いじめられっ子のおれが、朝目覚めたら世界を創造するよう命じられました。
「はは!あいつまだ学校来てやがる!」
「ほんっとすげえぇよな!」
あいつらがまたおれを見て笑っている。もうこんなことには慣れた。
江東区の小さなアパートで独り暮らしをする橘夏樹は、どこにでもいる普通の高校生だ。岩手県に住んでいたが、都会暮らしに憧れて中学卒業とともに東京にやってきた。
高校に無事入学したのはいいものの、口数のすくないおれを都合よく思ったのか、クラスのヤンキー集団から嫌がらせを受けている。
「ふうぅ、今日もあいつらに絡まれたな。めんどくせぇ」
家に帰宅してから、愚痴をこぼしながらご飯を食べ、風呂に入り、ベットに潜り込む。
「明日も学校か、めんどくせぇな。」
そんなことを言いながら眠りにつく。さいきんは「めんどくせぇ」が口癖になってしまった。
「ん…んんん…」
日差しを感じ起きようとしたその時
「おはようございますっ!創造神様!!」
見た目は小学生くらいの、黒色のおかっぱの女の子がおれの顔をのぞきこんでそう言ってきた。
「……、は??」
「きゃははっ」
「ん、えっと、聞きたいことがいくつかあるんだけど。きみはー…、だれ??」
「あっ、わたしはねっ!メルだよっ!メルっていうのっ!」
かわいらしくにこにこしながらそう言う。
「そ、そうか。わかった、それじゃあメル、さっきおれを何て呼んだ?」
「創造神様!!」
「創造神…??」
「そうだよっ!夏樹は創造神に選ばれたのっ!」
「選ばれたって…」
「ほらほらっ、そんなこと気にしてないで、これっ」
そういってメルは手を一度、パンッとたたいた。
すると、瞬く間にバランスボールくらいの大きさの地球儀がポワンッと現れた。
「え、なにそれ…。地球儀…?」
「そうだよっ、地球儀だよっ!だけどねっ、ただの地球儀じゃなくてね、これがいまの地球そのものなの!」
メルの言っていることがいまいちわからず、混乱が隠せない。
「今の地球そのもの?」
「そうっ!そのものっ!!この地球儀を所有するっていうのは、地球を所有しているのと同じことなのっ!」
「ちょっと意味がわからないんだけど…」
「もぉ、とりあえずそこのぞいてみなってっ」
そういってメルがある箇所を指さす。
その箇所に目をやると、日本の形をした島がある。
「もしかして、これ日本?」
「ご名答っ!我らが日本ですっ!そこをもっとよぉくのぞいてみなぁ?」
「う、うん」
いわれるがまま、日本をのぞきこむ。
すると信じられないものが目に入る。
自分の過ごす日本がそこにはあったのだ。
高くそびえる東京スカイツリー。富士山。
どれも本物そっくりだ。
「すげぇ、これ本物?」
「だから本物だって言ってるでしょぉ。信じられないならほら、これ。」
そういってメルは小石を差し出してきた。
「小石?これは?」
「まぁまぁ、それをー、そうだなぁ、北海道ら辺に落としてみてー?」
「あ、あぁ」
メルに言われた通り、二、三粒の小石を北海道の所に落としてみる。
「……。なにもおきないぞ?」
「テレビつけてみなーっ?」
メルはにやにやしながらそう言う。
「あ、あぁ」
意図は分からなかったが、とりあえテレビをつけてみる。
すると、とても焦った様子のアナウンサーがなにかを伝えているみたいだ。
「たった今、北海道にて突然の隕石が確認されました!!いまから2分後には地上に激突する模様です!!北海道にお住みの方々!!いますぐ避難を!!!」
そうして映し出された映像には、北海道のあたりに落下していく巨大な隕石が二つ確認された。
「え、え、え…この隕石ってさっきの…??」
「あったりっ!」
「まてまてまて!だめだって!!こんなん人が死にまくるじゃないか!!」
「まぁ、そうだねぇ」
「いや!そうだねぇって!これを今すぐ止めろよ!!」
「いや止めろって言われてもねぇ」
「ふざけるなよ!!」
「いやいや、だから時間戻すとか、地形を創造するとかして人間も生き返らせればいいんだよ」
メルはヘラヘラしながらそう言う
「…へ??」
メルの言っていることがさっぱりわからず聞き返す
「だから夏樹。あなたはもう創造神なのよ??」
「な、なるほど…」
この時のおれの中ではこんなことが考えられていた。
この力を使えば、おれに嫌がらせしてきたやつらに仕返しできる。
「なあ、メル」
「なんですー?」
「この地球にすむ人間もすべておれの思うがままなんだよな?」
「あ、はいっ!そうですともっ!あ、でも…」
「わかった」
自分の目的を果たしたいことで頭がいっぱいのおれは、メルの話を最後まで聞かずに行動を起こした。
おれの考えたことはこうだ。
自分の高校の場所に指を突き刺し、おれの嫌いなやつをこっぱみじんにする。
それだけだ。
「べつに余分に破壊したところはこの能力で直せばいい話だ」
このときのおれは考えが浅はかだった。
おれは思い切り自分の人差し指を、東京の部分に突き刺す。
そのとき、自分の真上からものすごい音がなった。
だんだん音は近づいてきて、大きな衝撃を感じた。
ここでおれは死んだ
「まったくー、創造神になったからって、死なないわけじゃないんだからぁ」
こうしてメルは、新たな創造神のもとへと飛んで行く。
「おはようございます!創造神様!!」
良い作品を書くために、短編小説を主に投稿していきます。
よろしければ、評価、感想、ブックマークなどしていただけると執筆活動の励みになりますのでよろしくお願いいたします。