(護衛)カナンの回想
2人目です
俺は犬じゃないぞ。
狼獣人は、爪弾き者。
番関係で散々、迷惑かけた一族だからなあ。
犬獣人に溶け込める容姿も、獣人同士なら違和感を持たれる。
オレはほら、フレンドリーだから?余計に怪しまれたりなー。
まあ任務もそんな感じでやってる。
オレ、闇魔法とか風も使えるから。単独行動の能力と魔力は一目置かれてるのよ。
距離も置かれてるけどね〜。
突然、与えられたのが『極北の城に行け』って。
オレって何かやらかしたか??と思ったね。
あそこは、新人を鍛える所で、後は薬草の研究してるんだったと記憶してたから。
問題ある奴も入れるんだよ。
隔絶してる場所で、雪の中を逃げられもしない環境。
魔物も強いやつが稀に居て、一応戦中の敵が潜んでるかも。
人間なんてすぐに見つけられるけどな。
何はともあれ、寒ぃから嫌なんだよ!
詳しい理由は、飲んでる薬の素材があそこにあってね。作ってる研究者がいる筈。魔力も必要な特別製の薬は、オレの全獣化を抑えるための、な。
獣化自体は、制御できれば大きな武器になる。が、制御できなきゃ喋れもしない不便な姿だ。魔物と間違えられたら、やってらんねえぜ?
部屋に戻る事もできないしなあ。
ひたすら魔力が抜けるのを待つ事しかできない。オレは、魔力が風に乗ってきた日、夜に良くなる。ムズムズするから兆候は分かる。
我慢すれば、戻りづらく長引くんだよなー。
突然なるより、数日我慢のが良いだろ?我慢するしかねえのよ。
まあ暇すると思ったら女の子助けたり、ここでは珍しい人間で。
その子の後をつけ回す仕事をしたり、ハァ。
上からの命令に逆らえない、悲しい身だよな。
オレの立ち位置は元々風変わりっていってもなあ。
まあ、普通の子じゃないね。セリちゃん。あの魔法に、ズンズン前出て行っちゃう性格。
くそ度胸だよアレ。
そのんで?竜人ロードの番。
アイツのせいで、オレここに来る事になったんだよお。
対抗武力ってヤツ。
エルフの議長に、教会の上の方のヤツが居るのになんでーって思わん?
壁になるために前に出て、“逝って来い”状態だわ。
2人とも魔法特化だもんな。よく言えば、前衛?
まー。オレくらいじゃないと、魔力も体力もある竜人を止められもしないから
理解はできるけどー。
セリちゃんの性格によっては、ここ更地になる所だったんだよねえ。割と本気で。
番ができるとトラブルの方も、とてつも無いことにってのが常識だからなー。
ロードに捕まってても、良い子だわあ。
誤算だったのが、オレの狼姿を怖がんないんだよお。
わっしゃわしゃ撫でられるし、散歩に風呂って…。
後ろの番が恐いぞ。
まあ、ペロっと頬を舐めるくらいには気に入ってるよ。
まだ続きますね。先行しているカクヨムの方もどうぞよろしく。




