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竜騎機将ナナカレイ  作者: 鈴神楽
変革編
13/17

無力?

 竜騎機将ナナカレイのコックピットに居た七華が爆風の消えた後見たのは、瀕死のロードドラゴンと装備の大半が融解した竜騎機将サウザントエースだった。

「ロードドラゴン確かキングだっけ?」

 七華の質問にレイが答える。

『ああ、僅かに戻った意識でエースの前に出て盾になった。そうしなければエースは間違いなく死んでいたな』

 七華も頷く。

 そんなナナカレイの前で竜騎機将オケンセンが言う。

『みたか、これが超竜騎機将オケンセンスペアーの実力だ! これならば一刃にも負けない!』

 七華が悩む。

「確かにあの破壊力と正面からやりあったら、お兄ちゃんでも勝てない気がする」

 そして、超竜騎機将オケンセンスペアーがサウザントエースの前に降り立ち言う。

『これは奴との契約でな、お前が一撃で死ななかったら伝えろと言われている』

 それに対して殆ど動けないサウザントエースに乗ったサウザントが答える。

『あの裏切り者が、何を私に言うというのだ!』

 暫くの沈黙後、百剣が答える。

『お前のお金は全て、奴の口座に入っているそうだ』

 その一言に動けない筈のサウザントエースが動き出す。

『なんて事を! あのお金を作るのに私がどれ程苦労したか知っているのか!』

 サウザントの言葉に百剣が言う。

『聞かされたよ、家柄しか取柄が無いお前は、金持ちの娘と結婚して、その家から金を恵んでもらい、企業を起こすが、無能なお前は失敗した。だからお前はその金持ちの妻の心臓を使って炎魔法の触媒を作成した。そして、裏でテロ活動して、金がある貴族から金を稼ぎ、貴族風を吹かせていたとな』

