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捕虜少女の行く先は、番(つがい)の腕の中?  作者: BBやっこ
第一幕 極北の城
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第36話 投網

「お、ま、たせ!」

カナンが食事を持ってきてくれた。


野菜のスープ

パンと肉は多め。


手の大きさも違えば、ひと口のサイズも違う。

身体つきも体力がある者向け。


子供には驚きの量。


見た目に驚くも、怯まずセリはしっかり咀嚼して味わう。

繊細さよりじっくり味が染みた、胃袋を満足させる食事。


砦にいた頃は野菜のクズを掻き集めて、量を増やしたなあ。

間違ってもこんなに盛れない。


(お肉、美味しい!)


「味濃いから、水飲んどけ。」

ロードが持ったコップから水を飲む。


ちまちまと、食べる姿に…


(齧歯類っぽい)

前に座って食べているカナンは思った。

ついでにロードの方から睨まれた。


“見てんじゃねえ”だろうか。

野郎で見つめ合う趣味も、隠しメッセージをやり取りする気はない。

「果物、貰って帰ろっか?」


セリちゃんに話しかけ、視線を打ち切った。


果物や保存食は支給があり、決まった場所で受け取れるらしい。

その量は制限があるが、この城から出られない期間には楽しみの補給だ。


「食べたい」

ボリュームと味の濃さに、デザートは魅力的なので快諾した。

早々にお腹いっぱい宣言をしたセリは、ロードがすぐに食べ終わる様を目の前で見ていた。


(はやっ)


味わってるか?足りるのかと思うも、

部屋に戻れば保存食もあるので結局、聞かなかった。


用が終わったと帰るところで、トラブルが舞い込む。


「ソイツを追い出せ!」


「子供をか?」

カナンが前に立つ。


ロードは周囲の警戒をする。どう動くかわからない。


「ソイツのせいだ!過去に食事に毒なんて入れられなかった。

お前がやったのか!?」


料理人の格好をした男が叫ぶ内容は、飛躍しすぎだ。


セリは調理場には行っていない。シュルトの証言と他の料理人も見ていないと答えている。


自分の食事に入れるのも無理で、毒の入手もわからない

所持するのも難しい立場だ。


無理がある

言い掛かりなのだが


(どれほどのヒトに、そう思われているか?)


止める?

窘める?


咎めるか。


その反応で判断しようとセリは観察をする

(伺っているだけかな)


数人の料理人は、止めにはいっているものの

言葉をかけてはこない


(意外と穏健だ)

言葉だけで責める。


不安を子供にぶつけるのは、大人としては情けないが

セリは、そう反感は持たなかった。


それを感じてかロードも大人しい。



ここで一番、カナンが緊張している。護衛としてロードを止めなきゃいけない立場だからだ。


(何もしてくれるな〜、無事でいたいだろ!)

相手の状態に気を揉む。


目当ての犯人はいなかったか、ここではない場所で見ているのか。


とにかく、報告が行く。


セリは動いた。

たぶんだけど、相手も動く。


機会を相手が、望んでいる気がするからだった。

餌は撒いた、投げた網に引っかかって捕まえる準備はできている。



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