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竜騎機将ナナカレイ  作者: 鈴神楽
変革編
10/17

侵入者?

「知り合いをバハムートに招きたい?」

 十斗の聞き返しに七華が頷く。

「はい。凄くお世話になっている人で、親友と妹さんと三人です。何でもその親友がこの施設に興味が有るみたいです」

 十斗は少し考えて応える。

「良いだろう。ただし、基地に入る前に十分なチェックをさせてもらうぞ。爆発物持って居たら大変だからな」

 七華が苦笑する。

「それって無意味ですよ」

「相手を信用出来る出来ないって話では無い。どんな相手でもやる」

 十斗の返答に首を横に振る七華。

「その人は爆発物無くても、生身でこの施設を平気で壊滅させられる人ですから」

 その言葉に十斗は少し考えてから生身で竜騎機将オケンセンとやりあった一刃の事を思い出しそーゆーのも有りかと思った。

「まー念のためだ」



 そして、七華の知り合いがバハムートにやってきた。

「無理言ってすいません」

 頭を下げるポニーテールの童顔で保護欲を誘う少女。

「へーここがDSSの基地バハムートか」

 もう周りを見回すモデルみたいな綺麗なスタイルの大学生の女性。

「恥しいよ、挨拶くらい普通にしたら?」

 怒る、金髪碧眼の女子小学生。

 双葉が少し考えてから言う。

「ショートヘアーの人が知り合い? あまり似てないけどポニーテールの人が妹さんで、金髪の子が親友さんですか?」

 七華が否定する。

「違いますよ、ポニーテールの人があちきのお世話になっている人で、白風シラカゼクラベさんもう二十歳、その隣の人がその親友で大門ダイモン良美ヨシミさんで同じ年だそうです。そして金髪の子は、妹さんで、白風小較コヤヤで、あちきとは、対人技の姉妹弟子でもあるんですよ」

