18-景色
外に出たら、うっすら日が昇っていた。
見慣れた森、見知った森に分け入る。
雪がところどころに残る、静かな森を走った。
あそこには、木の実を隠した事がある洞。
あっちに行ってしばらくすると川だ。
今なら、水が流れているかな?
視線は忙しく、警戒もしている。危険だと言われる森をセリは懐かしく思いながら、進んだ。
「セリちゃん、速いね〜。」
追いかける存在が頼もしい。息を弾ませる事なく、悠々と追いつかれるのは少し悔しかった。これでも慣れた森の中で全力で走ったのだ。
『暗くなる前に帰ってきなサイ』
シュルトの言う通りにするには、急いでいる。そのスピードを後ろでついてくるのは、カナンとロードだ。
「自由にしてよ良い」とロードの許可を得ている。
この辺は、獣人の兵士達が調査済みで魔物も少なくなっている筈だ。寒さに耐え過ごすために、寝ていた魔物もいただろうが食べ物を求めて既に移動しているらしい。
セリが出せるトップスピードで、装備が北の砦にいた頃のボロボロよりよっぽど良いため快適に動けた。
魔物も活動的で、見かけるが襲ってはこなかった。
(ロードが威圧しているんだろうか。)
セリが楽しそうなのが嬉しいため、少し魔力が漏れている。もちろん威嚇もしている。こっちくんな、邪魔すんな。である。
それ故に、魔物の脅威はない。
「オレはロードのが怖いぞお」
カナンは護衛に付いてきたものの楽だったし、久しぶりの散歩もいいもんだと思う。2人の最強がいれば問題は全くない森だ。
セリの自由に
気ままな散歩
魔物のいたかつての危険な場所。
慣れた地は、楽しい散歩道になって高揚するセリが走っていた。




