第五話 放課後は、スライムに教えを乞いました。
放課後。
色々な生徒が立ち上がっては、雑談したり、
部活動に励んだり、友達で帰ったり、遊んだりする
時間帯。
そんな青い春の時間帯を捨てて。俺はある人に質問
していた。
「そうねぇ〜....かぐや姫が月に行った理由ねぇ〜」
「教えてください。ーーーー姫並先生」
今俺の前にちょこんと座り、頭を捻っている先生は。
姫並 美怜先生。
可憐で男子の人気が高い。
国語兼音楽の先生で、板田ゼルガ先生の妹。
ゼルガ先生は結婚して板田になったらしい。
この学校の教師はなぜこうも美男美女ばかりなのか。
最早。職員室は顔面高偏差値の魔境と化していた。
「竹取物語は、高校3年生でうちの高校は
やってるからぁ。
2年生の時雨君にはまだ早いわよぉ?」
「ええ。構いません。
それに別に勉強のためじゃなくて、
なんか、聞きたくなったんすよ。」
「そぉ?なら良いわよぉ。」
相変わらず口調が柔らかい先生だ。
へにょへにょしている。ついたあだ名は
スラ並先生。スライム並に柔らかい口調だから。
スラ並らしい。本人は認知しているにだろうか。
「してないわよぉ」
心を読まれてしまった。
「かぐや姫はぁ、厳密には月に
帰ったんじゃなくてぇ。月から追い出されたのよぉ」
「え?そうなんですか?」
「うん。元々月に住んでてぇ、罪人として地球に
来たって竹取物語では言われてるわぁ」
「じゃあ、戻れたのは、刑罰が解消されたから?」
「そうなんじゃないかなぁ。
そこまでは書かれてないけどねぇ。」
「そうでしたか....ありがとう御座いました!」
「いえいえ〜」
そう言って俺は職員室をでて、1人遅れて
帰路につく。帰り道には、先ほどの生徒の賑わいは
もうなくなっていた。
さて、整理しよう。
かぐや姫。彼女は何らかの罪を犯し、地球に送られた
もし、瑠夏もそうならば。あいつは何かの罪を
犯していることになる。
いやいや、流石にそんなはずはない。
幼い頃からずっと見てきたんだ。
そんなことなかった。
いや、待てよ。
かぐや姫は確か。竹の中にいたよな。
赤ちゃんの状態で。
そうなると。瑠夏が、一度赤ん坊に戻され、送られた
と仮定するならば?
俺が、翁役だったとしたら?
.....いや、そもそも。現実的に考えて、
月には何もない。瑠夏も月生まれなんかじゃない。
何を俺は真剣に考えているんだ。
瑠夏のいつもの戯言だろ。
..............でも、気になるんだよなぁ。
あいつは、一体何なんだよ。
「快斗。悩んでね。私。どうかしちゃってるよ。」
「!?」
かぐや姫の声。甘い音色。
だが、振り返っても。誰もいなかった。
ただ、長い俺の帰路の軌跡が、まるで歴史のように。
続いているばかりだった。
紅い空は。今日も。1日の終わりを告げていた。