 凄く深い沈黙が訪れる。

「何で妹が、金髪なんだ?」

 五郎が無神経に問いかけると、九十九が肘うちして言う。

「馬鹿、色々事情があるんだろうが」

 そのやりとりに対して小較が言う。

「気にしないで下さい。あたしは養女なんです」

 双葉が思いっきり五郎の足を踏みつける。

「痛いなー、別に本人が気にしないでって言ってるんだから良いじゃないかよ」

 反省の色が無い五郎はバハムートのオペレータールームのメンバー全員から睨まれる。

 その中、汗をだらだら流す十二支が言う。

「もしかして白風較って、白風の次期長のあのヤヤか?」

 七華が頷くと十二支が慌てて、そばに行き頭を下げる。

「ヤヤさん始めまして、僕は安倍の十二支と言います。どうぞお見知りおきを」

 そんな様子を見て三美が不思議がる。

「なんで十二支さんってヤヤさん相手に緊張しているの?」

 七華が小声で応える。

「ヤヤお姉ちゃんってそっちの世界じゃ物凄く有名で、八刃でそこそこ影響力あるから、下手に嫌われたらそれこそ出世の見込みなくなるんだよ」

「なるほど」

 そんな会話をしている時に所用で席を外していた十斗が戻ってきた。

 そして較を見て言う。

「ヤヤちゃんじゃないか。それだったら私が招待したぞ」

 その言葉に全員が驚く。

「司令それってどういうことですか?」

 代表して双葉がきくと十斗が平然と応える。

「私が最初に企業を興した時に、十億近く投資して貰ったからな、私の持っている会社の株をかなり持っている」

 感心した顔で七華が言う。

「ヤヤお姉ちゃんって凄いんだね」

 較は照れくさそうな顔をして言う。

「凄いのは雨林さんよ。あちきはただお金出しただけもん」

「十億出せるって事実がとんでもないと思いますよ」

 溜息ながらに九十九が言う。



 イギリス、サウザンドの城の一室で、二人の日本人が話していた。

「それで私に敵の基地に潜入しろというのですか」

 ハンドレッドの言葉に頷く十三。

「ええ、百剣さんから聞いてます。谷走の人間は潜入任務も得意だと」

「異邪の中には人の組織に紛れる者も居いましたから。我等谷走は、その中に潜入して情報を奪う事もしましたが、盗人の真似事をするつもりはありません」

 はっきりと応えるハンドレッドに十三は、隣の部屋を見てから言う。

「残念ながらDDCダークドラゴンカンパニーの竜騎機将の技術はまだDSSドラゴンスレイヤーシステムに劣ります。その為貴方のご主人様に過度の負担を与え、今だろくに起き上がれない状態にしてしまっています。しかし、DSSの技術を手に入れられれば貴方のご主人の負担を軽減出来ると思うのですがね」

