決行日[装備編]
全体的に白い。そしてモコモコする。
「サイズは合っているのだけどネエ」
セリの装備はシュルトの言う通り、動きやすさが違う。保温や水を弾くためグショ濡れの心配もない、そして軽い!
フードを被れば全体的に「雪ん子?」だ。カナンの言いように頷く面々。
素早く動いてもぽてぽて歩きに見え、転けそうでバランスが心配。
足元にも毛皮が巻いてある膝下までのブーツ。
屈んで丸まれば、雪に紛れそうだ。「というか雪玉。」
隠れて、魔物の気を引かないように隠匿効果を狙っている。
「まあロードが危険な目に遭わせることはないか。」
安心なセキュリティのロードだ。
ほとんど白いアイテムの中で、唯一の色は、翠色の首巻きでロードの色。守護の付与と居場所がわかるようになっている。
もちろん、色も機能もロードの希望だ。
そんなロード自身の装備は
革の鎧と、毛皮のアイテムも身につけているが、少し軽装に見える。実際金属系の鎧がないので、重々しさはなかった。
荷物持ち要員であり、狩った獲物も入る収納鞄。
準備した商人のシュルトも同行する。今回は寒さの対策を多くしている。
温石やお湯に出る魔道具。軽さを重視した。防具がないように見えるが、付与の服は衝撃に強い。
遅れないよう付いていくため、移動しやすい格好でマントで風を防ぐ。
キースも似た装備だが、もっと高級で銀色の刺繍が美しい。
本人の色もあって神々しさが増す。が…
「ぶっ放せるよ?」
手持ちのルビー色の大きな魔石がハマる杖。ここで殴れると見せているが、もちろん高級品だ。丈夫な凶器は封印して欲しい。
キースの使う最大火力の魔法は、災害級だと聞く。
「森が燃えるって。」
カナンがつっこむが微笑で応えるだけのキース。怖い。
そんなカナンは全体的に茶色い。上に騎士のコートを着用するので雰囲気が変わるらしい。今回は、護衛で盾の役目になる。
獣人の体力とスピードがあるため、重装備でも置いてかれないだろう。
グスタフは狩人の格好だ。
毛皮が多用された姿は、似合う。
長身に毛皮のマントギロりと目が鋭い。獲物は大きな弓矢とショートソード。「森には慣れている。」頭脳だけでなく行動派な教授だった。
全員の装備を点検し終わり、
統一感はないが、バランスの良いパーティの出来上がりだった。
役割分担として、案内はグスタフ。
ロードが魔物を狩るが、セリの護衛でもあるため
「片手でやる」そうだ。
本当にやるみたいだ。そして十分やれる。
カナンやシュルトは、キースの護衛優先。
「移動の問題は、とても効率的な方法を思いついている。」
スピード違反な速度で移動することになっている。
それそれの表情から、セリは疑問符を浮かべた。
「その移動で、一番キツいのは誰だろーなー。」
苦笑いのカナンの予想は
人族のシュルトか、重装備の自分。キースも体力が心配だが?
グスタフは慣れた森、ロードの体力では問題ない。
ここで、セリは除外な理由は、当日に知る事になるだろう。
「工程は、隊の演習でも利用している道。そこから森へと分け入り採取を行う。奥にある川周辺でも探したい。」
キースの説明から、グスタフが言い添える。
「最初は整備もできている道で、木々もない。」
「雪もあるがそれ程、難儀しないだろうな」カナンは通った事があるらしい。
「ヘェ。森へ伸びている道ネ」
シュルトは初めてらしい。方角が森への道なら用事がない一般人には縁がないが、演習で兵が整備していた。
森の奥には魔物が隠れ、襲われる可能性も出てくるが
「気になると感じた場所は見てみようね?」
キースの言い分は、面白いものが見つかるメンバーだと予見していたのだった。