『だからどうした! 平民の女など、貴族である私の為に死ねて誉だったのだ! そうだ、貴族である私が何故、金が無いだけで平民に見下されないといけないのだ!』

 炎の魔法を連発するサウザントエース。

 しかし、突如動きが止まる。

『何やっているトカゲ! 早く動け!』

 次の瞬間、竜騎機将サウザントエースは解除されて、落下するサウザント。



 落下してくるサウザントを空中で受け止める英志。

 地上に着地すると同時に地面に降ろし、言う。

「今の話は本当ですか?」

 サウザントが怒りの表情でオケンセンスペアーを見ながら言う。

「それがどうした! そんな事より奴等に奪われたお金を取り戻すことの方が先だ!」

 英志は拳を強く握り締めて言う。

「お金など関係ないでしょう!」

 その言葉にサウザントが英志の方を向く。

「馬鹿言うな! 世の中、最後は金だ!」

『こんな馬鹿に協力した為にキングを……』

 エースがサウザントを睨みつける。

「無力なトカゲが煩い! お前もだ! あんな小娘に負けるなど恥を知れ!」

 英志は、もうサウザントを見ない。

「短い間でしたがお世話になりました」

 そして英志は影に消えていく。

 エースも瀕死のキングの方に飛んでいく。

 残されたサウザントは慌てて辺りを見回す。

 そこに居たのは、敵対者の竜騎機将が二体だけだった。

「おいお前等何処に行った! 貴族である私を護らないか!」

 その怒鳴り声に反応する者は、居なかった。



「百剣さん、あの人はどうするつもり?」

 ナナカレイのコックピットから七華が百剣に話しかける。

『俺としては試し撃ちが出来れば十分だ。それにもうあの男に殺す価値も無い』

 七華も頷く。

「それであちきとやる訳?」

 オケンセンスペアーが手を前に出して叫ぶ。

『我は神をも殺す意思の持つ者なり、ここに我が意を示す剣を与えよ』

 オケンセンスペアーの手に意思を凝縮して作り出された剣、神威が現れる。

「行くぞ!」

 七華も竜牙刀を生み出そうとした時、ナナカレイは倒れる。

『すまない限界だ!』

 七華は素早く竜騎機将ナナカレイモードを解除する。

 落下してくる小さな竜に戻ったレイをキャッチする七華は見た、先程とは比べ物にならない程傷が広がり、出血したレイを。

「意識しっかりもって!」

 神威を構えて居たオケンセンスペアーから百剣が言う。

『まだやるか?』

 七華が通信機を取り出す。

「ゼロの竜武は出せますか?」

 それに対して通信機の中の双葉は首を横に振る。

『ごめんなさい。今の状況では竜武玉に込めて打ち出せないの。こっちに戻ってこない限り竜騎機将には成れないわ』

「こっちは対抗戦力ゼロだよ!」

 七華の言葉に百剣が言う。

『そうか、後はあのデカ物を壊せばこの力が俺の物になる。そうすれば神谷こそ最強だという事を証明できるぞ!』

 飛び立つ、オケンセンスペアーの姿を見送りながら七華は、力の無さに泣いた。

「どうしてあちきは、お兄ちゃんやヤヤお姉ちゃんみたいに強くないの! あちきは竜騎機将無いと無力なの!」

 その時、瀕死のキングが喋り始めた。

『エース様、御無事ですか?』

 その言葉に、エースは頷く。

『お前のおかげだ。お前も頑張って生き残れ。そして私に尽くせ!』

 キングは弱々しげに言う。

『すいません。私はここまでです。しかしエース様でしたら、きっと弱き竜の解放する事が出来ます』

 そのまま目を閉じ、心臓の動きを止めるキング。

 エースは、七華の所まで来て言う。

『レインボードラゴンに言っておけ、お前を倒し竜に血統など意味無い事を示すと。そして我は宣言する。全ての竜の平等を!』

 そして飛んでいくエース。

 七華はその姿を見て涙を拭う。

「何の助力が無くなったあいつも頑張ってる。あちきも負けてられない!」

 七華は、傷付いたレイを抱きかかえて、DSSの地上班と合流する為に動きだす。

「竜騎機将がなければ無力かもしれない。でも竜騎機将があればまだ闘える。それにあちきは一人じゃない!」



 バハムートのオペレータールームに緊張が走った。

「もう手は無いの?」

 双葉がそう呟く中、十斗は突如、八子と現れた女性を見る。

「どうやってここに?」

 その女性は八子を指し説明する。

「八子さんは異世界で、時空神、新名ニイナって神に仕える巫女なの」

 八子が手をパタパタさせて言う。

「元巫女よ、巫女は処女じゃないといけないから。六牙としたからもう巫女のじゃないのよ。どんな事をしたかって言うと」

 八子の口を塞ぎ女性が言う。

「とにかく! 今でも空間を移動したり、時間を操り、傷を癒したり出来る。光の結界くらい無視して移動することは簡単なの」

 それで、今までの事を納得して十斗が言う。

「それで貴方は何者ですか?」

 その時、千剣がその女性に駆け寄った。

「母上」

 女性は笑顔で千剣の頭をなでる。

「私はこの子の母親、一文字千夜チヤと言います。娘がお世話になりました。それと甥が迷惑かけています。この始末は私がしましょう。話は聞いていました、竜騎機将と言うのがまだ一つここにあるのですよね。それに私が乗ってあれを撃退します」

 千夜は、メインウインドウに映るオケンセンスペアーを指さす。

「無茶です。素人が乗れるものでは物ではありません」

 双葉の言葉に苦笑する千夜。

「その位のハンディがなければ勝負にもなりませんわ」

 千夜の自信たっぷりの言葉に十斗が言う。

「誰か一文字さんをゼロと竜武、水無月の所に案内しろ」

 驚くオペレーター達。

「時間が無い早くしろ」

 そして千夜が竜騎機将に乗る為に移動始める。



「くそー弾があれば」

 マサムネのコックピットで悔しげにする五郎。

「いっその事体当たりでもしてやるか!」

 かなり本気で言う五郎に通信機から九十九が怒鳴る。

『馬鹿な事言うな、隊員が実行したらどうする!』

 五郎は髪をかきながら言う。

「すまん」

 それに対して九十九が言う。

『それにやるとなったらお前は一番後だ。少しでも確実に相手を撃退しないといけない以上、指示を出すお前が死んだら意味が無いからな。お前は竜殲滅部隊の隊長としてバハムートの乗組員を確実に護る義務があるのだから』