 その言葉に動きが止まるハンドレッド。

 十三は笑顔で言う。

「私は貴方の上司ではありませんから命令は出来ません。決めるのは貴方です」



「ここが、竜武等の開発を行っている開発室だよ」

 七華と三美の案内で、較達はバハムートの施設を見学して居た。

「ゆっくり見学していってね」

 九菜の言葉に較が頭を下げている間に良美が勝手に見学を開始する。

「ヤヤお姉ちゃん親友選んだ方が良いとおもうよ」

 七華の言葉に較は大きな溜息の後、良美を連れて物陰に行った。

「七華、九菜さんと十斗さんってラブラブで夜も熱々なんだよね」

 小較の言葉に七華が顔を押える。

「良く知ってるね、そうきっと夜は物凄く熱々らしいわよ」

 乗ってくる三美。

「ところできっと凄いプレイしてるって言ってたけど凄いプレイってどんなの?」

 小較の言葉に七華が言う。

「誰が言ったの?」

「八子さん」

 その答えに七華が怒鳴る。

「お母さんの馬鹿! 小学生に変な事を教えないでよ」



 バハムートの食堂

「こんな凄いのが空中に浮かんでるだから大したもんよねー」

 良美が関心する。

「実際どういう原理で飛んでるんだろう?」

 首を傾げる三美。

「ここの動力には万年竜の力が使われてるの」

 較が応える。

「解ります?」

 七華が聞き返すと較は普通に応える。

「まーね、開発中の時に入った事あるから」

 その言葉に驚く七華。

「本当ですか?」

 頷く較。

「バハムートは元々は、八刃殲滅作戦に使われる筈だったんだよ」

 その言葉に良美が言う。

「そじゃああの時の船がこのバハムートなんだ」

 そんな話をしてる時、一人の女性スタッフが来る。

「七華ちゃん、ちょっと困った事あるんだけど?」

 その言葉に七華が振り返る。

「どうしたんですか?」

「あのね言い辛いんだけ七華ちゃんのお兄さんから何度も電話が来るの。なんとか止めさせられない?」

 頭を抱える七華。

「うちの家族はどうしてこう問題を広げるかなー」

 そして較が微笑み言う。

「その時はあちきに、ヤヤに電話するって言ってください。直ぐに諦めますから」

 その言葉に女性スタッフが驚く。

「本当? 何か弱み握ってるの?」

 七華が手を横に振る。

「弱みなんて掴む必要なんて無いよ。お兄ちゃんはヤヤお姉ちゃんに逆らうなんて考えるだけで気絶するかも」

 その言葉に女性スタッフが言う。

「それってまさかこの子、竜騎機将と生身で戦った一刃さんより強いなんてことないよね?」

 その言葉に七華が断言する。

「半年前に半死半生にされてた。お兄ちゃんも馬鹿だよね。修行の時にエッチ本持ってくるんだもん」

 較が言う。

「多少のエッチは良いですが流石に成人コミックは駄目ですね」

 女性スタッフが数歩引く。

「もしかして較さんって物凄く強い?」

 大きく頷く七華。

「あちきが超竜騎機将ナナカレイゼロで戦っても、十分以内戦闘不能にされる」

 物凄い沈黙が訪れた。



「中々面白い子達だったわね」

 そう呑気に九菜が呟きながら研究していた時、影が立体に成る。

 そこから数名の男が発生する。

「殺すな」

 男達の中心に居たハンドレッドの言葉に男達は頷き、開発室をあっという間に制圧する。

「後は任せて大丈夫なんだろうな」

 ハンドレッドの言葉に男の一人が頷く。

「後味が悪い仕事です」

 舌打ちをしながらも数名を連れて次の目的地に向かって影に入りこむ。



「司令! バハムートと同高度に竜騎機将オケンセンが現れました!」

 双葉の言葉に一気に緊張モードになり、五郎がすぐさま駆け出す。

「総員一級戦闘配置! 竜武のスタンバイ急げ!」

 十斗の声が響く。



 食堂も慌ただしくなる。

「百剣にも困ったもんだね」

 溜息を吐く較。

「あちきは行きます!」

 そう言って駆け出す七華。

「ヤヤお姉ちゃんが相手すれば良いんじゃない」

 小較の言葉に良美が首を振る。

「これだから小学生は駄目ね。ウルトラマンVS仮面ライダーなんて番組は流行らないのよ」

 その言葉に小較が冷たい視線を向ける。

「何でもテレビと同一に考えるなんて、発想が子供だね」

「何だと!」

 二人が喧嘩を始めようとするが較が止める。

「ここは家じゃ無いから駄目だよ。それとあちきが公然な所で手を出したら、神谷も討伐に動き出す可能性があるよ。人が死でない内はガキの喧嘩と言う事で済ませたいからあちきが出るのはNGだよ」

