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写真  作者: 心音
1/1

夜明け

水平線から太陽がのぼり、今日もまた夜が明ける。海の近くの高台にある一軒の赤い屋根の家の窓から、一人の少女が海を眺めている。

 

 「毎日が同じことの繰り返し。」


 そう呟いた少女はカーテンを閉め、ベッドに入ると目をつぶり眠りについた。

 

 夕方五時、目ざまし時計のアラーム音が部屋に鳴り響く。まだ重たい瞼を薄く開け少女はアラームを止める。ベッドから出てあくびを一つ。カーテンを開けると寝る前に見た風景と同じ。今度は夕焼け、太陽が水平線に沈む。

 シャワーを浴びて着替えをすませる。まだ乾いてない髪をタオルで拭きながら、冷蔵庫を開けペッドボトルに入った水を飲む。水分が身体にしみわたるような感覚。

 奥の部屋から声がする。


 「ちょっとー、また学校サボったの?」

 「うん。」


 少女の母親が、あきれ顔で少女に言う。


 「頑張って学校行きなさいよ、いじめられてるの?」

 「違うよ、ただ…学校ってつまらないんだよね。みんなくだらないことで笑ったり、可愛くなるわけでもないのに化粧したりさ。みてて恥ずかしくなるよね。」

 

 母親はため息をついて、なにも言わずテレビの方を向いた。少女は、冷蔵庫に入っていたチョコレートと水を持って二階にある自分の部屋へすたすたと戻って行った。


 バタン


 部屋のドアを閉めると、クローゼットを開ける。中には新品同然の制服が掛けてあった。制服を手に取ると胸ポケットから名札を出す。


 「香川花…変な名前、変な名字。そして変な制服。」

 

 胸ポケットへ名札をしまうと、制服をクローゼットへ戻した。机の上にあるパソコンを起動させる。花は、窓を開け外を眺める。むわっとした熱気が花を包みこみ、耳をすませると、波の音が聞こえる。


 「今日も暑かったんだろうな…学校はどうだったのかな?またどうせつまらない授業ばかりだよね。」


 しばらく外を眺めていると家の近くの公園に、高校生らしき女の子が二、三人集まっているのが見えた。


 「あっ…うちの学校の生徒じゃん。こんなとこで何してんだか…。またどうせ恋愛話とか愚痴だろ。」


 五分ほどすると少女たちは解散していった。その姿を見届けてから、花は窓を閉め扇風機のスイッチを入れる。パソコンの置いてある机に向かい、椅子に座るとカタカタとパスワードを入れてインターネットを開く。そして、あるホームページを開く。


 「H・K」


 そう題されたホームページの管理人は花であり、H・Kは花のイニシャルである。ホームページには花の日記や花が撮った風景の写真が公開されており、一日に五千人程度のアクセスがある。


 「さて、今日も日記書きますか。」


 七月一日

 今日から七月です。私は相変わらず学校には行かないでのんびり過ごしています。夕方に起きて明け方に寝る。同じ高校生とはま逆の日常。決して、学校が嫌いだったり、いじめられてるわけじゃないよ。ただ、学校なんてつまらないし自分のためになるか分からないだけ。同級生に友達は居るけど、みんな恋愛に忙しいみたい。私は…恋愛なんてくだらないことしてません。友達の恋愛をくだらないとは言ってませんよ。自分が恋愛をしていることがくだらないって言ってるだけ…。それよりも、写真撮っている方が自分らしい気がする。今月中に、一回だけ学校行こうと思ってます。どうした!ってびっくりしますか?な~んか今そんな気分なだけ。気分がのているうちに一回行こう。じゃないと一生行かない気がします。ではでは、今日はこの辺で。


一つため息をつく。冷蔵庫から持ってきたチョコレートを口に入れると甘い味とチョコレートの香りが広がった。




 

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