 歯を食いしばり、五郎が搾り出す様に答える。

「理解してるつもりだ」

 その時、バハムートから殆ど装備が無い竜騎機将が出てくる。

「七華は、まだ地上の筈だ。誰が乗っているんだ?」



「大丈夫なのでしょうか?」

 心配そうに言う双葉に、千剣をあやす八子が言う。

「少しはまともな勝負になれば良いわね」

「そう願いたいですが、装備なしの竜騎機将で、あの超竜騎機将オケンセンスペアーと勝負するのは殆ど無謀です」

 双葉がやはり止めるべきだったのでは無いかと思い、マイクを握ると、八子が言う。

「その位差があれば、少しはまともな勝負になりそうですね」

 その言葉を聞いて十斗が言う。

「千夜さんが負けるとは思わないのですか?」

 頷く八子。

 千夜が操る竜騎機将チヤゼロが手を前に出した。

『我は神をも殺す意思の持つ者なり、ここに我が意を示す剣を与えよ』

 チヤゼロから聞こえた呪文にオペレーター達が驚く。

 チヤゼロの手にオケンセンスペアーが持つそれより、遥かに洗礼されたシルエットの神威が握られる。



 百剣はオケンセンスペアーのコックピットの中で愕然としていた。

「千夜さん……」

『百剣どうしたんですか?』

 普段は無口なセンが思わず声をかける程、百剣の様子は尋常では無かった。

「あの神威、間違いない、俺の師匠千夜さんだ」

『百剣の師匠……』

 暫くの沈黙後、センが言う。

『当然強いのですね?』

 百剣は強く頷く。

「生身で闘えば全く手が出ない程に」

 躊躇していると、目の前のチヤゼロのスピーカーから声が出る。

『百剣、貴方が手に入れた力というものを私が見てあげるから本気で来なさい。下らない力で粋がっている様だったら、これ以上恥を晒さない様に殺すわ』

 百剣は唾を飲み込み、怒鳴る。

「何時までも貴方の下には居ない。この竜騎機将があれば、俺は最強に成れるんだ!」

 百剣はスペアーに搭載した竜の骨を埋め込んだ、竜牙刀等の応用兵器であるミサイルを連射する。

『ダークドラゴンプラズマ』

 センの呪文で、そのミサイルは完成する。

 人など一瞬で消滅させる電撃が篭ったミサイルは、四方八方からチヤゼロに向かう。

『下らない!』

 全てのミサイルが千夜の放つ闘気だけで爆散する。

『冗談は止めてください。あれは一発一発がダークノヴァと同じ威力がある筈です。計算の間違い?』

 戸惑うセンに百剣が言う。

「千夜さんだったらやりかねない。もう一発あれをやる。この位置からだったら後ろにデカ物あるから避けられない筈だ!」

『はい』

 力を溜め込む百剣とセン。

 百剣は闘気抽入ミッドを殴りつける。

「行け!」

『ダークドラゴンフレア』

 センの竜魔法の超高温の炎が、百剣の闘気とミックスして相乗効果であがった後、スペアーに搭載されたナナカレイのブラスターシステムを応用して作られたスペアー装置で連続倍増され、一旦力の方向性により二本の砲塔に別れ、発射される。

