第六話 突撃
「セリとあそぶんだ!」
「駄目だ。」
獅子獣人の体格の良さでも、アレンは9歳だったか
ロードのに片手で抑えられている。
それに頭突きのように抵抗しているけど
「遊んでる?」
止めようと近づいたセリは、邪魔にならないか心配になった。
「セリぃ〜あそぼ!」
狙いをうつすアレンの足がひょいっと浮かんだ。
ロードが抱えたらしい。
確かに懐かれてはいるけど、アレンは大体距離が近い。
他の子にもそうだし、力が有り余って相手を探している節がある。
だいたいここで遊んでいるから、家族が医療棟で治療を受けているのだろう。
本人は元気に見える。
「俺の番にべったりするな。」
ロードが大人気ない気もするが、獣人としては真っ当な意見で
柔らかい対応に入るらしい。
子供に慣れている感じの捕まえ方には見えないけど。
「つがいだと、あそんじゃダメ?
じゃ、やめちゃえば!」
ヒュウっ
冷気が発生した。
(これは不味そう。)ロードの雰囲気が変わった。
「凍ったな」カナンが止められる位置まで来た。
意味はわかっていないと思われるから話してみる。
「アレン。番でも遊べるけど、私は休憩中なの。」
「そっか。じゃ、また来いよ?約束だぞ!」
寒かったのも忘れて、遊びの輪に戻って行った。
(単純。)見送った後、
セリは、残されたロードをぽんぽんと触る。
番について知らないか。(私だってよく知らないけど)
この静かな怒りは、落ち着けて欲しい。
9歳か。アレンの言動が幼い気はする。
ただやめれば遊べると言葉が繋がっただけで、深い意味はない気がする。
元気で良いけど、私の腕力では少々振り回されるので
しばらくは無理かなあ。
身体強化ができればなんとか遊びに付き合えるか?
外へ行ってきたため、休む事を言い渡されているけど。
「部屋に戻ろう?」
ロードの様子を見たいし、今日は部屋に戻るか。
頷いたのを確認したので、兎獣人のリリンに帰ると告げに行った。
カナンは見るに留めていたが
「ここの番への認識ってどーなってんだ?」
と呟く。その声が少し低い気がしたのだが
それを感じさせない様子で、護衛として2人の後をついていくだけだった。
ギュウウ
部屋で抱きしめられているのはロード。
(これは長いな)
覚悟したセリは、お茶を淹れるのを諦めた。
ときたま、ナデナデと背を撫で落ち着かせ、宥める。
小さい子が癇癪を起こした前後の感じだ。
対応もそれに近いものになっている。
“とにかく拒否されなければ、一緒にいる。”
感情が爆発した後で、やけになって外に出られるのが一番最悪だ。
雪の中、暗い森に探しに行くのはこっちも危ない。
見つけるまでシスター達が青い顔なのも不安が増した。
結局、洞窟に居たのを見つけ出した後は、慌ただしく温める手当てと説教が響いたものだ、
行動力があるのも困りものだ。
それなら家屋内で発散する方が数段マシ。
ロードは暴れていないのでその分、大人だろう。
「甘えたいだけじゃね?」
カナンが言うと、そちらへ小物が飛んでいった。
気持ちは復活したようだけど、解放されるのはもう少し後で
シュルトが昼食の材料を持ってきてくれた時だった。




