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竜騎機将ナナカレイ  作者: 鈴神楽
変革編
12/17

連戦?

「皐月の方のどうだ?」

 十斗の言葉に、目の下にくまを作った九菜が言う。

「何とか、めどはついたわよ、問題は水無月の方ね」

 九菜がそう言って、設計書を見せる。

「どう考えても、今のままでは竜騎機将に対抗出来ないわ。一応ベース部分の製造は皐月と同じ位に終わるけど、そっから先は、未定よ」

 十斗が少し考えた後言う。

「パイロットの変更も考えないといけないな」

 その言葉に九菜が驚く。

「それって十二支くんじゃ駄目って事?」

 十斗が頷く。

「十二支は、能力的には低いわけでは無い。多分高いレベルに居るのだろうが、他の竜騎機将に乗っている人間が人外なのだから仕方無い」

「残酷じゃない?」

 自分の言葉に十斗が苦笑するのを見て九菜が首を傾げる。

「どうして笑うの?」

 十斗が少しにやけた顔をして言う。

「昔の自分と比較していた。昔の私だったら、即座に切り捨てていた。この位で残酷な事をしていると言われる程私も甘くなったって事だと思ってな」

「別に悪い事じゃないでしょ?」

 九菜の言葉に頷く十斗。

「ああ、無理にクールぶって人を傷つけるより増しだ。あの頃はそれが解らなかった。切り捨てる勇気こそ一番大切だと信じていた。馬鹿げた話だ」

 その言った後、十斗が少し悲しげな顔をして言う。

「あいつもそれに気付いてくれれば良かったのだがな」



「ねーねー、何か凄く嫌な雰囲気なんだけど、どうしたの?」

 恒例の学校帰りの寄り道で(今回はたいやきを食べている)で三美が言うと、目の前にたいやきを一口しか食べてないレイが硬直する。

「レインさんが、悪い知らせ持って来たの。それで全体的にダウン状態」

 七華の言葉に三美が首を傾げる。

「悪い知らせって、また大量の竜騎機兵がでそうなの?」

「最悪ね、まー逆に上手く行けば竜騎機兵の量が激減する可能性もあるけどね」

 七華はそう答えてからレイを見て言う。

「竜人界の方では、こっちに出稼ぎに出た竜を引き取らないって言ってきたの」

 驚いた顔をする三美。

「どうして! 犯罪者だって、自分の国に帰らされるのが普通じゃん」

 七華は少し悩んだ後言う。

「それって同族心からなんだけど、多分竜人界の竜や人は、出稼ぎに出る低レベルな竜を同族と思っていないらしいよ」

『そんな事は無い!』

 レイが大声を出す。

 周囲の視線が集まる中、レイは続ける。

『竜の巫女は、レインはどんな竜でも、人と一緒に暮らしていけると信じている。我もそうだ!』

 七華は困った顔をして言う。

「その考えにはあちきも賛成。だけど、その考えが通るほどその考えに共感する人間や竜が居ないっていうのも事実だよ」

 レイは再び口を閉じる。

 そんな時、一人の五歳くらいの少女が七華達の前を通り過ぎていく。

 何気なく視線を向ける七華達だったが、その少女は再び七華達の前を通り過ぎる。

 行ったり来たりを数回繰り返した後、少女の目に涙を溜まっていき、七華達の目の前で必死に涙を堪える少女。

 三美が慌てて近づき言う。

「お母さんとはぐれたの?」

 少女は頷く。

「一緒に探してあげる」

 三美の言葉に嬉しそうな顔をする少女。

「貴方の名前は?」

 三美の質問に少女が答える。

「拙者の名前は、一文字イチモンジ千剣チケン

 その時、七華の通信機が鳴る。

『七華ちゃん、ブルーブラッドからテロ予告。これから横須賀の米軍基地を襲撃するらしいは、それも竜騎機将で』

 双葉の言葉に七華が頷く。

「すいませんが回収お願いします」

 合流地点を確認し、七華が通信機を切った後、三美が言う。

「この子どうするの?」

 七華は、まだ不安げな少女と親友の三美を暫く見てから言う。

「三美一人で大丈夫?」

 期待を込めた言葉に三美は、はっきりと首を横に振った。



「それで、その子がここに居るのだな?」

 十斗の言葉に頬をかく七華。

「良いですよね?」

 逆に問い返す三美。

「一応、地域の警察官には連絡いれておきました。母親が見つかったら連絡が来ます」

 双葉のフォローに十斗が言う。

「仕方ない、このまま警官に保護してもらってもそのこが不安になるだけだしな」

「ありがとうございます」

 七華と三美が頭を下げる。

 千剣もつられて頭を下げる。

「とにかく作戦会議だ」

 そしてオペレータールームの中央のテーブル型ディスプレイに幾つかの立体映像が浮かび上がる。

「今回の作戦の肝は、敵の竜騎機将の分断だ」

 十斗はそう言うと、竜騎機将サウザントエースとハンドレッドキングの駒の間にマサムネを始めとする竜殲滅部隊の駒を割り込ませる。

「竜殲滅部隊がこの様に間に入り、二体を分断後、サウザントエースをひきつける」

 そして十斗がハンドレッドキングの駒の前に超竜騎機将ナナカレイゼロの駒を動かす。

「そこにDSS最大戦力、超竜騎機将ナナカレイゼロをぶつけて、力技で押し切り戦闘不能にした後、返す刀でサウザントエースを潰す。この作戦で一番難易度は高いのは、サウザントエースを戦闘機で押さえるお前達竜殲滅部隊だが、大丈夫だな?」