「いけーダークノヴァツイン!」

 百剣の声に応え、力の塊は目標、竜騎機将チヤゼロ直前でぶつかり、凄まじい破壊力を発揮する筈だった。

『こんな集束が悪い力が私に通じるなんて思うな!』

 チヤゼロの神威はぶつかる前の力の集束を一撃で消滅させる。

 集束を解かれた力は千夜の神威に巻き込まれる。

『返すわよ!』

 神威より一つに纏められた力がまるで槍の様になってオケンセンスペアーに迫って来る。

『直撃したらオケンセンスペアーでも耐え切れません!』

 センが叫ぶ。

「解ってる!」

 自分の闘気の全てを込めた神威でその槍を叩く。

 その瞬間、力が弾けてオケンセンスペアーを大きく弾き飛ばす。



 千剣が言う。

「百剣兄さんでは、母上に勝てない」

 その言葉にオペレータールームに驚愕が走る。

「兄さんってもしかして百剣の妹さん?」

 それに対して八子が訂正する。

「違うわ、千剣ちゃんと百剣は従兄妹よ。因みに百剣に神谷の技を教えたのは千夜さんよ」

 その一言に更に驚くオペレーター達。

「師弟対決だった訳ですね?」

 十斗の言葉に八子が微笑む。

「結婚して一文字家に嫁ぐまで、神谷最強と言われた千夜さんとの差は、竜騎機将でも埋められなかったわね」

 さっきまで圧倒的な力を放っていたオケンセンスペアーを歯牙にもかけないチヤゼロの姿に誰もが納得するしかない。



 オケンセンスペアーのコックピットで百剣は全身に広がる激痛に耐えながら、ぼろぼろの神威を構えた。

「これが神谷の最強の力。やはり神谷こそ最強なんだ! それなのに白風・霧流・百母の長の方が強いなんて、認められるか!」

 百剣の言葉に悠然と立つチヤゼロが言う。

『まさかこの程度の力が、八刃の限界だとでも思っているの? やはり私の指導が甘かったようね。この程度だったら貴方とそう年が変らないヤヤでも使えるわよ。それも極々普通に』

 百剣の神威を握る手に力が篭る。

「信じられない! 神谷こそ最強なんだ!」

 百剣は技も何も無く斬りかかる。

『今の貴方には何も言っても無駄ね。帰って頭を冷やしなさい』

 チヤゼロの神威が空中に何か描くのを見て、百剣は何が来るか察知する。

「セン最大防御呪文だ!」

 必死に防御為に力を溜め込む百剣。

『ダークドラゴンウォール』

 闇の壁がオケンセンスペアーの前に生まれ、そこに百剣の闘気が込められる。

狼波暫ロウハザン!』

 チヤゼロの神威から狼の形をとった衝撃波が発生する。

 それは、オケンセンスペアーの闇の壁と激突し、一瞬だけ止まる。

 しかし、闇の壁は無残にも打ち砕かれ、オケンセンスペアーにダメージを与え弾き飛ばす。

 そのまま海の中に落ちていくオケンセンスペアー。

『……限界です』

 センの言葉に百剣は膝をつく。

「まだ俺の力はあの人には通じないのか……」

『一度帰還して下さい』

 通信機から十三の言葉が聞こえてきた。

「帰還してどうしろと言うのだ!」

 強く反発する百剣。

『神谷の技が最強である事が否定された訳ではありません。逆に肯定する要因ですよ。次に霧流の者達に勝った時、神谷の技の更に最強性が認められる筈です』

 百剣は暫くの沈黙の後言う。

「セン、一度引くぞ!」

『はい』

 そして百剣はそのまま海の中をDDCの秘密基地に向かって動き出した。



 バハムートの七華の私室。

 七華は一人、落ち込んでいた。

「やっぱ最後は、パイロットの実力が問われるのか……」

 必死になってバハムートに戻った七華を待っていたのは、千夜によってオケンセンスペアーが撃退されたと言う報告だった。

「あちきじゃなく、お兄ちゃんやヤヤお姉ちゃんだったらこんな事に成らなかった筈だよね」

 その時、ブザーが鳴り、声がする。

「七華、居る?」

 千夜の声に驚き、ドアを開ける七華。

「千夜さんどうしてここに?」

 それに対して千夜が部屋の中に入り言う。

「百剣の事を頼みたくって」

 その言葉に驚く七華。

「頼むって千夜さんが撃退したんじゃないんですか?」

 千夜は苦笑する。

「致命傷は負わせてないから少ししたら復活できる筈よ。その時、貴女に百剣に勝って欲しいの」

 七華が首を横に振る。

「無理です。実力が違いすぎます」

 千夜が少し考えてから言う。

「百剣には悪い事したと思うわ。次期長候補だった私が一文字家に嫁いだ為、いきなり次期長候補にあげられた挙句、私と比較され続けた。それで神谷の意地だけを背負って、足掻いているの。でもね、そんな物に囚われる必要は無いの。最強を目指すとしても、神谷としてじゃなく、百剣として最強を目指して欲しいの。その為にもう一度、神谷の、私以外の人間に負けて、戦いについて考える時間が必要なの。それは規格外のヤヤでは駄目なの。貴女と正面から戦って負けた時、何かが変ると私は思っているの」

