電話
何故なんだ、こっくりさんに俺は小娘の花粉症の治し方を聞いたのに小娘の好きなやつの名前をこっくりさんは答えた。どうゆう訳なんだ?
「にしても分からない、こっくりさんが間違う訳がないんだがな」
「こっくりさんにだって分からないことはあるのよきっと」
「そうなのか・・」
確かに小娘の言うことにも一理あるのだが、どうしても腑に落ちない。試しにもう一度同じ質問をしてみるか。
「おい、もう一度聞くぞ」
「もう良いわよ!」
「こっくりさん花粉症の治し方を教えてください」
「た、な、か」
やはり同じように答える。どう言うことなんだ。だが同じ答えを答えると言うことはやはり・・
「小娘、お前他にアレルギーがあるんじゃないか?」
「アレルギー?」
「例えば、動物アレルギーとか」
「私は猫アレルギーよ」
「花粉症が酷くなったのはいつからだ?」
「新学期になって席替えしてからだけど・・」
やはり俺の予測で決まりのようだ。
「原因が分かった」
「どういうことよ」
「おそらく田中は、猫を家で飼っているんだろう。それでお前は隣に田中が来て田中についた猫の毛などを吸い込んでいるんだ。だから、こっくりさんは田中としか言わなかったんだよ」
「え?」
「つまり、花粉症の原因は本当に田中なんだよ!」
「嘘よ!!」
これで問題は解決だな。・・・まてよ、と言うことは・・・
「おい、なら俺はお前の鼻詰まりどう治せば良いんだよ」
「知らないわよ!」
「あ!」
小娘は動揺しているのか勢いよくこっくりさんボードを払ってしまった。こいつ呪われても知らないぞ。小娘は田中のことがよほどショックなのか喋らなくなってしまった。
「仕方ない」
俺はおもむろに電話をかけた、静かな部屋にコール音が鳴り響く。
「もしもし」
「もしもし、お宅の小娘を誘拐したものですが、彼女は動物アレルギーがあるようで毎日苦しんでいるようです。早めに病院に連れて行ってあげてください。」
小娘の両親と電話する俺の声を聞いて、小娘がこちらを見上げた。
「何で・・私のために・・」
「まあ、元気でいてもらわなくては誘拐にならないからな」
そうだ、人質は元気でなくては価値がないのだ。
「ですから、娘さんを早めに病院に・・・」
「誘拐ですってぇ!!いやぁぁぁ!!!」
「あ、」
これがこっくりさんの呪いなのか。受話器から聞こえてくる怒号と悲鳴を聞きながら俺が誘拐している身だと言うことを思い出して呆然としていた。