「当然な事を聞かないでくれ!」

 五郎が自身たっぷり答えるが、九十九が続けて言う。

「戦力から考えて、十分が限界と思われますので、十分でハンドレッドキングを倒してください」

 五郎が睨むのを無視して、言い切る九十九に七華が頷く。

「十分以上掛かる様だったら負けると思うから撤退する」

 その台詞に五郎が溜息を吐く。

「お前なーこーゆー時は無理でも出来るって言えよ」

「そうだな、十分で決着つかないようだったら、DSSとしては白旗をあげて撤退しろ」

 十斗も七華に同意する。

「はい。部下にもその様に伝えておきます」

 九十九が返事をする。

「お前等なー、どうしてそうネガティブな意見を言うんだ!」

 切れる五郎に、九十九が言う。

「これでも信じてるつもりだ、七華ちゃんだったらちゃんと十分以内にハンドレッドキングを倒せると」

 その言葉に何も言えなくなる五郎だった。

「それでは、各員最終準備に移ってくれ」

 十斗の締めにあわせて、散っていくDSSの面々。

「千剣ちゃんと言うんだ何歳?」

「拙者は五歳だ」

「拙者だって可愛い!」

 何気にその後ろでは千剣がオペレーターの人気者になっていた。



 十三は、DDCの秘密研究施設の中を歩いていた。

「もう直ぐ、あの愚か者達の最後ですね」

 妖しい笑みを浮かべる。

 その時、十歳位の少女とすれ違う。

 自分の記憶に無い存在に振り返る十三だったが、その少女の姿は見つけられなかった。

 十三は慌てて、この先にあるDDCの兵器開発を取り仕切っている四門の研究室に入る。

「今不信な子供が出ていきましたが、大丈夫ですか?」

 その言葉に対して、研究室の椅子に座っていた、四門ははっきり答える。

「それは私の客だ。気にするな」

 十三はテーブルを叩く。

「聞いていませんが?」

 それに対して四門が答える。

「DDCとは関係ない話だ。あれとの付き合いは私の趣味と思ってくれ」

 その言葉に十三は軽く深呼吸をした後言う。

「博士にそちらの趣味があったとは知りませんでした。言ってくだされば私が用意しましたよ。ですからもう部外者を入れるのは止めてもらいたいのですが?」

 交渉モードに入る十三に四門は頷く。

「解った。しかしもう良い。もう直ぐ目的が達成する。それは君も同じだろう?」

 四門の言葉に十三が笑みを浮かべる。

「それでは、手に入れたのですか奥さんを復活させる手段を?」

 頷き四門が言う。

「ああ、やはり鍵は竜の強大な生命力だった。必要な竜も揃えられそうだ。もうあいつは不要だ」

 その時、フォースが入ってきて言う。

「大変だ、竜人界の奴等はこっちに稼ぎに来た竜はもう帰還させないと言っている。これでは新しく竜を雇うのは難しいぞ!」

 笑い出す十三。

「なんとグットタイミングなのですかね。私は神様の存在を信じたくなりました」

 戸惑いながらもフォースが言う。

「状況が解っているのか? このままではこれ以上の商売が成り立たない。それでは私の計画が……」

 フォースの言葉が止まった。