 その言葉に良美が言う。

「お前もすっかり偉い人みたいだな」

 溜息を吐く較。

「仕方ないでしょうが、あの時、あそこまで事を大きくしたんだから。勝手に組織潰しても平気だった時が懐かしいよ」



「技術部竜武の発射準備はどうなっていますか?」

 報告が遅いメンテ部に双葉が連絡を入れたが、反応が無かった。

 十斗が不信に思う中、五郎の通信が入る。

『竜殲滅部隊マサムネゼロ、晴晴五郎出る』

 五郎のマサムネ達、竜殲滅部隊が出撃する中、十斗は、保安部に連絡を取る。

「急いで竜武の格納室に向かえ、嫌な予感がする」

「竜武格納室返信お願いします!」

 双葉の声が何度も連絡を入れていた。



『竜武格納室返信お願いします!』

 双葉の声がスピーカーから響く中、ハンドレッドによって連れて来られたDDCのメンバーが竜武強奪の仕事を行っていた。

「おい平気か!」

 ドアを叩く音が響き渡り、内部から完全ロックされた鍵を壊して、中に進入する保安部。

 すぐさま、拳銃をDDCのメンバーに向ける。

「大人しくしろ!」

 しかしその背後にハンドレッドが現れる。

「済まないが寝ていてもらう」

 あっさり保安部の人間を気絶させていくハンドレッド。

 安堵の息を吐くDDCのメンバー。

 そしてその一人が、保安部の人間に近づき頭を蹴る。

「脅かしやがって!」

 だが、次の瞬間ハンドレッドの拳がその男を壁まで吹き飛ばす。

 騒然とするDDCのメンバー。

「貴方達の仕事は竜武の強奪です。余計な事をしてないでさっさと済ませてもらいますか」

 慌てて作業に戻るDDCのメンバー達であった。



『宜しいのですか?』

 竜騎機将オケンセンのコックピットにセンの不満気な声が聞こえる。

「仕方ない。更なる力を手に入れる為だ、多少の気に入らない仕事もしなければいけない。俺には神谷こそ最強だという事を示す義務があるのだからな」

 その百剣の苦虫を噛み潰した様な言葉にセンが言う。

『すいません。私に力が無いばかりに』

「気にするな。力が無いのは俺も一緒だ。霧流の一刃そしていずれは若手最強といわれる白風のヤヤを倒す。そうすれば……」

 そして一枚の写真を見る。

 その写真には幼い頃の百剣と一人の女性が写っていた。

「あの人が叶えられなかった願いを代わりに叶える事が出来る筈だ!」

 竜騎機将オケンセンのレーダーにDSSの戦闘機の機影が映し出される。

「ふん来たか。暇つぶしに付き合ってもらうぞ!」

 ミサイルのボタンを押す。

「食らえ!」



『五郎、相手からミサイルの発射を確認、直後にレーダー視界両方から消えた例の奴だ』

 九十九の言葉に五郎が不敵な笑みを浮かべる。

「何時までも同じ技が通じると思うなよ!」

 五郎は相手に接近する。

 そしてタイミングを計り、対通常兵器用バルカンのトリガーを引く。

 すると次々とミサイルが撃墜されていく。

「今のタイミングだ、見えなくてもただのミサイルだ。発射時さえ捉えられればあとは、長年の感でどうにかなるぞ!」

 その言葉に、隊員から文句があがる。

『そんなの隊長しか出来ません!』

「無理でもやれ!」

 そして突っ込んでいきながらも確実に五郎は、相手の見えないミサイルを撃墜していく。



「保安部もやられたな」

 十斗は司令室の椅子に深く腰掛け言う。

「侵入者でしょうか?」

 双葉の言葉に頷く十斗。

「間違いないだろう。保安部にはそれなりにプロを配置していたつもりだったんだがな」

 その時、発射口で待機していた七華から通信が入る。

『どうしたんですか?』

「竜武の格納室と連絡が取れないのよ」

 双葉の答えにディスプレーに移る七華が少し考えてから言う。

『あちきが行ってみます』

 そういって駆け出す。

「待って持ち場を離れたら駄目よ!」

 双葉が忠告するが七華は止まらなかった。

「ここは七華にまかせるしかないな」

 そして十斗が言う中、発射口で待っている十二支が言う。

『任せて下さい、僕が前回の借りを含めて全て返してやります』

「問題がハッキリした所で保安部と切り替えないといけないな」

 十斗がそう呟いた。



 七華が竜武の格納室に向かって走っていた。

『しかし、バハムートに侵入者が入る事は可能なのか?』

 肩に乗ったレイの言葉に七華が難しい顔をする。

「可能性がある相手が居るの。この間の竜騎機将のパイロットが本当に谷走の人間だったら影移動でバハムートにもぐりこむなんて朝飯前だよ」

 その言葉にレイが溜息を吐く。

