我を信じて死んだ、キングに出来る唯一の事だ』

「その道に俺も同行させてもらう」

 何処から入ってきたのか百剣が居た。

 ざわめくオペレーター達。

「お前は何の為に行く?」

 十斗は百剣にも問いかける。

「俺は、神谷が最強である事を証明したかった。それは今も変らない。しかし、神谷の力は異邪を滅ぼすも為の物。異邪を滅ぼす事でこの世界が護られてこその最強だ。俺は最強で求める為にもオーフェンの存在は許さない!」

 そして、十斗が九菜の方を向く。

「あの二人の竜武はあるか?」

 九菜が頷く。

「ナナカレイやイフシゼロに流用した物以外にも、そっちの二人が使っていた竜騎機将の竜武が在ったわ。調整が必要だけど使える筈」

 十斗が言う。

「直ぐにやってくれ」

 そして十斗が英志と百剣の方を向く。

「待っていろ。単独で行くより、多少は戦力が増すからな」

 九菜がスタッフに連絡を入れる。

「そーあの二体の竜武のセッティングをやるの。一時間で終わらせるよ!」



『氷午』『ゴールデンドラゴンパワー』

 イフシゼロが放つ氷の馬の式神が立塞がる魔竜達を凍らせて、動きを鈍らせる。

 それをナナカレイのコックピットで七華が確認して言う。

「レイ、竜牙刀に炎の魔法を!」

『ドラゴンフレア』

 ナナカレイが握る竜牙刀がレイの竜魔法の炎を纏う。

 次々と魔竜達を切り裂いて行くナナカレイ。

 最後の一体を切り捨ててから七華が言う。

「ヤヤお姉ちゃん大丈夫?」

『大丈夫、あちきの事は気にしないでどんどん進む』

 高速で動くナナカレイの肩に平然と座っている較があっさり答える。

「了解」

 竜牙刀で壁などを壊しながら、目的地に向かうナナカレイの前に一人のマントを羽織った男が立つ。

「ここから先には行かせるわけには行かない」

 そう言ってその男が剣を振るうと、氷の塊が生まれて、ナナカレイとイフシゼロを一撃で吹き飛ばす。

『何なのだ!』

 十二支が驚きの声を上げた時、七華が思い出した、ナナカレイの肩には較が居た事を。

「ヤヤお姉ちゃん!」

 男の前に降り立った較が答える。

『大丈夫だよ。こいつはオーフェン六頭首の一人、ファザード。こいつの相手はあちきがやるから先行ってて』

「行かせるか!」

 ファザードは、再び剣を振るい、氷の攻撃を放つが、較の右手が白く光る。

『ホワイトファングオーディーン』

 較の放った右手の光が全ての氷を打ち砕き、ファザードを弾き飛ばす。

 較に促されるまま、七華はナナカレイで前進して行った。



 ナナカレイの後を追おうとしたファザードの前に較が立塞がる。

「行かせると思う?」

 較の言葉に、ファザードは剣を構えて言う。

「押し通る!」

 凄まじいスピードの攻撃も較は紙一重で避ける。

 次の瞬間、無数の氷が生まれて較を四方から襲うが、較は右手を振る。

『フェニックステール』

 較の手から生まれた炎は、氷の一部だけを溶かす。

 ナナカレイの後を追おうとしたファザードの前にその炎が通る。

 足を止めた次の瞬間、較の踵がファザードの頭上に迫る。

『トール』

 咄嗟に後ろに下がるファザード。

「やはり、私一人ではお前の引きとめが精一杯だな」

 その言葉に、頬をかきながら較が言う。

「やっぱりこの先にも六頭首がいるんだね」

 ファザードは否定も肯定もしない。

「あちきは、七華を信じてるよ」

「あの娘には、お前ほどの力があるとは思えないな」

 ファザードの言葉に微笑む較。

「そうだね、個人の力じゃ直系の中でも低いレベルに入ると思うよ」

「竜騎機将なんておもちゃでその差を埋められはしないだろう」

 ファザードの的確な判断に較が自信満々答える。

「解ってないよ。七華の一番の力は、他人を頼れる事。個人主義者が多い八刃の中じゃ稀有な才能だよ。だからこそ際限なく強くなれる」

 ファザードが剣を構えて言う。

「くだらん! 力を合わせれば勝てるなど、弱者の戯言だ!」

