Episode 0
もう1つ作品を抱えている身でありますが、構想中に前から書きたかったイメージが膨らんできたので書き始めてしまいました。
今回は、コメディーさよりシリアス部分が増えると思います。
物語前半はかなり暗い雰囲気で始まります。
では、お楽しみ下さい。
「この状況で、おまえ一人で何が出来る??」
床に伏せている一人の少年を囲む如何にもマフィアと呼ばれる集団。
人数は軽く20人を超えている。そして各々の手には銃が握られていた。
握られた銃の種類はバラバラだがグリップの部分に蛇が交差した紋章が描かれている。
満月の光がこの部屋に差し込みその様子を映し出す。
男の顔、そしてこの部屋の角に転がっている2つの死体。
「お前の父親を探すのに苦労したぞ??周りの奴を何人巻き込んだか解らないしな。」
伏せている少年に向けリーダー格の男が静かに語りながら腰を後ろに回しながら銃を取り出す。その手に握られているのは『砂漠の鷲』則ち、『デザートイーグル』だ。
銀色の銃身には蛇が彫り込まれており、暗闇の中で不気味に輝いている。
「さて、ロケットを渡してもらおうか?」
「・・・」
「終わりの時間だ。」
マフィアの言葉と共に銃が轟音と共に弾を撃ち出したた。
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咄嗟に俺は、ベッドから飛び起きた。
「また、あの夢か…。」
忘れようにも忘れられないあの日の出来事。
俺が人生いう名のレールから脱線し、下へ下へと落ち始めた日…。
ベッドの脇に置かれた携帯を開き時刻を確認する。
時刻は午前4時。
3月の終わりということもあり、まだまだ冷え込む時期だ。
カーテンを開くと一流ホテルということもあり、東京タワーに反射する朝日という贅沢な景色が一望できる巨大な窓。
一般人なら感嘆の声をあげるところだが生憎、そのような感情は浮かばない。
ベッドの下に置いてあるギターケースを取りだしファスナーを開ける。
中には黒塗りの部品が入っていた。
馴れた手つきでそれを取り出し、一品一品組み立ててゆく。
3分程で『SR-25』の組み立てが終わり、バルコニーに銃を置きながら自分も寝そべる。
脇に置かれた計測器で風速、距離を確認する。
北風、風速6m/s
距離1242m
スコープのダイヤルをカチッカチッカチッ…と調整する。
銃口をバルコニーの手すりの間からから首都高に向ける。
スコープを覗きながら俺はその瞬間を待つ。
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真っ赤な一台の車が朝の首都高を疾走して行く。
「Ferrari F40」
跳ね馬と称され、皆が憧れ車の一種だろう。
サングラスをかけ、その車に乗っている一人の男がいた。坂口達也、それがこの男の名だ。。
「いやぁ〜。昨日は儲けたな…あのバカ女、早速要求してきやがった。これだから薬中は…キャハハハ!!」
車内で一人笑い声をあげながら男は車を走らせる。
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「来たか。」
ビルの間からチラッと見えた赤色の車体を確認し、トリガーに指をかける。
トリガーを引き絞り、弾が発射される。
パシュッ。
カランッ、カランッ…。
薬莢が地面に落ちるとほぼ同時に弾はフェラーリのタイヤに命中し、車体は一瞬バランスを崩したまま、カーブに差し掛かり壁に突っ込んだ。
時速150kmオーバーで壁に突っ込むのだからたまったものではないだろう…。
炎上し数千万が塵になっていく様子はなんとも言えないが…。
その様子を確認し、銃を再度ばらしてギターケースにしまった。
携帯でどこかに連絡し、ギターケースをベッドの脇に立て掛ける。
朝9時。
予定通りにチェックアウトし、俺はギターケースを担ぎながらホテルを後にした。
いかがでしたか?
とりあえずプロローグ的なものです。
※銃器紹介。
この物語では銃器が結構出てくるのであとがきの場を借り簡単に紹介して行きます。
・SR-25
7.62x51mm弾を使用する、スナイパーライフル。装弾数はマガジンによって異なりますが作品では20発のものを使用しています。本作品のものはサイレンサーを取り付けたモデルになります。
・Desert Eagle
いわずと知れた有名なハンドガンです。拳銃用弾薬としては最大の50AE弾を使用するものが有名です。本作品では一応50AEとして登場していますが、使い勝手が悪いので主人公はあまり使用しません。