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捕虜少女の行く先は、番(つがい)の腕の中?  作者: BBやっこ
第二幕 城外
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功績

第一話


襲撃犯が捕まって幾日か経った。

食事に毒を入れた事も、その方法も自白したそうだ。


「処分が決まるには先だけど、居住区域に立ち入ることは禁じられるのは確かね」シュルトからの正確な情報だ。


ロードの部屋で昼には早いティータイム中。

騎士から“協力に感謝する”との言葉を伝えられた。


わたしは、ここの武装していた人達を“兵士”と一括りに考えていたが、「衛士」を基本に、「訓練兵」が配置されている。

北の地薬草の研究と、勉強。極寒の地での訓練が目的。


冬を越える間、魔物などの脅威から、城に守衛が居るのだとか。

ロードに補足してもらった。


(わたしの居た砦では一括りに兵士だった。)


それを、各地域の元締めと決定権があり、許可を出すエルフの議長が纏める。実質のトップに保護されている状況はひとまず安心かな。


「北の地にある植物の研究者の1人がグスタフね。医療の発展を目指し守りも固めているってコト」とここの説明案内を聞いた。


安全で環境も良い事から、セリのイメージは長期の宿泊施設になってしまった。

ここは魔力が多い地、と言うことは魔物も多く住む。

強い魔物の間引きに、ロードが呼ばれたらしい。


「竜人でこの地に来るヤツが他にいなくてな。」

「理由があるの?」


「基本、寒さに弱い。」


“獣人が身体能力が高く、寒さにも強い”と聞いたことがあるけど

種族によるのかな?


「単に寒いのが嫌なんじゃないノ?」


物草(ものぐさ)なのかも。


人間の文化圏にいたセリには、ここの特色も把握できていることは少ない。わしゃわしゃと隣でお座りしていた犬、ではなく狼を撫でる。

暇そうだ。

「洗う?散歩に一緒に行こうか?」


「犬じゃないのヨ?」

カナンと面識があっても、この姿は初らしい。

この狼姿でも護衛で近くにいる。もうそろそろ戻ってしまうので、構いたい気分だ。


それを不服そうなのは、セリを番だと言っているロード。

セリはここで、秘策を試した。


“ほっぺに、ちゅっ!”


としたら、キラキラした目で見られた。

(チョロい)

心配になるちょろさだった。


そんなちょっと愛着の出てきた相手だが、セリの目標は体力を戻して、孤児院に帰る事だ。


それには、ロードの協力を得た方が良いが…まだ決めかねている。

自分が敵国の砦に居たとなれば、どうこの状況が変わってしまうかわからない。


(敵国の地にある孤児院の場所がバレるのも、皆を危うくするのでは?)

どう持って行くのが良いのか。まだ糸口は掴めない。


とにかく12歳、名前はセリで孤児院出身だと言いう情報でここを出る算段を得る事だ。


「わふぅ〜。」

気持ち良さそうな声を出す、狼を撫でる。指に絡み、ほどける毛並みは心地良い。

昔、猟犬と一緒に狩りをしていた人が居て、一緒に居てくれる相棒って憧れる。


飼えない環境だったからこそ、憧れもひとしおだった。

その擬似体験だ。


「やっぱ、夕食後に散歩しに行こう。」

「わふっ」

「俺の行くからな?」


予想通り、ロード追随がある。

「ん。楽しみ。」


「寒いのに。ちゃんとあったかくして行くのヨ?」


付き合いの良い狼、一緒に行動する人に、心配される環境。


その安心感に浸りきってしまいそう。

美味しいものをいっぱい食べて、本を読んで寝るの繰り返しだった。


(体が鈍る。)医師から怪我の完治の診断はされた。


そろそろ体を鍛えて、大森林と呼ばれる森を通り抜けないと。


(帰ってみせる。)

もふもふと目の前の毛並みを楽しみながら、決心を堅くするのだった。


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