 空中に氷の軌跡を残しながら較に斬りかかる。

 較は相手方に踏み込み、体でそれを受けて答える。

「あちきの言葉の証明は七華がしてくれるよ!」

 そう言ってファザードの胸に手を当てる較。

『バハムートブレス』

 凄まじい勢いで、弾き飛ばされるファザード。

 ファザードは壁を幾つも粉砕して止まると直ぐに立ち上がり、指を鳴らす。

「ならばお前に勝ってそれを確認するとしよう」

 較の周りに魔竜が集まってくる。

「あちきは確認する必要ないけど、ここで貴方を倒す」

『オーディーン』

 手刀一発で、魔竜の首を落とす較。

「それはこちらの言葉だ!」

 両者の戦いは激しく続けられる。



「随分時間掛かったね」

 ナナカレイのコックピットの中で汗を拭う七華。

『とにかくこの扉の奥が中枢部の筈だ』

 通信機から聞こえる十二支の言葉に七華が頷き言う。

「敵が待ち構えてる筈。心の準備は良い?」

『大丈夫だ』

 十二支の返答を聞いて、最後の扉を開く。

「待っていたよ」

 そう声を掛けてきたのは一人の美少年だった。

「僕の名前は、オイノ。今回の作戦を考えて、指揮した、六頭首の一人さ」

 その言葉に、七華は竜牙刀を握り締める。

 そして狂気を孕んだ表情で、オイノが言う。

「あと三十分もすれば、僕は再び父上に会えるのだよ。決して邪魔はさせないよ!」

 次の瞬間、部屋中から不気味な触手が伸びて、オイノを覆い、人のシルエットを持った竜、竜騎機将と同じ形になった。

『見たかい? 君たちみたいな不完全な融合じゃないよ! これこそ完全な竜との融合! 竜騎魔将リュウキマショウだ!』

 その口から炎を噴出す竜騎魔将オイノに咄嗟に両側に避ける、ナナカレイとイフシゼロ。

 そしてイフシゼロが護符を出す。

ちゆういんぼうしんしんゆうじゆつがい。時空を司る十二の獣よ我が意に答え、我が式神と成りてここに』

『聖獣戦神の力が封じられし護符よ、我が声に応えよ』

 イフシゼロから出た大きな護符にコックピットの護符が共鳴する。

 そこにゼロが呪文を込める。

『ゴールデンドラゴンパワー』

神雷寅シンライトラ

 十二支の声に応え凄まじい雷を纏った虎が、現れて、竜騎魔将オイノに襲い掛かり、その体の半分を噛み砕く。

『見掛け倒しだな!』

 十二支の言葉に、七華が言う。

「違う! 再生するよ!」

 七華の言葉通り、竜騎魔将オイノは、再び触手に覆われて、元の姿に戻ってしまう。

『どんな強力な力を持っていても僕を倒す事は出来ない! 君たちに選ばせて上げるよ、今すぐ死ぬか、本来の世界を見て死ぬかをね』

『どちらも選ぶ必要が無いな』

 その時、竜騎魔将オイノの影から無数の刃が伸び、竜騎魔将を切り裂く。

『何者だ!』

 竜騎魔将オイノの言葉に答える様に、ナナカレイの影から一体の竜騎機将が現れる。

『利用された借りはきっちり返させてもらう』

『サウザントエース?』

 十二支の言葉に七華が首を振る。

「英志さんですよね?」

 その竜騎機将は頷く。

『私もこの戦いに参加させてもらう』

 続いてエンペラードラゴンのエースの声がする。

『竜の巫女を助けるのをお前一人に任せてはおけないからな』

 その言葉にコックピットにレイの言葉が響く。

『何だと!』

 喧嘩を始めかねない雰囲気が流れた時、影からもう一体の竜騎機将出てくる。

『……オケンセン』

 十二支の言うとおり、新たに現れた竜騎機将はオケンセンだった。

『俺は俺の意地の為に戦う。問題はあるか?』

 七華は首を振って言う。

「文句は無いよ」

 そして四体の竜騎機将は竜騎魔将オイノを見る。

『何体、集まったって不死身の僕は負けないよ!』

 その言葉と同時に無数の竜騎魔将オイノから無数の触手が伸びる。

『舐めるな! ダークノヴァ!』

 オケンセンのダークノヴァが触手を焼き払う。

 その間に、七華は、ナナカレイを竜騎魔将オイノに接近させる。

