異世界に頭の悪いギャルが転生したら無双した
「はぁ?ここどこよ!?」
気がついたらダッサイ格好をした色白の弱そうな女がキモイ大きな鏡の前に写っていた。
これあたし?あたしどうなっちゃったの?
少しだけ思い出すと、そういえばあたし友達と喋るのに夢中で、車道に飛び出して跳ねられそうになったから避けたら、そこから崖から落ちて死んだんだっけ?
うわ最悪じゃん。でここどこよ、天国ってやつ?
うわー死んだ爺ちゃんに会えるかな?でも友達に会えないとか最低じゃない?
こう思っていると知らん女がいきなり部屋に入ってきて、「お嬢様」とか何とか言うでは無いか。
なんだここはメイドカフェか?天国にもそんなものあるの?
「あんたメイド失格でしょ!メイドはご主人様って言うものよ!」
よく知らないけどオタクはこんな感じじゃないの?ほらせっかくメイドカフェならそうしなさいよ!
「……お嬢様?どうなさいましたか?」
はぁ?こいつノリ悪すぎじゃね?
「うるさいな、アンタつまらんどっかいけ!」
「も……申し訳ありません!」
なんか慌てて立ち去っていった、ノリわるー、白けるわー。
それにしても天国がメイドカフェなんて知らなかったなー、爺ちゃんきっと驚いてるだろうなー。メイドなんて下手したら多分知らないぞ。昔の人だし~。
会ったら感想を聞いてみたいね!
すると何か態度のデカそうなおっさんがさっきのつまらん女と一緒にやってきた。
「ミリアよ、様子がおかしいと聞いたが大丈夫なのか?」
「はぁ?あたしはミリア何て名前じゃねぇ!何言ってるんだこの髭親父!」
「な……何だお前のそれは、一体どうしたというのだ!」
「はぁ?あんたつまらないんですけど、何様なん?」
何か偉そうな髭親父にイライラしてきた。あのさぁもしかして執事ってやつ?それにしては態度がでかくない?
「何様って、お前の父親に決まっているだろ!」
「はぁ?馬鹿言わないで、あたしのパパは死んでないから天国に来てないっつうの!」
あー先に死んで親不孝しちゃったわ、喧嘩ばかりしたけど、ごめんねパパママ!
「……本当にミリアはおかしくなってしまったようだ……すぐに妻に相談せねば……」
何かわけのわからないことを言って、髭親父も去っていた。
あのさぁ、ここメイドカフェ失格じゃね?天国も言うほどいい世界じゃないってこと?
それともまさか善行を積んで生きてきたあたしが地獄に落ちたとかあるの?いやそれはないな!
あたしいい奴だったしな!
すると今度は変な派手な格好をした女がさっきの髭親父とつまらん女を連れてやってくるではないか!
「ミリア、お父様から聞いたわよ、何か嫌なことでもあったの?」
「だからあたしはミリア何て名前じゃねぇって言ってるだろ!」
「見たか?ミリアがおかしくなってしまっただろ、ワシはどうしたら……」
はぁ?おかしいのは自称父親を名乗るお前だろ!あたしは援交なんかしてねぇから赤の他人のパパなんかいねぇっつうの!
「あなたはは少し下がっていて、私が話を聞いてみるから」
こうしてつまらん女と髭親父は部屋の外に行き、派手な女だけ残った……
「あなたはミリアじゃないって言うけど、じゃあどこのどなたなのかしら?」
なんだこの女、あたしは知ってるぞ、こういう下手に出た振りをする大人が一番信用できないってな!
補導のババァとかその典型だったからな!
あいつらウザいだけで役に立たなかった、ほんま最低だったね。
「うるさいなー、お前なんかに何であたしが答えないといけないんだ!」
「……ごめんなさいね、でもどうしてそんなに乱暴になっちゃったの?」
「はぁ?何で乱暴になったらいけねーんだ!言ってみろや!」
「……貴女は公爵令嬢ミリアでしょう?だから乱暴なんてよくないのよ」
……話が通じないにもほどがある、何であたしがミリアとか言う奴にならないといけないのか!
