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異世界天下統一物語  作者: シシトゥ
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3話 姫の檄

 青軍せいぐん奇襲部隊は黄軍こうぐん本陣の横の林に到着していた。目の前には奇襲部隊に気付いていない様子の敵本陣。それを見て奇襲部隊の隊長は部下達に指示を出し、そして突撃した。だがその瞬間、黄軍本陣は奇襲部隊とは反対側に動き出したのだ。それと同時になんと黄軍歩兵団の後方予備兵が奇襲部隊に向かって攻めて来たのである。


 「!?。しまった!奇襲が読まれていた!?」


 青軍奇襲部隊隊長は叫んだ。しかし気づいた時には遅かった。交戦範囲に入ってしまっていた。


 「奇襲が来ると分かれば対応は簡単だな。」


 黄軍本陣を指揮している佐義サギは呟いた。一成いっせいは本陣残留組の指揮を任せられた佐義に前線の歩兵後方予備隊に敵が後ろを通り本陣に奇襲するので後方を注視し、敵が見えたら動いてくれと伝令を頼んでいたのである。勿論その奇襲部隊が出てくる場所も予想してだ。


 「これで阿利奈アリナ様達の奇襲が成功してくだされば……。」


 佐義が心配そうに言った。それに対し一成は


 「ここからでは砂塵で良く見えませんからね……。まぁ成功にしろ失敗にしろ狼煙は上がります。……青軍の奇襲失敗の狼煙は既に上がっているようですけどね。」


 そう言うと一成と佐義は林に目線を送った。林の奥からは煙が上がっていた。


 「(もしあの姫様の奇襲部隊の突撃前に狼煙の存在が敵本陣に露見したら、正直ヤバいんだよなぁ)」


 一成はそう思っていた。内心心臓バクバク状態だった。それはそうだ。多分、いや絶対負ければ問答無用で処刑されるからだ。残った者にしてみればこんなに良い敗戦の責任を押し付けられる存在は居ないだろう。もっともそんな甘くも無いだろうが。


 「(軽く逃げる準備もしとこうかな?)」


 そんな事を思っていた矢先、兵の一人が声を上げた。


 「あ、あれは!」


 そう叫び、指を差していた。その場に居た全員がその方向に目を向ける。そこには……


【青軍奇襲部隊が攻める十数分前】


 「見えたぞ!あれが青軍本陣だ!」


 阿利奈は叫んだ。本来奇襲は静かに隠密行動で敵に近づき一気に攻勢をかけるが基本だが、今回は奇襲といってもほぼ正面からの突撃だ。来るわけ無いと思って油断していようが衝突前には必ず気づかれる。ならばと阿利奈は突撃部隊の士気を上げる事を念頭に置いていた。


 「今まで……際どい……そう、すんでの所で何とか紙一重に凌いできたがそれも最早限界だった。だが今回、初めて明確に敵に大きな損害を与えられる機会が来た!この奇襲が成功すれば敵の士気は大きく下がり、逆に我らの士気は大いに増すだろう。そうなれば青軍もおいそれと侵攻は出来なくなる。それがどういう事か貴様ら分かってるな!この突撃奇襲こそが我が黄国こうこくの未来を決めるのだ!」


 一呼吸置き、そして力いっぱい腹の底から檄を飛ばした。


 「一緒に国の英雄になろうぞ!戦友ともよ!」


 「「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォ!!!!」」」」」」


 奇襲部隊の兵達は一斉に叫び、そして……青軍本陣に襲い掛かったのである。

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