 そしてナナカレイの腕のブラスター装置を起動させる。

「レイ、ブラスター装置に、サンダーの魔法を!」

『ドラゴンサンダー』

 ブラスター装置で増幅した雷撃を竜牙刀に纏わせてナナカレイは、竜騎魔将オイノを切り裂く。

「ブラスターサンダーフィニッシュ!」

 その一撃が、竜騎魔将オイノの体の大半を使い物にならない黒墨に変える。

『まだだ! 直ぐに再生してやる!』

 三度ミタビ壁から触手が伸びる。

『再生を許すと思うか! エース、影を伸ばしてくれ!』

『ドラゴンライト!』

 英志の声に応えて、エースが呪文で、自らの、竜騎機将エイジエースの影を伸ばす。

影壁エイヘキ

 エイジエースの影から影の壁が生まれて、竜騎魔将オイノと触手の間に立塞がる。

『そんな壁は、直ぐに壊して……』

 そう言う、竜騎魔将オイノの前には、イフシゼロが生み出した式神、『神爆寅辰』が居た。

 次の瞬間、物凄い爆発が影の壁の中で一片も残さず竜騎魔将オイノを消滅させた。



「役に立たない奴等だな」

 四門の言葉に、拘束されたままのレインが言う。

「もうお仕舞いです。竜騎機将四体相手に勝てる者は居ません!」

 四門が冷たく、そして狂気の炎を纏った瞳でレインを見ながら言う。

「残念だな、私はこれに全てを奉げて来た。もう何も失うものが無いのだよ」

 そして、四門は自ら左手首を斬りおとす。

「何をしているのですか! そんな事をしても勝てません!」

 そんなレインの言葉を無視して、四門は万年竜の心臓を元に作られたバハムートヘルの心臓部に自らの左腕を押し込み。

 次の瞬間、バハムートヘルが鳴動し、四門の全身の毛細血管が弾ける。

 言葉を無くすレインに四門は告げる。

「私は、バハムートヘルと一つの生き物に成ったのだよ。壁を作れ!」

 四門の言葉に答えて、竜騎機将と四門達の間に無数の触手が集まり、壁を生み出した。



『ダークノヴァ!』

 オケンセンの最強の攻撃が、壁にぶつかり、壁を大きな凹みを作るが、即座にそれは再生していく。

『次は、神爆寅辰を試す』

 通信機から聞こえる十二支の言葉が聞こえたが、即座に双葉の通信が入る。

『駄目です。今の攻撃から壁の強度を測りましたが、その壁を壊すには、ヤヤさんがバハムートに穴を作った時と同じ位の力を与えないと無理です』

 必死にそれに等しい力を考える七華。

『ヤヤは、こられないのですか?』

 エイジエースから聞こえる英志の声に双葉が全体通信で答える。

『ヤヤさんが、居る場所からじゃ、後十分じゃこれません』

「残り十分であの壁を突き破る方法を考えないと」

 七華がそう呟いた時、通信機から九菜の声がする。

『最後の手段よ、四体の竜の力を合わせて、一時的でもバハムートの竜の世界を越す事で、強引に壁を突き抜けるのよ』

 その言葉に、七華が言う。

「つまり、ここに居る竜全部で一つの竜騎機将に成れって事ですか?」

 少しの沈黙の後、九菜が言う。

『無茶なのは解ってる。でもそれしか方法はないでしょ?』

 七華は頷き、竜騎機将モードを解除する。

 床に降りて、レイと視線を合わせた後、他の竜騎機将を見る。

 イフシゼロの竜騎機将モードが解除されて、十二支とゼロが床に降りる。

「任せたよ」

 十二支がそう言うと、ゼロが七華の足元に来て言う。

『頑張りましょう』

 次にエイジエースの竜騎機将モードが解除されて、英志とエースが床に降りる。

「竜は霧流の担当だ、最後は任せる」

 そしてエースが七華の足元に来て、レイと睨み合ってから言う。

『仕方ないから力を合わせてやる。感謝しろ!』

『何だと!』

 喧嘩しているレイとエースを他所にオケンセンの竜騎機将モードが解除されて、百剣とセンが床に降りる。

「セン、すまないが協力してやってくれ」

 百剣の言葉に頷き無言のまま七華の足元に来るセン。

 遠隔操作で解除された竜武から、新しい魔法陣が投射される。

 それを見上げ、七華は残された全ての力を込めて唱える。