 十三が懐から拳銃を取り出しフォースに狙いをつけていた。

「何のまねだ。私たちはパートナーだろう?」

 苦笑する十三。

「言ったでしょ裏世界でも信用が大切だと。信用させておけば、こうやって簡単に命を取れる」

 フォースは慌てて以前助けてくれた四門を見る。

「竜の知識は大変研究の助けになった。感謝する」

 フォースの顔に希望の光が浮かぶが、四門はそのまま、自分の研究を続ける。

「助けてくれないのか!」

 フォースが叫ぶと十三が言う。

「貴方の利用価値は丁度今無くなったのですよ」

 銃声が鳴り響く。

 血まみれの床の上でフォースが言う。

「この恨み絶対はらす!」

 そのまま息絶えるフォース。

「幾らでも恨んで下さい。私はその恨みの分だけ強くなります」

 そう言って去る十三は気付かなかった、フォースが最後の魔法を使った事に。



 横須賀米軍基地。

 エースの暴走によるダメージが癒え切らないこの基地は、今回のテロ宣言に対してDSSの強力を素直に受け入れた。

 そして、その横須賀基地、竜騎機将サウザントエースとハンドレッドキングが降り立つ。

『愚かなアメリカ軍め、己の身の程を知らず、他国に軍事基地を作る等、言語道断。私が成敗してやろう』

 サウザントエースの中からサウザントが宣言して、次々に炎の魔法を吐き散らした。



「横須賀米軍基地に竜騎機将サウザントエースとハンドレッドキングの襲撃を確認しました」

 双葉の言葉に十斗が宣言する。

「作戦開始だ!」

 ディスプレイに五郎の顔が映る。

『おう行くぞ、竜殲滅部隊マサムネゼロ、晴晴五郎出る』

 続いて九十九が映る。

『竜殲滅部隊ムラサメゼロ、晴野九十九行きます』

 二人に続き竜殲滅部隊が飛びたっていく。



『五郎どうする?』

 九十九からの通信に五郎が真っ直ぐ前を見て言う。

「作戦通りだ、あの両者の中間に入って、そこから一気に距離を空けさせる。後は、七華任せだ!」

 五郎は躊躇を一切せず、二体の中間に割り込むと、サウザントエースに向かってロンギヌススピアを放つ。

『そんな攻撃があたるか!』

 大きく避けるサウザントエースにムラサメのロンギヌススピアに電撃効果を追加させた兵器、ポセイドンサイを打ち込む。

『当たらぬと言っている!』

 サウザントエースはあっさり避けたが、ハンドレッドキングからかなり離れさせられた。



『作戦通り、サウザントエースとハンドレッドキングが離れました』

 七華はその双葉の声を特殊魔方陣室で聞いて居た。

 レイとゼロが並ぶ魔法陣の前に立ち、七華はアルテミスの祝福を掲げて唱える。

『大いなる魔力の源、月の女神アルテミスのその祝福を我に与えよ』

 七華の髪が光り輝く。

 そして魔方陣に一気にその光が伝染する。

『汝等戦う為にここに在り、今一時、その魂と体を一つにして、新たな戦いの姿をここに、レインボードラゴン・ゴールデンスカイドラゴン』 呪文に答えて、本来の姿に戻るレイとゼロ二人のブレスを受けて七華の姿が消える。

