第九話 きのこ講義
衛生兵の長は大きな犬の獣人、生成り色のモッフモフって。何犬だろう?
勉強会らしく、机が整然と並ぶも銀の食器はない。
セリは貴族の食事風景を思い出しているようだが、実際の部屋では、ノートと本が積まれている。
前に出て説明するグスタフが遠くに見える位置で、ひっそり座る。
セリは着席していた。椅子は大人用、体格の良い獣人向けで
高い。
そのため、ロードが座りその上にセリが居ることで高さを得ていた。
時間ギリギリで、こっそりと来たので
視線はもらったものの静かに話が始まる。
セリは浮いている。足の事ではなく、子供がいることではなく
ロードが珍しいのだろう。軍関係の行事に参加することは過去なかった。
セリの身長が目立たないのは、小柄な獣人がちらほらいるからだ。
顔見知りの犬獣人、ビクトールもその1人。
「この森で採れるきのこは…」
グスタフに話にある行商人から乾燥されていたため、わかりにくいが
効能や使い方は聞いていた通りだ。
扱ったことはないが、手伝いはした事があるセリ。
その時、状態異常を治す薬をきのこで作っていたのを記憶している。
そのまま食べてはいけないとも教えられながら
どこに生えているか、似た危険なきのこ。
採るときの注意点、不思議なきのこの話。
ノートに書き留める比較的細身の獣人たち。
衛生兵の長は大きな犬の獣人、4部隊の隊長は生成り色のモッフモフだ。
「木に生える意外にもあるが、知っているか?」
グスタフの問いかけにざわめく中で
「魔物に生えるきのこってある?」
セリは、ロードに聞く小声でも視線を集めた。
グスタフも周囲の反応で、セリにたどり着く。
「セリ、知っているか?」
頷きで肯定し、「猪型の魔物の体から生えてたのを見た。」
答えると騒めきが起こった。
「そうだ。ついた胞子から魔物の魔力を吸って大きくなる。魔物は弱ってそのまま死ぬ。」
狩人のおっちゃんから後で聞いたところ、
「近づくと胞子がついて、風邪ひきや老人子供についてしまうと生えてしまうから。
家に帰ったら胞子を払うことと、弱っていた場合は魔力の補給で
萎れさせるって。」
「聞いたこともない」
「何だそれは」「それは危険では?」
ザワザワと言葉が続く
「そのキノコの利用方法は知っているか?」
グスタフの質問で静かになった。
「魔力過剰症の薬に使うって聞いた。」
商人に聞いた話で、なかなか見つからない素材なので欲しい!と言われたが。
『危険な胞子のきのこに子供を近づけさせるな!』
と側にいた大人に怒られてたなあ。
「採取法は吸わないことと、胞子を払うマントとか防護のゴーグルが必要。」
“そんなの持って森の中は歩かないけど。”とまでは言わなかった。
「確かに、そのきのこが使われていたが、今は薬草が主流だな。」
次に出されたきのこを見る
「食用だ。
魔物の多い巣の近くにあり、その魔物の数で含まれる魔力が違ってくる。
魔物の巣の規模、その目安になるきのことして研究され…」
グスタフの低い声が眠気を誘うが、最後まで講義を聞き終えたのだった。
まだ、機能に慣れていない事が発覚。
誤字情報ってこいいう事?!ってなってます。直すまでにもう少しご容赦を。