『汝戦う為にここに在り、戦いの姿をここに、レインボードラゴン! ゴールデンスカイドラゴン! エンペラードラゴン! ダークスタードラゴン!』

 四体の竜が元の竜の姿に戻る。

 レイが、下半身が縮小し、ゼロが翼以外の部分を極端に小さくし、エースとセンがまるで足の様になり、一体の竜騎機将の姿になる。

 竜武の非常装着装置が動き、竜騎機将に装備される。

 レイの光のブレスが七華を包み、コックピットに転送する。



『大丈夫か?』

 コックピットに入ると同時に膝をつく七華にレイが問いかける。

「大丈夫じゃない。でも無茶でもここで諦めたくない! 皆が作ってくれた道をここで閉ざす訳には行かないもん!」

 立ち上がると、壁に向かって突っ込む。



「後少しだ……」

 レインは全身から血を垂らしながらもそう呟く、四門を見つめていた。

 その時、竜騎機将との間にあった壁が歪み始めた。

『強い希望と共に生まれし』

 七華の声が、壁の向うから轟く。

『歪んだ望みを打ち砕く者』

 四門が壁を凝視する。

『明日への道標』

 壁を突き抜けて、竜騎機将が現れる。

『究極竜騎機将ナナカレイゼロセンエース』



『最後の最後まで名乗りをあげるとはな』

 究極竜騎機将ナナカレイゼロセンエースのコックピットにレイの苦笑混じり言葉が響く。

 それに微笑みながら七華が言う。

「これでお仕舞いだよ!」

 その言葉に、バハムートヘルの心臓部分に手を融合させた四門が叫ぶ。

「させん。私は失敗を正すのだ! あの時まで時間を戻してな!」

 言葉を無くす七華に四門が続ける。

「このバハムートヘルの無限の魔力と時空神の巫女の力を使えば、あの時まで時間を巻き戻す事が出来るのだ!」

 四門の狂気が篭った言葉に、七華が怒鳴る。

「馬鹿!」

 単純だからこそ四門が驚き言い返す。

「何が馬鹿だ! 死者を復活させる等愚鈍の考える事でなく、失敗そのものを取り返す唯一の方法だぞ!」

 七華が拳を握り締めて言う。

「幾ら時間を巻き戻しても同じだよ。失敗した事実事態は貴方の胸の中にずっとあり続ける。失敗を取り消す事なんて、時間を戻したって出来ない!」

 四門が怒鳴り返す。

「うるさい! お前に何が解る! もう直ぐだ! もう直ぐ時間を巻き戻し、全てをやり直せるのだ!」

 七華は目を瞑り、強く自分の父親の事を思う。

 すると七華の中に六牙の声が響く。

『最後まで来たんだな』

 七華が頷くと六牙の声が続く。

『こっちも最後の仕上げだ。一緒に行くぞ!』

 七華は強く頷き両手を組み合わせて唱え始める。

『ああ、我等が守護者』



「もうすぐだ!」

 四門の狂気に引き寄せられる様に時空が歪み始める。



『天に道を成し、異界と結ぶ存在』



「ナナカさん!」

 レイン悲鳴を上げると、更に歪みが広がる。



『偉大なりし八百刃の使徒』



『ナナカ急げ?』

『ナナカさん頑張って!』


 コックピットにレイとゼロの叫びが響く。



『我が竜の血を触媒に』



「僕は信じているよ」

「お前の意地を貫け」

「負けるなど許さんぞ」

 壁の向こうの十二支、英志、百剣が言う。



『その力を行使し給え』



「俺達は、お前に全てを賭ける」

「皆、無事帰ってきて」

「竜武が貴女の助けになる事を信じてる」

「絶対、大丈夫だ。お前達は、明日へ繋ぐ七色の虹の架け橋なのだから」

 オペレータールームで、戻ってきた五郎、双葉、九菜、十斗が言う。



『霧流終奥義 天道龍テンドウリュウ

『霧流終奥義 天道龍』

 七華と六牙の天道龍同時に発動した。



 天道龍の時空を操る力が、バハムートヘルの心臓部の中心を貫き、歪められた時空ごと、バハムートヘルの心臓部を異世界に弾き飛ばされた。



「そんな馬鹿な……」

 言葉を無くし、倒れる四門。

 そして何を思ったのか、最後の歪みに自分から飛び込んで消えて行った。



