出発の見送り
城の門が見える。
兵士の駐屯所のような場所で火にあたっている2人を、遠巻きに門を守る兵士が気にしている。
その様子など関係なしに、セリはウキウキとしながら、
ロードと一緒に待っていた。
雪、門の外。お出かけ。
いつもの食糧調達を、誰かと行くのも楽しみ。
体力がないのはわかっているので、気合でカバーだ。
そんな呑気で脳筋な考えではあるが
ロードは、ご満悦そうにセリを見守っている。
そこに、グスタフとシュルトが会話をしながら。その後ろに
キース。見慣れない服装のカナンが騎士然と後ろに付いている。
おーいと言った風にセリが手を振ると
シュルトとグスタフが応えてくれた。
「じゃ、行こうか。」
キースの声に、ずらっと並んだ兵の面々はザッと動いた。
ビクッと驚いたセリは、戸惑い雰囲気にのまれている。
そんなセリをロードが軽々と、片手で抱き上げた。
平然と進むキース達の後ろから、のんびり作られた道を通って行くのだった。
「お見送りがすごかった。」
まだロードに無意識にしがみついているセリには、初の経験だ。獣人の兵士が勢揃いで物々しいのか、やはり威圧的だったのか。
頭を軽く下げて視線は合わないものの、勢揃いの兵士達は厳つい。
体格の良い者達の“揃いの装備”は威圧感満載だ。
門前に隊が結集したと言っても良い様相だったが、あれでも一部だ。
警備以外の兵、内部の演習中止で集結させられた。
ある贅肉の下心アリな命令。
セリが驚いたのは仕方がないだろう。
「慣れだな。」
キースとロードも慣れていた。
シュルトはスルーした。商人は度胸だ。
カナンは居心地悪いものの、顔にも態度にも出さない。
尻尾は出ているが。
変な緊張でガチガチなセリを宥め、予定通り門を出た。
まだ暗い森の方角。
影は4人に見えた。
…というのも…
「じゃ、手筈通りに」
おぶられたキース。セリは降りないまま。
ーダッシュ!!!
護衛で両手の開けるカナンと魔導具でシュルト。
グスタフとロードが、輸送係。
速い。
「さっぶぅ。」と言ったのはキース
セリは大事に包まれていた。
(外、見えない)と思うも、ヌクヌクなのはイイ。
スピード感も楽しんでいた。
大変なのは、カナンとシュルトで。
あの盛大なお見送りに、気疲れしていたのだった。
「あれは、わっかりやすぅだった。」
「どこの隊がいたの?」
魔導具、付与された足下の装備
「贅肉とあの辺の門を守ってた兵士
あの後は演習ってことにしたんだろ。派手好きだよなー」
あんなのアピールでしかない。
まあ危険はないが。セリちゃんはビックリしてたな。
会話ができる余裕?を持ちつつ開けた道を進む。
「そろそろ、森に入るぞ」
「じゃ。降りる。」
グスタフに、キースが言う。
セリも降ろされた。その後は、ロードが甲斐甲斐しい
シュルトは息を整え、カナンは周囲を警戒して護衛の役割を全うする。
「この先にある、目印の木その周辺から捜索したい。」
セリは気合を入れて、木の上にのぼった。
「え、そこ?」
カナンの驚きに、シュルトは納得を示した。
「まあ、木の上からのが襲撃に合わないカシラ?」
ひょいひょいと動くセリには、安定感がある。
さりげなく、水魔法で足場も作っている。成長を見せた。
ロードは下から見守るようだ。
森を進んで行った。
ザクザクとした雪の感触。
音を吸収するのか
動きが良いのか




