どちら様ですか?あ、新聞なら間に合ってますから!……違うの?
主人公の真の名前が明らかに!?
どうしてこうなった……
うむ、無理矢理だね。
また間違えた。
すいませんね。
ソフィーアとシアとリュリュの三人と、庭園で一緒に寝るようになった。
寝てたら、いきなり俺の寝室から莫大な魔力の流れがあった。
三人もわかったみたいで、かなり警戒している。
警戒する必要ないと思うんだけどな。
だって、転移してきても俺の寝室にいるミミックズが捕食すると思うんだが……
まあ、俺が寝室で寝てる時しか襲わないだろうけど。
寝室のドアを開けると、女性がいた。
母親と言う言葉が似合いそうなおっとりとした雰囲気。
スタイルも良く、美人と言える。
そんな、服の上にエプロンを着た女性。
俺のもといた世界から来たのか?
寝台の横の机に、大事に保管されている虹色の宝玉が輝いていた。
アレが関係あるのか?
「……ユウ、君?」
『ユウ君?』
俺を含めた四人で、疑問符を浮かべる。
ユウ君って誰だ?
「ひさしぶりぃぃぃぃぃ!!!」
何故か抱きつかれた。
この包容力……何処かで……………思い出せない。
「行方不明になったって聞いて、ずっと心配してたんだよ!」
「わらしもひゃぐ~」
「はぐ~」
「な、なら私も!」
四方から抱きつかれ、身動きが取れない。
謎の女性の母性的な胸に溺れる様な状態。
だがしかし、この感覚何処かで……そう、マイホームだ。
……ん?つまり、どういうことだ?
「それにしても……縮んだ?」
この世界に来てから縮みました。
そういうアナタは、普通ですね。
「あれ?私、若返ってる?」
若返る?
……あ。
昔の母にそっくりだ。
……ん?昔の母にそっくり?
……俺は、この世界に来て若返った。
この人も、若返ったらしい。
そして、昔の母にそっくり。
……え?うそ?MAZIDE?
「?どうしたの?もしかして、ユウ君病気なの!?」
俺が口パクで、質問しているのにそれを無視してガクガク揺らしてくる。
……誰か、俺の代わりに喋ってくれ。
「わひゃった!」
ソフィーアが、ガッツポーズで俺の心の声に答える。
さすが元スケッチブック、頑張れ!
「あなひゃは、おきゃあはんでひゅか?」
「え、あ、ごめんなさい、何て言ったの?」
まあ、わかってたけどね?
誰か、そうだ!メイはいずこに!
ステータスを開きメールを送ろうとしたら―――
【現在充電中です、しばらくお待ちください】
「バカヤロォォォォォ!!!」
((((ビクッ!?))))
あ、今喋れた。
もう喋れないか。
四人がビビッてるよ。
どうすんだよ。
寝台の下に変化の杖が落ちている。
あ~そう言えば、なんだかんだで放置してたっけ。
ハッ!そうだ!
喋れないのは声帯がおかしいからだ。
つまり、正常な声帯にすれば良いんだ!
俺頭良い!……でも、今まで思いつかなかったよね……うん、忘れよう。
変化の杖を拾って、掲げる。
そして、この世界に来る前の姿に戻る。
「わ!わ!すごい!昔のユウ君が今のユウ君に戻った!」
「あ、あ、あ~……喋れるって、素晴らしい……」
感慨深いぜ。
まさか、こうすれば最初から喋れたなんて……最初に手に入れた杖なのにな。
まあ、それは置いといて……
「え~もしかして……母?」
「うん?そうだけど?どうしたの?」
「……改めて昔の母を見ると、美人だと思う」
「まあ!お母さんを口説こうなんて……でも、ユウ君なら……」
あ、この母危ない。
そう思った瞬間だった。
「それで……ユウ君って、俺?」
「そうだよ?緋命 優姫があなたの名前……忘れちゃったの?」
……思い出した。
その名前と容姿の御蔭で、よく男子に告白されてたな……
で、この人、つまり母の名前は緋命 巫女。
珍しい名前だよね~
じいちゃんとばあちゃんは、何を思ってこの名前をつけたんだろうか?
「ところで、この子達は……何?」
ソフィーアとシアを抱えて、言う母。
ん?そう言えば紹介してなかったか。
なんて言えば良いんだ?
……名前だけ言えばいいか。
「そっちの子がソフィーアで、その子がシアで、この子がリュリュだよ」
「ひょろひくおにゃがいひゃす」
「よろしく~」
「お、お母様でしたか!」
「……この子達、人間じゃないわね!」
何故わかった!?
「ふふ、これでも陰陽術が使えるのよ!」
母スゲー!
……その母の息子である俺は?
もしかして、荷物持ち用でしか役に立たないステータス。
これって、俺の陰陽術?
「……あははははは」
「あ、あら?ユウ君が壊れちゃった?」
「はははははははははは」
その日、俺は本当の名前を思い出し、母が一緒に暮らす事になった。
まあ、母ぐらいしか本当の名前で呼ばないけどな。
それと、俺は、三日壊れたままだったらしい。
母、こんなんじゃなかった筈なのに……
俺の考える小説内の母は、厳しくてかっこいい母かおっとりした天然な母の筈なのに……
ま、いいか。
次、どうしよう?
仕事仲間の人でも出してしまおうか?