二話 身体能力の問題と発見
俺は目的に向けて動き出した。
ギルドに行き、掲示板に"似たような人はいないか"という感じの内容の文書が綴られた紙を貼る。
新顔が突然貼ったものだから、気になってぞろぞろと見に来たがつまらなさそうな顔をしてすぐに解散した。
その後、出店に同じ内容が綴られた紙を貼る許可を貰い、何枚か貼らせてもらった。
訝しんで拒否する人や、みすぼらしい人物が来るものだから「お前がいちゃ商売上がったりだよ!帰ってくれ!」とそもそも許可以前の問題だったりもした。
そうだな……新しい服、いや装備でも買ってクエストにでも出てみるか。
ゴブリンくらいなら倒せるだろう。
そう楽観的な考えで装備を買い漁り、とりあえずシュミレーションをしてみることにした。
街のハズレにでかい広場のようなものがあるため、そこで色々やってみたが……
結果は酷いものだ……。
50m走は14秒後半、持久力もノミ以下、ゴブリン1匹にすら翻弄されて殺されるのが目に見えるな。
某SA〇みたいに動けると思ってたのによぉ〜
広場に大の字で寝転がり、空を見上げた。
「にしても、俺がここまで真面目に行動したのは何時ぶりだろうな。」
ふと、そんな考えがよぎった。
俺はなんでも出来ると思っていたからこそ、やってこなかったことの方が多い。
真面目になにかに没頭するなど1度たりともなかったからだ。
初めてやったことだが、何か違う自分を見つけられた気がする。
少し爽快感と達成感がある。
「意外と……面白いもんだな。人生って」
そう言いながら俺は立ち上がり、とりあえず近い目標を決めた。
ひとまずダイエットだろうな、こんな脂肪が付いた体では自己防衛など以ての外だ。
そう意気込んだその日から俺は欠かさず毎日ランニングと筋トレと剣術をこなした。
日に日に見違えていく俺の体が努力の証として残されていくのを感じる。
達成もあり、体が軽くなっていくのもあり、なにか自信も着いてきた。
やって良かったと心から思えた。
そんなある日
俺は図書館で調べ物をしていた。
大した収穫は無いだろうと考えていたが、そうでもないようだ。
『世界の変化について』というタイトルの本が存在した。
その中には、この世界の技術では到達出来ない程の技術が組み込まれた機械がこの世界で発見された。
という内容が書き込まれている。
どうやら世界が変化する際、どういう訳か取り残されたテクノロジーがあるらしい。
スマートフォンやパソコンなど様々だ。
海の底に沈んでいたものを発見した人々は、それに対する研究を進めたらしい。
それにより科学者の中で色々な意見が出ている。
「この世界は既に1度滅んでいたのではないか」
「宇宙人のようなものがこれを置いて帰り、我々を試しているのではないか」
など様々だ。
それにより俺はひとつ分かったことがある。
この世界は
「元の世界を上書きして作ったもの」
だということだ。
それもそのはず、全てが変化しているならば
俺は家から直ぐに飛び出せなかった。
家に帰って母親の顔を見に行くこともできなかっただろう。
それに、俺がほっつき回っただけで偶然ギルドに到達できるわけが無いからだ。
つまりこの世界のレイアウトは元の世界から全く変化していないことが伺える。
これは……正直飛躍しすぎだが、上書きというのがどうも自然らしくない。
意図的な生成物らしい雰囲気を感じてならないのだ。
自然ならもっとハチャメチャで、俺が目が覚めた時、あの夢みたいな草原にいた方がまだ納得できる。
……まあこれは仮定の話だ。
気にしすぎると今後の思考の障害になりうる。
と、今日はこの辺にしておこう。
収穫も多かったしな。
少し満足し、俺は図書館を後にした。
この後は……月1のお楽しみの娼館に行こうではないか。
この世界はどうも美人が多いのだ。
エルフからドワーフ。猫耳の獣人ももちろん存在する。
正直月1と言わず週1……いや毎日行きたいが、それは俺の収入的に厳しいのだ。
もとの世界で風俗だった場所がそのまま娼館に変化しているため、場所はもちろん覚えている。
1回しか行ったことないが……
なんだ?お前はみすぼらしい上デブだから門前払いでもされそうじゃないか?って?
安心するんだ。俺は筋トレと剣術の成果でムキムキマッチョさ。
自身の筋肉をピクピクさせながら娼館まで大股で歩き向かった。
到着。いつでもこの雰囲気は緊張するな…
ピンク色に光る入口。
人気ナンバーワンからテンまでの嬢の写真が至る所に張り巡らされている。
異世界っぽい!
俺はそのまま娼館に入り……そうだな…今日はゴールデンレトリバー風の犬耳の獣人にしておこうか……
甘やかされたい。
「ラミィ・エンドール」という名前の子を選んだ。
完全に異世界!
俺はこの世界に来て自信もついたからか、異世界を存分に楽しめている気がする。
前の俺ならば、モジモジし恥ずかしくなって家に帰っていただろうな。
俺は部屋に向かい……行為を済ませた
内容を書いても良かったが、それは絵で描いた方がもっといいだろう。想像にお任せしたい。
絵師!頼む!誰か描いてくれ!
そんなこんなで俺は着替え、娼館を後にしようとしたその時、ラミィがとある人の名前を口にした。
俺がよく知っている人物だ。
誰よりも、1番に知っている。
「ねぇ、アナタって……サカモトくん……よね?」