『あのヤヤって化け物と良い、八刃は人間と一線引く生き物だな』

 その言葉に七華が少し驚く。

「化け物ってレイはヤヤお姉ちゃんの戦う所見た事無いでしょ?」

 レイが恐ろしい者を見るような瞳で言う。

『お前等には解らないのだな。あのものの右腕には明らかに異質な力が宿っている。我々竜すら一瞬で殺しかねない大きな力が』

 その言葉に息を呑む七華。

 そして、格納室に入ろうとした時、肩を引かれる。

「七華ちゃんもう少し、気配を読むの得意にならないと駄目だよ」

 較が七華の肩を掴んでいた。

「隠れていても無駄だよ出てきな」

 較の言葉に、ハンドレッドが姿を表す。

「流石は盟主白風の次期長ですね。そこの霧流の娘とは違いますね」

 そして、大きな溜息を吐く較。

英志エイジさん、貴方はこれからは執事の技能も必要と、本場に勉学に行ったと聞いていましたが?」

 その言葉にハンドレット、本名谷走英志が言う。

「イギリスで私が仕える値する高い誇りを持った人間にあったのです。私はそのお方の力になる為に動くそれだけです。邪魔をすると言うなら貴方と言えど」

 その言葉に較が鋭い視線になる。

「まさかと思うけどあちきに勝てるとでも思ってるの?」

 較の視線に、年上で、実戦経験も豊富な英志が半歩下がる。

「まだ貴方の様に二十年も生きていない人間に負けるつもりはありません」

 そして影に消える英志。

 七華が必死に周りを見渡す。

「ヤヤお姉ちゃん何処から来るか解る?」

「小較、七華ちゃん中に入って英志の手下を制圧しなさい」

 その小較は頷くと中に入る。

 七華も少し躊躇してから中に入る。

 次の瞬間、較の背後から無数の影が較を襲う。

「どうしたら、その若さでここまで力を持てるんですか?」

 先程まで較が居た所から大きく離れた所に居た英志が腕に大きな傷を負いながら、後退する。

 較は英志の方を向きながら言う。

「色々修羅場をくくり抜けたからね」

 その時、バハムートに振動が走る。

「今回はこれで引くしかないみたいですね」

 そして影に消えていく英志。

 小較が格納室から出てきて言う。

「大変だよ竜武玉が一つ放出されちゃったよ!」



「竜武如月型の竜武玉が、緊急放出処理によってバハムート外部に放出されました」

 双葉の言葉に十斗が机を叩く。

「竜武が狙いか、格納室はどうなっている?」

 その時、格納室からのディスプレーに七華が移る。

『ヤヤお姉ちゃんが敵のボスを撃退してくれたけど、竜武が一つとられました』

「まあいい、済まないが直ぐに竜武弥生の準備を進めてくれ」

 その言葉に七華は頷き、周りの気絶させられていた人たちを起す。

「十二支は出てくれ」

『了解』

 そして十二支の動きを双葉が確認する。

「地上班、竜武の確保を急げ!」

 十斗がそう指示を出した時、メイン画面に移ったディスプレーに移った竜騎機将オケンセンが竜武玉に向かって飛び、竜武玉を確保する。

 その様子を見て驚くオペレータルームの中で十斗が言う。

「最初から竜武を確保する為に来ていたな。全て予定通りって奴だな、奴みたいな事を考える奴がいるのか、それとも……」

「竜武弥生型発射準備が最低限整いました」

 双葉の言葉を聞いて、十斗が頷く。

「竜武、弥生射出準備」

「竜武、弥生型射出体勢に強制移動します」

 双葉の言葉にそって、オペレーター室からの遠隔操作で竜武玉が、一本の巨大砲台にセットされる。

 双葉は、竜武玉が巨大砲台に格納された事を確認した所でアナウンスを流す。

「これより、竜武弥生型を発射します。各員対ショック体制を取ってください」

 そして、司令室の画面中央に射出用ターゲットが現れ、オペレーター達が一斉に最後の微調整を行い、目標、上空を飛ぶ十二支とマークが重なる。

「竜武、弥生発射!」

「竜武、弥生型発射します!」

 双葉が、プラスチックでカバーされたスイッチをカバーを叩き割りながら押す。

 竜武玉が巨大砲台から発射される。

「距離カウントします。2000・1600・1200・1000を切りました、魔方陣開放承認お願いします」

 十斗が円形の専用ハンドルを握り締める。

「真竜開放魔方陣展開」

 十斗がレバーを大きく回す。

 竜武玉の外殻が回転しながら割れる。

 そしてそれは空中で巨大な魔方陣に転ずる。



 後方から迫る魔法陣にゼロが接触する。

『汝戦う為にここに在り、戦いの姿をここに、ゴールデンワイバーン』

 十二支の呪文に答え、ゼロがその体を金色に光らせながら巨大化し、その巨大な翼をはためかせる。