「どんなに期待されてもあちきにはそんな実力は無いんです!」

 泣き始める七華。

「でも勝ちたい理由がある。そして護りたいここ、バハムートとDSSがあるわ」

 首を横に振りまくる七華。

「どんなに勝ちたいって思っても、実力の差はどうしようも無いんですよ!」

 笑い出す千夜。

「本気で言っている?」

 意外な反応に七華が驚いていると千夜が遠くに視線を向けて言う。

「ヤヤが貴女と同じ年の頃、私はヤヤと本気で闘った。当時の私はどうにかして最強の座が欲しかったから一生懸命闘っていた。勝ちたい思いで負けるつもりは無かった。でもヤヤは親友の為、絶対勝つという思いを持ち、実際に私に勝った。自分の魂すら削る思いでね。その時の私とヤヤの実力差なんて、今の貴女と百剣の実力差と比べ物にならない程広かったわよ。多分百回やれば九十九回私が勝っていた。そのたった一回を強い思いで引っ張り寄せたの」

 千夜は七華の肩に手を置いて言う。

「貴女にヤヤと同じ様な強い思いがあれば、きっと勝利を手に入れられるわ」

 そして部屋を出て行く千夜。

 部屋に独りで取り残された七華は、普段は優しく普通だが、闘う時は強い意志を持って突き進む、憧れの較の姿を思い出し言う。

「あちきもああ成りたいから、ヤヤお姉ちゃんの真似してあちきって言い始めたんだよね」

 ペンダント状態の竜牙刀とブンから貰ったイルカアクセサリーを強く握り締めて決意を固める。

「今がその時なんだよね」



「次は、俺が撃退させる!」

 バハムートのオペレータールームで宣言する五郎。

 そこに七華がやってくる。

「いきなり何言ってるの?」

 七華の言葉に、まだ居座っていた三美が言う。

「オペレーターの人達が次にオケンセンスペアーが来た時も千夜さんを呼べば大丈夫だねって話していたら、五郎さんが怒った顔で怒鳴りだしたの」

 その言葉を聞いて七華が大声で反論する。

「それは駄目だよ」

 五郎が七華の顔を見る。

「お前もあの千夜って女性に任せるっていうのか!」

 睨んでくる五郎の顔を真っ直ぐ見て七華が宣言する。

「オケンセンスペアーにはあちき達、DSSが完勝するんだからね」

 その言葉に九十九が苦笑して続ける。

「そうですよね。独りではあの化け物に勝てると思うのは思い上がりだぞ五郎」

 意外な反論に顔を赤くしてそっぽを向き、五郎が言う。

「とにかく、DSS以外の人間の力なんて頼る必要は無い。俺達の力であいつを倒す。それで問題ないな!」

 七華が笑顔で言う。

「当然!」

 オペレーター達も強く頷いた。



「若いって良いな」

 司令用の椅子に座りながらそう呟く十斗に九菜が笑う。

「すっかりおじさんモードね。まーあたしもDSSの一員として少しでも有利に闘える様に竜武をパワーアップしないとね」

 そう言って去ろうとした九菜に十斗が言う。

「水無月は、十二支にあわせたセッティングに戻してくれ」

 笑顔で九菜が頷く。

「やっぱり信じるのね?」

 十斗が前を苦笑しながら言う。

「あいつもDSSのメンバーだからな」



 安倍本家の祭壇の前で十二支は、古びた十二枚の護符に力を込め続けていた。

「この護符だったらきっと、八刃の人間にも負けない式神を作れる筈だ!」

 自分の魂を練り込む様に十二支は、一心不乱に護符へ力を注ぎ込み続けて居た。



「剣一郎が帰ってきます」

 白風家の居間で較が泊りに来ていた千夜に言った。

「ダーリンが? でも焔さんと一緒にオーフェンの六頭首を追っていた筈?」

 首を傾げる千夜に溜息を吐く較。

「その六頭首の動きが妙だから、一度そいつの情報を洗いなおす必要があるって、一人こっちに戻ってくる事になったんです。それに修行にもなるって、ずっとオーフェン追っていた剣一郎が選ばれたみたいです。久しぶりですよね?」

 苦い顔をして頷く千夜。

「でも、あまり嬉しい再会じゃない気がするわねー」

 較も頷く。

「ここ一年ほど大きな動きが無かった分、大きな事やってそうなのが問題です」



 DDCだけでなく、七華や百剣が所属する八刃と敵対する組織、オーフェンも不信な動きを始めた。

 七華は、DSSは、超竜騎機将オケンセンスペアーを打ち破れるのであろうか?

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