でもこのひ弱で色白そうなのがあたしなんてわけもないから、本当にあたしはミリアになっちゃったの!?
どういうこと?天国は別人になるみたいな設定でもあるの?そんなの嫌だよ。
あたしの可愛くてガングロなカッコいい姿を返してよ!
そう思うと悲しくなってきた、全然天国じゃない!もしかしてここ地獄なの?そんなのヤダよ、あたし募金だってしたことあるのに、地獄なんてあんまりじゃないかー!
……とりあえず泣きたくなったが、こんな変な女の前で泣きたくないんで追い出すことにした!
「とにかくお前もでてけ!誰もあたしに関わるな!」
無理やり突き飛ばして、ドアを閉めた後に、涙が出てきた……
地獄ってあんまりじゃない?あたしは赤い羽根募金をかかさずしてきたし、
万引きはしなかったよ?
援交だってキモイ親父とか無理だからしなかったし、いいことしかしてないじゃん!
地獄に落ちる理由無いじゃん!
そう思って、悲しくて泣いたら、頭から声が聞こえてくる。
(シクシク、ごめんなさい)
な……何?
あたしが驚くと(私がミリアなの……)
え?ミリア?
(そうなの、何故か貴女に乗っ取られたけど、貴女が泣いたことで、貴女の力が弱まったのか、会話ができたの……さっきまでずっと圧倒されてたから……)
何か頭の中で別の声がするって、物凄い気持ち悪いんだけど、私も聞きたいことがある!
(どういうこと?何があったの?)
(分からないわ、私は辛いことが多すぎて、精神が弱ってたから、それが影響があったのかも……)
(はぁ……でここはどこなの?)
(ここは公爵家よ、私は公爵令嬢のミリアなの……)
あのさぁ……ろくに答えになってないけど、ここ日本じゃないってことだよね?
(日本じゃないってこと?)
(にほんとは何ですか?)
はい……日本じゃない確定、多分ね!このボケが馬鹿じゃない限り!
でこんな変な格好をしてる外国人っているの?そもそも何で日本語通じるの?
意味が分からないー
(ここは天国や地獄じゃないんだよね?)
何か天国にしろ地獄にしろおかしいから聞いてやった!
(私にとっては地獄ですけど、天国でも地獄でもないと思います……)
はぁ……ノリが悪い女だわ、こんなのの声が聞こえるとかうんざりしかせんわ……
(じゃあ何でここにあたしいるのよ!)
(分からないです……)
……意味が分からないわ、何であたしがミリアとかいう女の中に入ってるのよ!
(あのさぁ、分からないだらけであたしが分かるわけないでしょ!何とか説明しなさいよ!)
(そうは言われても、分からないのですごめんなさい……)
はぁー使えない女ー。とはいえ多分不思議なことが起きてるから、分からないのは当然か、あたしのような賢いギャルでも分からないからね!仕方ないね!
(で、なんてあんたは地獄なの?そもそもさっきの髭親父と変な女は、あんたの両親ってこと?)
(……はい、私の父と母です)
あちゃー、それであいつらあたしがおかしくなったって思ったのか、そりゃ中身変わったからそう思うよね!あたしも気づかなかったわ、失敗失敗、まあ知らなかったから仕方ないよね!
(で、何でこんな立派そうな、恰好はダサいけど家に住んでいて何で不幸なのさ)
(……それは愛が無い結婚をしないといけないからです。私は駄目なので王太子様に常に怒られてばかりですから……)
お……王太子?なんだそりゃ、王子みたいなものか?
(王太子って王子ってこと?)
(そうです、王子様の中で次の王様になる方のことを言います)
なるほどなぁ、どうせ次の王だからってことでワガママなんだろ!そういう奴はお仕置きしないとね!
(あたしに任せな、そんな奴はビシッとあたしが何とかしてやるよ!)