 金色のブレスが十二支を包むと十二支の姿が消える。

 その巨大な翼はそのままに人のシルエットを形成する。

 その間に後方から迫ってきた装備がゼロの全身を覆った。

 そしてバハムートを背負い、

『望みの船から飛び立った』

 竜騎機兵達を指差し、

『穢れし欲望を打ち破る者』

 両手で印を作り、

『高尚なる印』

 両手を腰に当てて見下して宣言する。

『竜騎機将イフシゼロ』



「前回の借りをきっちり返すぞゼロ!」

 十二支がイフシゼロのコックピットの中で宣言する。

『はい。いつまでもレイ達にだけに負担を懸けられません』

ちゆういんぼうしんしんゆうじゆつがい。時空を司る十二の獣よ我が意に答え、我が式神と成りてここに』

 そして十二支が巳のボタンを押し、巳の護符を展開しゼロが

『ゴールデンドラゴンパワー』

 強化魔法をかける。

氷巳ヒョウミ

 蛇型の式神が現れて、オケンセンの周りを巡り、氷の塊をいくつも作る。

『何のつもりかは知らないが、所詮雑魚の術が通用すると思っているのか!』

 オケンセンから百剣が馬鹿にした様な声をで怒鳴った。

ちゆういんぼうしんしんゆうじゆつがい。時空を司る十二の獣よ我が意に答え、我が式神と成りてここに』

 十二支は百剣の挑発に乗らず、術を続ける。

 酉と寅のボタンを押し、酉と寅の護符を展開しゼロが

『ゴールデンドラゴンパワー』

 強化魔法をかける。

『雷寅・烈風酉レップウトリ

 雷を纏った寅と大きな鳥の式神が出現する。

 そして始めに雷寅が氷の塊にぶつかり次に烈風酉が起こす風が氷を粉砕して、全方向から氷をオケンセンに向けて放つ。

「氷とそれに纏わせた雷によるダブルアタックこれだったらあいつにもダメージを負わせられるはず!」

 十二支が宣言したしかし、結果は大きく違った。

 オケンセンは無傷でその場に居た。

『言った筈だぞ、無駄だと。所詮普通の人間が八刃の人間と争おうとしているのが問題なのだ』

 神威を振り上げる百剣の言葉に愕然とする十二支。

『十二支さん急いで回避を!』

 ゼロの叫びは無力感に苛まれる十二支には届かなかった。



「イフシゼロ撃沈、竜騎機将モードが解除されました」

 双葉の報告を聞き、十斗が呟く。

「確実に前回より強くなっているな」

 少し考えた後指示を出す。

「どうにかしてゼロをバハムートに連れ戻してくれ。最強の手札、超竜騎機将ナナカレイゼロを出す」

 その言葉に双葉が急いで、竜殲滅部隊に連絡を入れる。

 その時、ディスプレーに映ったオケンセンが飛び去っていく。

「逃げたんですか?」

 首を傾げる双葉に十斗が言う。

「目的を達成したから帰るだけだろう。奴にしてみればパワーアップが目的だからな」

 大きく溜息を吐いて言う。

「今回は完全にしてやられたと言う所だな」

 その言葉にオペレータルームに重苦しい空気が立ち込める。



「被害を報告してくれ」

 バハムートの特別会議室で十斗が言うと、双葉が立ち上がり言う。

「竜武如月型を強奪され、格納室のメンバーの四割が軽傷。開発室の情報は残らず盗まれ、同室のメンバーの二割が軽傷。保安部の人間十人が軽傷、一人頭を強く打ち現在治療中です。そして十二支が重傷、ゴールデンスカイドラゴンのゼロも再び竜騎機将になるには一週間以上必要かと思われます。そして竜武弥生型は大破、復旧は絶望的だと報告が入っています」

 十斗が九菜に視線を向ける。

「ええ、無理ね。あれを修理する位なら新しく作り直した方が早いわ」

「それで新たな竜武の作成にはどれだけの時間が掛かる?」

 十斗が淡々と訊ねる。

「幸い、如月はバージョンアップを想定していた為、皐月が八割方出来上がっているわ。それでも一週間は必要ね。弥生に代わる竜武に関しては今の所構想レベルなので、最悪一ヶ月以上かかるわ」

 九菜の答えに十斗が言う。

「皐月の完成を急いでくれ。これから一週間、その間竜騎機将が出てこない事を祈るしかないな」

 その後、細かい予定が決められて重苦しい雰囲気の中、会議が終了する。



『最悪のケースはあちきを呼びなさい』

 電話口の較の声は重かった。

「出来るだけそうならない様に頑張ります」

 七華はそれしか言えなかった。

 携帯電話を切り、七華が十二支が居る病室に入る。

「あちき達で対応するのは無理なの?」

 誰とも無く呟く七華であった。

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