 二人の姿が重なる、レイが少し下半身太めな人のシルエットに、ゼロは手足が短く翼が更に大きくなってレイの背中に負ぶさる形になる。

 床が開き、一つになったレイとゼロが降下する。

 降下中に射出された竜武卯月型が二人の結合部をフォローし、武装に固めていく。

 そして全ての武装を身に纏った時、大きく翼をはためかせ、竜騎機将ハンドレッドキングに向って飛んでいく。



「サウザント様今ご助力に……」

 そう言って、動こうとしたハンドレッドこと谷走英志が乗る竜騎機将ハンドレッドキングのレーダーが上から接近物の警報を鳴らす。

「来たか」

 英志の視線の先には超竜騎機将ナナカレイゼロがあった。

『望みの船から生まれし』

 竜騎機将ハンドレッドキングを指差し、

『穢れし欲望を斬り貫く者』

 右掌に左手の拳を打ちつけ、

『崇高なりし刃』

 両腕をクロスしてその間から相手を見下ろし宣言する。

『超竜騎機将ナナカレイゼロ』



『ドラゴンコロシアムをお願いします!』

 バハムートのオペレータールームでは七華の要請に答え、すぐさま、闘竜の誓槍の準備が終る。

「闘竜の誓槍スターマーク!」

 その言葉にオペレーター達が、超竜騎機将ナナカレイゼロを中心に六亡星を描く様に十二個点をマークする。

「闘竜の誓槍、射出!」

「闘竜の誓槍、射出します!」

 そう言って、双葉が、手元のコンソールの六亡星型に配置された十二個のスイッチを次々に押していった。



 七華は超竜騎機将ナナカレイゼロのコックピットで呼吸を整え終わった時、超竜騎機将ナナカレイゼロの周囲に十二本の巨大な槍が降ってくる。

 その外円は竜騎機将サウザントエースやハンドレッドキングも包んでいた。

『我は闘う者なり、その誓いと共に、我等に真の戦場を与えよ、ドラゴンコロシアム』

 そして、空間がずれた。

 ほんの少しだけずれた異世界。

 異世界に故にこちらの世界に影響が無い場所。

 竜達の戦いの場所。

 竜騎機将ナナカレイのコックピットで目を瞑って集中した後、七華が構えて唱える。

『血の盟約の元、七華が求める、戦いの牙をここに表せ、竜牙刀』

 超竜騎機将ナナカレイゼロの手に竜牙刀が握られる。

『戦いの準備が整ったという事だな』

 ハンドレッドキングから聞こえる英志の言葉に七華が頷く。

「今度は勝つよ!」

 降下しながら斬りかかる超竜騎機将ナナカレイゼロ。

『実力の差を知れ!』

 影に消える、ハンドレッドキング。

 ナナカレイゼロは着地すると、地面の影から無数の影の刃が生まれて、ナナカレイゼロに襲い掛かる。

「レイ・ゼロお願い!」

『『ゴールデンドラゴンライト』』

 レイとゼロが放つ光の竜魔法が地面から影を消す。そして押し出される様に現れるハンドレッドキング。

『力技を!』

「パイロットの実力差はハッキリしているから、勝ってる竜の力で勝負させてもらいます」

 七華はそう言って、斬りかかる。

『小娘が普通にぶつかれば勝てると思ったか!』

 自らの背後の影から影の刀を生み出し、刃を交える二人。

「力はこっちが上!」

 強引に押し切ろうとするナナカレイゼロに対してハンドレッドキングは絶妙に引いてナナカレイゼロのバランスを崩す。

『未熟な腕では、私に斬り勝とうなど無理』

 出来た隙に斬りつけるハンドレッドキング。

「ゼロ飛んで!」

 七華の叫びに答えて、ゼロが竜の飛行能力で強引に体勢を直すナナカレイゼロ。

 影の刃を強引に弾き飛ばす七華。

「貰った!」

 返す刀で、ハンドレッドキングに攻撃をしようとした時、ハンドレッドキングが密着する。

『この状態なら光に死角が出来るぞ』

 次の瞬間ナナカレイゼロに無数の影の刃が突き刺さる。距離を空けるハンドレッドキング。

 大量の血を流して地面に膝をつくナナカレイゼロ。

「二人とも大丈夫?」

 七華の言葉にゼロが即座に答える。

『私は平気です』

 しかし、レイが返事には間があった。

『……大丈夫だ』

 七華が舌打ちをした、レイのダメージが大きい事に気付いたからだ。

「もう一回行くよ!」

