1/7
プロローグ 私、かぐや姫。今、あなたと物語始めるね?
「私、かぐや姫なの」
木の葉から垂れる水が出す神秘的な音が響く、湖。
夜の帷は降りきって、12月の寒さを強調している
今日。いきなりそんなことを言われた俺は、
「ーーーーーーは?」
と、素っ頓狂に返すしかなかった。
これは、俺と、月の住人が織りなす、伝説となる
物語。
さっき急激な爆弾発言を投下し、俺が
危うく湖に飛び込む原因を作った
彼女の名前は、三田 瑠夏。
いわゆる幼馴染だ。昔から不思議なことを言う彼女だが、
「遂に、狂ったか....」
「ねえ待って私そんなに変なこと言った!?」
「いや変だろ、なにいきなり『私かぐや姫』とか言ってんだよ。」
当の本人は全く自覚がない。
「あれ?言ってなかったっけ?」
あぁ。母さん。俺がおかしいのかな。
「..............」
「ねえ、ねえってば!」
「はいはい分かりまちたよ〜かぐや姫〜可愛いでちゅねー」
「.......キレるよ?」
「おい辞めろ」
「あーまた『お腹の子と私見捨てるの?』って大声で言っちゃおうかなぁ!」
「分かった分かったから!
頼むから伝家の宝刀出すな!
妄想で妊娠すんなや!」
「だって、信じてくれないじゃん」
「お前なぁ、今までかってた犬が急に猫でぇす!つって喋ったらどうする?」
「猫ってことにする!」
「もうダメだこの子」
こうして俺とこいつの物語は、
詰みかけから始まった。




