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第八話

実は、Sランク以上のダンジョンにはもう一つ注意しておく必要があることがあって、それが、稀に、極稀にだが、モンスター同士が合体するということだ。


 意思疎通が出来ると、そんな事もできるかと感心した思い出がある。


 だいたい、同じくランクのモンスター10体が合体すれば1つランクが上がるといったところか。


 だから、Sランクダンジョンの道中の敵同士で合体してしまったら、もしかしたらSSランクモンスターが現れることがある。


 なので、探索者協会は自分よりもひとつ下のダンジョンまでしか単独踏破を認めていない。


 ひとつ下のランクなら、もし合体しても安全だからな。


 そういう事情があって、今回アワさんはSランクダンジョンにしたんだろう。もし何かあっても自分の力で敵を倒せるように。


『俺頼みだ』って視聴者さんから言われないように。


「ねぇ。星斗君。私、久しぶりにSランクダンジョンに入ったんだけど、こんなに長かったっけ?」


「いやぁ…自分もBランクダンジョンとかでボケーっとしてたんでわかんないですね…」


 なんと。Fランクダンジョンなら平均10階層だが、Sランクダンジョンは最低でも40階層はあるらしい。


 そして、今回俺たちが行っているダンジョンはなんと脅威の47階層。


 ……これ、今日中に帰れるか?


 ………俺が本気出して一瞬で終わらせるかぁ…。


「ねぇ?本気出して一瞬で終わらせるとか考えたら駄目だからね?」


「……アッハイ」


『これ絶対考えてたやつだろ』

『まぁその気持ちも分からなくはない』

『ってかBランクダンジョンでボケっとするってのがパワーワードすぎて…』

『それ。普通ならBランクダンジョンでもしんどいのに。』


「まぁいいや。気長に行こ?時間は、あるでしょ?」


 ……このまま行ったら明日帰って、明後日デートってことですか?辞めて!休みがなくなる!


「まぁはい。」


 おい口!勝手なことをほざくんじゃねぇ!


『コラボ長くなるってことか…俺得じゃね?』 

『僕得でもある』

『私得でもある』

『ワイ得でもある』

『アタシ得でもある』

『おら得でもある』

『アタイ得でもある』

『ここのチャット欄一人称おおすぎて草』


 なんてチャット欄の仲の良さを見ながら進んでいたのだが、おーい?アワ様?ゆっくりって言ったの誰でしたっけ?


 俺が知る限りの過去最高スピードで進んでいってますけど。


『アワ…様?』

『ゆっくり行くんじゃ?』

『ゆっくり()』

『ゆっくりの定義が問われる』

『え?ゆっくり実況?』

『いやそれ別なw』


「おーいアワ様?ゆっくりってどこいったんですか?」


 と、聞くと、アワ様は顔を赤らめながら、ぽつりと一言。


「……恥ずかしいから」


「え?今なんて?」


「だから!よく考えたら、一日お風呂にはいらずに星斗君と過ごすのは私が恥ずかしいの!」


『草www』

『草www』

『乙女心ってやつ?』

『かわいい()』

『これはかわよい』


「別に気にしないですけどねぇ…」


「私が気にするの!」


『星斗、乙女心を分かれ…』

『女子は気にするもんなんだよ』

『汗の匂いって意外とあれだしな…』

『まぁ気持ちはわかる』


「そうですか?じゃあ殲滅します?」


「うん……今日は早く終わるかもだけど、またコラボしようね!?ダンジョン外で」


「え…?まぁ考えます」


『星斗が殲滅します?っていうと怖い』

『それな』

『ってかこいつらなんでSランクダンジョンで雑談してんだ』

『これがSSSランクの特権…?』

『しれっと強いよなぁ…』


 で、もう容赦なく敵を倒していってるから早い早い。1時間で20階層も踏破できた。


 ……あれ?これやっぱり普通にやっても一日もかからねぇ気がするんだが。


「……アワ様。」


「あ、やっぱ時間あるんじゃね?とか知らないからね?もっと衛生的にいいところじゃないと星斗君に私のみりょ……な、なんもないから!!」


 ……だから、さっきから俺の心の中読んでくるのやめてください。え?なに?俺の知らない、『心理探知』スキルとかあんの?


 いやないよね!?だって俺知らないもん!


『もうこれほぼ告白だろ』

『二人目…?』

『また星斗は俺たちを置いていくのか…』

『もうやめてくれぇ!(てぇてえからオッケーです)』

『もうオフの配信したら?(投げやり)』


「……え?告白ってなに?」


『鈍感主人公決め込むんだぁ…』

『難聴系男子ですか?』

『羨まじぃ……』


「聞いてないならいいですから!!それよりほら!行こう行こう?」


「……は、はい。」


 果たして何を言っているのかは分からなかったが、なんか気合が入ったアワ様と一緒に、あれよあれよという間にボスまで辿り着いたのだった。


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