 七華が宣言する。

『接近したらまたさっきのが、くるのでは?』

 ゼロが言葉に七華が言う。

「あちきを信じて」

 それに対してレイが即答する。

『解った行くぞ、ゼロ!』

 ナナカレイゼロがハンドレッドキングに特攻をかける。

 それを見て、ハンドレッドキングは新たに自分の影から影の刀を生み出して言う。

『同じ手が何度も利くと思うな』



 竜騎機将同士の戦いの隣では、絶対的にふりな五郎達の戦いが続いていた。

 マサムネのコックピットにスピーカーで増幅されたサウザントの声が聞こえる。

『お前等虫けらが幾ら束になった所で高貴なる我には勝てん!』

 サウザントエースの放つ炎の魔法を、必死にマジックイレーザーミサイルで迎撃する竜殲滅部隊。

『隊長すいません』

 そして今の一撃で、キクイチモンジがまた一機撃墜された。

『やっぱり竜騎機将相手は大変だな』

 そう言いながら余裕がある九十九の言葉に五郎が鼻で笑う。

「こんな力だけの奴、七華との模擬戦に較べたら楽勝だ!」

 魔法の炎を避けた五郎のマサムネのエクスカリバーがサウザントエースにクリーンヒットする。

『この程度利かぬ!』

 サウザントの言葉と裏腹にサウザントエースが片膝をつく。

「このままやれば俺達だけで勝てるぜ!」

 五郎の言葉に九十九の鋭い突っ込みが帰ってくる。

『馬鹿言っているんじゃない。始めから勝つつもりないから無駄弾撃ちまくって、何とか互角なのだ、到底止めさせるほど残弾は無い』

「解ってる!」

 不機嫌そうに言う五郎。

 そしてナナカレイゼロの方を見て言う。

「こっちは約束通り十分持たせる。だからお前も勝て!」



 再び刀を交えるナナカレイゼロとハンドレッドキング。

 ナナカレイゼロのコックピットで七華は力を込めて押し切ろうとするのに対してハンドレッドキングは、体重移動でナナカレイゼロの刀を自分の後方に逸らす。

「ゼロまたお願い!」

 再びゼロの竜の飛行能力で体勢を直すナナカレイゼロ。

『言った、同じ手は利かん!』

 密着するハンドレッドキング。

『これでお終いだ!』

「強化装備強制排除!」

 七華が損傷によって爆発する恐れがある装備を排除するスイッチを全部一斉に押す。

 ナナカレイゼロの装備が小型爆発装置による装備の強制排除が作動して、装備ごとハンドレッドキングとの距離を空ける。

「決めるよ!」

『ドラゴンヒール』

『ゴールデンドラゴンパワー』

 レイとゼロの竜魔法が竜牙刀を覆い、本来なら存在しない金色の虹の光が竜牙刀から放たれる。

「ゴールデンレインボーフィニッシュ」

 その一撃は、ハンドレッドキングの装備を完全に破壊した。



 英志は爆発の中、影走で安全圏に移動し、意識を失ったキングを見下ろす。

「竜の力差が有りすぎましたか」

 英志は目の前に立つナナカレイゼロを見て言う。

「だがまだ私は負けた訳では無い」

 主人を助けるチャンスの為、英志は相手の探査区域から離れた。



「まだ二人目作らないの?」

 霧流家の居間で八子が相対する女性に言う。

「作らないと言う訳ではないのですが、子育てが大変で」

 その女性が答えるが、八子は止まらない。

「子供なんて多少ほっといた方が良いのよ。何だったら千剣ちゃん預かるからその間に剣一郎ケンイチロウさんと思いっきりやったら? 一週間も通しでやれば子供の一人や二人出来るから」

 あまりもの露骨な表現に苦笑いする女性。

「それより、すいませんが千剣が居る所まで連れてってもらいますか?」

「それは良いけど、戦闘終わった後、七華に連れて来させれば良いじゃない?」

 八子の言葉に女性が少し困った顔をして言う。

「多分私がこっちに来た目的が達成出来る気がするのです」

 八子が首を傾げる。

「目的って何?」

「性質の悪い奴に引っ掛っている甥っ子を諌める事です」



「七華ちゃんからの通信です、合体を解除して、ナナカレイでサウザントエースにあたるとの事です。レイの怪我が酷く成る様でしたら、ベースだけでも構わないからゼロで出るので、竜武の準備をお願いしたいそうです」