こうして困惑するミリアを押しのけて、あたしが城とやらに向かうことになった!
てか、城って面白そうだから楽しみだね!
ミリアに案内されながら城にたどり着くと、うんなんていうか予想よりもしょぼい……
多分古い建物だからなんだろうけど、もっと光り輝く、昔修学旅行で行った金閣城だっけ?そんなのをイメージしてたから…… 確か奈良にあったんだよね!大仏の隣!
まぁいいさ、その馬鹿王子とやらにあたしが説教をしてやるよ!
すると何かカッコつけた相手が現れる、ミリアが言うにはどうやらこいつが王子様らしい。
はん、一発かましてやるか、ギャルは度胸、男は愛嬌よ!
「あんたさぁ、あたしをいじめてるんだって?そういうのださいわよ!」
いきなりかましてやったぜ!どうだ参ったか!
「お前は何を言っているのだ、お前は教養が足らぬ、今日もみっちり勉強をさせてやるから覚悟しろ!」
げ?べ……勉強?そのじんましんが出る言葉は……!
ミリアあんた、こんなにも大きくなってまだ勉強してるの?あたしなんて中学すらまともに行ってないよ?
修学旅行は行ったけどさぁ……
(はい、私はできが悪いので毎日勉強が必要なんです……)
「はぁ?何であたしが勉強しないといけないんだ!お前がしろよ!」
あたしは勉強をしたくないから思わず反論してやった、ざまぁみろ!
「馬鹿者!お前は将来私の妻となるのだ、そんなことでなれると思っているのか!」
「はぁ?じゃあ妻なんかなりたくねぇよふざけるなバーカそんなことも分からないのか頭悪いなー」
こいつ勘違いにもほどがあるんだろー。何で勉強してまでお前みたいなダサい恰好をした奴と結婚しないといけないねん!
もっと男は筋肉と色黒に限るんだぜ!
「な……私の妻になりたくないだと!?」
あれ?こいつ凄いショックを受けてるんだが、ミリアさんさぁどういうことなの?
(私は全部嫌でも従って来たので……一度もそんなこと言えたこと無いんです……)
(あんた馬鹿ぁ?そんなのだからこの馬鹿がつけあがるのよ!)
こうして動揺している馬鹿王子にさらに追撃だ!
「なりたくないに決まってるじゃない、何で勉強までして、ウザいダサいキモイボケと結婚しないといけないんだ、あんた頭ついてないの?考えたことある?」
明らかにあたしの剣幕の前に、馬鹿王子は黙ってしまった……
「むしろあたしと結婚をしたいのなら、もっと死ぬほどあたしのために尽くしなさい!」
「は……はいすみませんでした……」
はぁ?こいつマゾか?たまにそういう男がいるって聞いたことあるけど超ウケるんだけど!
(ねぇミリア、この馬鹿に命令したいことないの?)
(いきなり言われても……)
(いや仕返ししちゃいなよ!今までの恨みを晴らしちゃえ!)
(では教科書全部暗記するように言ってください!)
……恨み強いのかな、教科書全部暗記とか鬼やろwwwww
でも面白そうだから言うことにする。
「結婚して欲しいのなら教科書暗記するくらいの誠意を見せてよね!」
こうして王子のほうが勉強を開始した、あたしは暇なので横から邪魔をしてやった。
王太子はなぜか嬉しそうにしている……なんだこいつきっも!
でもミリアも嬉しそうだったから、少しは良かったと思う。だってこの子かわいそうすぎたからね!
そして毎日のように王子に勉強を強要していたら、ある日王様に呼ばれたのであった。
「ミリアよ、聞いた話では、お前が変わったことで、困ったちゃんだったワシの息子も変わったようだな、感謝するぞ!」
「いや当然っすよ、あたしにかかればこんなものよ!」
やっぱあたしは最強だね、王様だってあたしを認めたじゃないか!
こうしてこの世界はよく分からないけど、あたしとミリアでやりたい放題してやろうと決めたのであった!
完璧だね!