 天道龍を撃ち終わった後、竜騎機将モードがすぐさま解けた。

 そのまま、床に落下する七華。

 壁が消えた為、こっちに来られた英志が、即座にレインを救出する。

「大丈夫か?」

 英志の言葉にレインが頷く。

「はい。それよりナナカさんの方は、どうですか?」

 百剣が七華を抱えあげて言う。

「大分消耗してるが、八刃はこの位では死なないから安心しろ」

 そして英志の力で、その場から脱出する一同。



 崩壊を開始したバハムートヘルの中で、ファザードと対峙する較が言う。

「作戦は失敗したみたいだよ!」

 ファザードは憎々しげに較を見て言う。

「次はきっと我々が勝つ!」

 そして消えていくファザード。

 較は溜息を吐いて通信機に言う。

「ファザードは逃げたよ。あちきも追撃するだけの余力無いから誰か迎えに来て」

『了解しました』

 双葉の返事を聞きながら、較が薄っすら白く光る右手を見て言う。

「力を使いすぎたみたい。気をつけないとね」



 バハムートヘルは、八刃が見守る中、霧流終奥義、天道龍が元で発生した時空の歪みに飲み込まれて消えて行った。



 その直後、レインがDSSのメンバーに竜人界とこの世界とを結び力が弱くなり、再びこの世界に戻ってくる事は出来ない事を告げた。

 そして、今すぐにも帰らないと、竜人界に戻る事も出来ない事も。



「色々迷惑をおかけしました」

 そう頭を下げるレインに十斗が言う。

「自分の世界に戻っても頑張るのだ」

 レインが五郎を見る。

 五郎は頭を掻いてから言う。

「自分の世界だ、自分の力で正しくしてみろ!」

 レインが強く頷く。

 双葉と九十九がそれを見て隠れて笑っている。

 その横では、レイとエースがにらみ合っていた。

『竜人界に戻ったら勝負だ』

『望む所だ』

 そんな二人の間に入るゼロ。

『二人とも、止めてください』

 レインが最後にもう一度頭を下げる。

 それに対して七華が言う。

「悪い竜が出たらあちきを呼んで、直ぐ退治に行くからね」

「その時はお願いします」

 そしてレイン達は竜人界に戻って行った。



 一ヵ月後



 学校の帰り道、三美が言う。

「結局、DSSって解散しちゃったんだよね?」

 隣を歩く七華が頷く。

「十斗は次の助力を必要とする者を探しに旅立ったし、九菜はそんな十斗が力を必要とするときの為に、大学で研究に勤しんでいるよ」

 三美は、写真の束を出して七華に見せる。

「お兄ちゃんと双葉さんの結婚式の写真出来たよ」

 七華がそれを確認しながら言う。

「五郎さんって十斗のコネで九十九達、竜殲滅部隊の面々と自衛隊に戻ったんだよね?」

 三美が頷く。

「今は後輩の指導をしてる。そー言えば、百剣さんや英志さんはどうしてるかな?」

 それには七華も首を横に振る。

「百剣さんの行方は、神谷でも不明。英志さんは新たな主を探して世界中を回ってるよ」

 暫くそのまま歩いていた後、七華が言う。

「ところで十二支さんとは何時から付き合ってたの?」

 三美は平然と言う。

「オケンセンを最初に倒した後から、あの時の宴会で告白されたんだよ」

 動じない三美に舌打ちをする七華。

「六牙おじさん帰って来てるんだよね?」

 三美の質問に七華が眉を顰めて言う。

「年頃の娘が居るって言うのに毎晩、煩いの」

 苦笑する三美。

「ねー七華は、将来どうするの?」

 それに対して七華が少し考えて言う。

「竜騎機将を乗るまではお兄ちゃんと較べて劣っている自分が、家の仕事継げるのか不安だった。でもいまは違う。自分一人の力で足りなかったら、他人から力を借りれば良いことが解ったから」

 竜牙刀になるアクセサリーとブンから貰ったアクセサリーを握り締めて誓う。

「立派な竜殺師になるよ!」

 そして七華は走り始めた。

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