 バハムートのオペレータールームの双葉が、七華からの通信を各部署に伝える。

「装備が無い超竜騎機将ナナカレイゼロより、完全装備の竜騎機将ナナカレイの方が良いだろう。しかしレイの傷は酷いのか?」

「怪我自体は酷くないですが、竜騎機将の状態は竜にとって負担になります。それが怪我を悪化させている可能性があります」

 レインの言葉に十斗が言う。

「九菜そう言うわけだからすまないが頼むぞ」

『了解。何とかしてみる。でも大した装備は期待しないでよ、最悪竜牙刀一本で闘ってもらう可能性あるからね』

『あちきはそれで構わないから急いでください』

 七華が、超竜騎機将ナナカレイゼロを解除して出血するレイを抱えながら言う映像がオペレータールームのウインドウに映る。

「竜武、皐月型、射出用意完了しました」

 双葉の報告に、十斗が頷く。

「竜武、皐月射出準備」

「竜武、皐月型射出体勢に移行して下さい」

 双葉の通信にそって、ハンガースタッフ達が退避、特別射出口のでかい金属の卵、竜武皐月型を格納した竜武玉が発射台に移動される。

 双葉は、竜武玉が完全に射出装置に固定されたのを確認した所で、専用スライドレバーを大きく後に下げて、固定する。

 そして、司令室の画面中央に射出用ターゲットが現れ、オペレーター達が一斉に最後の微調整を行い、目標地点、地上の七華とマークが重なる。

「竜武、皐月射出!」

「竜武、皐月型射出します!」

 双葉が、専用スライドレバーの解除と同時にスライドレバーが前方にスライドする。

 それに合わせて射出装置が移動し、竜武玉は特殊射出用デッキから射出される。

「高度カウントします。8000・6000・4000・2000・1000を切りました、魔方陣開放承認お願いします」

 十斗が二本突き出した専用レーバーを握る。

「真竜開放魔方陣展開」

 十斗がレバーを両側に開く。

 竜武玉の外殻が割れる。

 そしてそれは空中で巨大な魔方陣に転ずる。



「レイ頑張って!」

 七華がそう言ってレイを魔方陣に向って投げた。

『汝戦う為にここに在り、戦いの姿をここに、レインボードラゴン』

 その呪文に答え、レイは、魔方陣から漏れる竜人界から力を己が体に変換し元の姿に戻っていく。

 そしてその口から光の吐息が放たれ、七華を覆う。

 七華の姿が掻き消る。

 それと同時に、四足をついた状態だったレイが、直立し、まるで人間の様な体型になり、機械がレイの体の重要部分だけを覆い、その後、各種装備が展開装備されていった。

 補助翼とブースターが着いた皐月型竜武が展開された。

 竜騎機将サウザントエースの前に降り立った。

 竜騎機将ナナカレイが手を振り上げ、

『望みの船から舞い降りる』

 竜騎機兵ランドドラゴンを指差し、

『穢れし欲望を斬り裂く者』

 両拳を打ちつけ、

『純粋なりし刀』

 腕組をして見下ろす様にして宣言する。

『竜騎機将ナナカレイ』



 ナナカレイのコックピットで七華が詰問する。

「レイ正直に言いなさい、後何分もつの?」

 暫くの沈黙の後、レイの声がコックピットに聞こえてくる。

『三分は意地でもたせる』

 七華が頷く。

「上等だよ、あんな貴族のバカボンは、速攻で倒すよ」

 そしてサウザントエースからレイのライバルのエンペラードラゴンのエースが言ってくる。

『お前との決着はやはり私がつけないといけないな!』

 続いてサウザントの声が聞こえてくる。

『愚かな平民が、私に逆らった愚かさを知れ!』

 両者の緊張が高まった時、突如現れた大量のミサイルが、サウザントエースを包む。

 七華は流石に信じられない心境でそれを見た。

 空に浮かぶ竜騎機将オケンセンを。



 バハムートのオペレータールームは騒然とした。

「最悪なタイミング。アルテミスの祝福は使用済みでもう使えない、レイが負傷していて、ゼロの竜武は不完全。こんな状況で勝つのは無理よ」

 双葉の言葉はオペレータールームの全員の気持ちだった。

 十斗は一人苦々しい口調で言う

「やはりこのタイミングで仕掛けてくるか。まー予測は出来たが、やっぱりまだあの時のままなのだな」



 この状況を見ていた英志が苦々しく言う。

「やはりあの男を信用すべきでは無かったか」

 その眼前で、竜騎機将オケンセンが言う。

『お前には恨みが無いが、新装備の実験台になってもらう。来いスペアー!』

 百剣の言葉に答え、機械なのに生物的な質感な、二本の砲台を持つステルス戦闘機が、竜騎機将オケンセンと合体する。

 そして、砲台がサウザントエースに向けられる。

『ダークノヴァツイン』

 そのあまりもの破壊力は、安全圏に居た筈の英志すら爆風で吹き飛ばす程であった。

「サウザント様!」



 バハムートのオペレータールームから言葉が消えた。

 暫くして搾り出す様に双葉が言う。

「今の一撃はダークノヴァの二乗した破壊力はあります」

 双葉の報告にオペレーター達の顔から血の気が引く。

「なんで味方同士で?」

 レインの疑問に十斗が言う。

「あいつは貴族って生き物を毛嫌いしていた。最初からこのつもりだったのだろう」

「そのあいつが、甥っ子に引っ付いている悪い虫ですね?」

 オペレータールームに八子と共に一人の女性が入ってきて言った。

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