番外編 水面下の出来事
この番外で第一幕終了です
刺激袋なんて最悪なもの持ち出しやがって!
アレは、後処理も大変なんだぞ?
まあ、本人たちがやるだろうがな。
カナンは多少イラつきながら、医師の手当てを受けていた。
囮に釣られて出てきたのは、新兵だった。
(あ〜、実情を知らずに、いらん正義感振り翳す坊ちゃんたちか。)
戦中と言っても、北に逃げ込んだ一部だけで、人族と友好もあるんだが。
じゃなきゃ人族の商人がいるわけないと思わねーの?
一部、強権勢力が
“人族至上主義”って教義をかざして暴走して、自滅していくんだ。
人族不信が根強い者もいるか。いや、コイツらは聞いた事をそのまま信じたダケ。
(弱いとこに行くってのが世の常かね?)
セリちゃんは、落ち着いてる。
それを横目に、治療の薬に気づき不味いと思った。
「ちょっと待て!戻っちまうからっ」
使ってる薬と合わないからって治療を進めようとする医師に待ったをかける。
「オレのこれ、体質なんだって。」
魔力が多くてさ。魔法はそんな使えないないのに。
「薬の調合してもらって抑えてんの。それがなくなったら、な?」
たしかに刺激袋のせいで、鼻の違和感すげえけど。
医師は治療を止める気がないようだ。
まったくさーオレ、ちゃんと避けたんだよ?警戒してたが、ひと呼吸しちまった。
『下がれ』って言おうと思ってさ。
セリちゃん全然引っ込んでないじゃねーか!オレが護衛なの!!
ロードも出てくんなっ!
セリちゃんは大丈夫か?って心配の間もなく
《《水魔法》》!なんちゅー方法で…
あれ、下手すると死ぬんだけど?
貴族の暗殺方法であったりする声がでねーし、目撃もない手段。
濡れた紙と呼吸困難で、暗殺完了ってな
(え、そう言う訓練うけたの?)
こっわ!
ちょっとお、やりきって満足そうなんだよお。
それに、オレは見たからな?
関係ないような顔しているが、《《氷魔法》》。
濡れた口元の布を凍らせたら、呼吸もできねー!上に剥がれね〜。
そして冷たい。足元も凍って逃走防止か。
流石の竜人だな。
上司に当たる兵から尋問受けている奴らを見る。
襲撃者だけどさ、ひでえ目にあったな?まあ自業自得だわ。
そんなオレは、現在ロードと睨み合ってる。
狼だってばれてー
……怖がられると思ったのに
前に、セリちゃん助けたけど、でっかい狼だよ?牙も魔力も大きくてさ、
怖がろうよ〜。
(心配で目が離せないなあ)
ペロっと舐めちゃお
(ヒッ?!)
つべてぇ殺気向けんじゃねーよ〜、ビビったわ。
んで、睨み合い。セリちゃんにわしゃわしゃ撫でられながら、ね。
男達が連れてこられて叫んでいる。
「人間のガキひとりに!振り回されるなんて」
(おー、なんかうっせえな)
ーーー
セリが抱きついてる狼を観察していると、煩い声に威圧をかけた。
「襲撃してきた奴はきっちり締めといたが。まだ、足りないか?」
若い男達は黙った。
やり取りに、セリは気にしてないみたいだな。
狼の方が気に入ったか
セリに擦り寄りやがって。
俺の番に尻尾を振ている
(…尻尾の毛を刈ってやろうか?)
てめっ!勝手にセリのほっぺを舐めてんじゃねーよ
カチコチに凍らせんぞ!
ん?まだ若い奴が生意気いってるな。うっせーな。口に氷でも突っ込むか。やめろって?議長か。
セリが気にもとめてないからどーでもいいな。
それより、狼だ。
魔力が多いし、全獣化か。
珍しいな。魔力と適正や条件がいるんだったな?
感情がスイッチになることが多いらしいが、
魔力が多いせいか。
魔術師並だな。使い方は効率悪いみてーだが。
敵ではないな、今んとこ。戦ったら手こずるか?
そんなことを考えていたら、俺の番がこっち見て言う。
「飼いたい」と言ってきたセリの上目遣いな姿は可愛いが。
…番の願いと言えど、容易に頷けなかった。
長らく、第一幕の投稿にお付き合いいただきありがとうございます。
やっと終了!次は順次(カクヨム様先行ですが)、投稿していきます。
読んでいただけると嬉しいです。




