第34話 犯人探し
事件のあった後、セリの日常は変わらなかった。
しかし、周囲は違った。
警護が厳重になり、巡回の兵や警備も所々でつくようになった。
セリの場合、元々護衛がつき食事はロードの部屋で、商人が運んでいた。
警戒体制になっても変わらない…
「どう?」
「だいじょーぶ!」
シュルトとカナンの確認が入るようになったか。
「食事ヨ!」
美味しい3食と、甘味が並ぶ。
「凝ったデザートはお預けね〜」
個人での料理は控えるように、監視体制で再び毒物の混入を回避する。
未だ犯人が特定されていない事、子供達に被害がいったのは衝撃だった。
外とは雪で隔離されている『極北の城』。
外部の侵入は考え難く、内部犯と思われる。
家族や友人が危険に晒された。過敏になるのは仕方がなく、今度は命に関わる毒かもしれない。
生活する人々は、疑心暗鬼だ。
その上、犯人の目星もつかず進展がない。
手掛かりがないのだ。
人族のセリだけならこれ程の混乱や戸惑いは、なかったかもしれない。
セリが犯人では?と言い出す輩は、シュルトの証言で掻き消えるものの
猜疑の眼はあった。
突然現れた余所者
怪しい子供
竜人の番であることも、警戒の対象だ。
番は憧れであると同時に、それまでの自分と豹変する切っ掛けにになりかねない。
本能で欲するが、解けない呪縛だ。
セリ自身は、そんな周囲の状況を見ながら行動することを考えていた。
犯人を炙り出すために。
囮になる心算だった。
しかしそのまま言えば、
過保護なロードと護衛であるカナンや、
世話を焼いてくれるシュルトを説得はできない。
ので、
“食堂の食事に、興味ある。”
と話をして部屋から出ることに成功した。
メンバーは、
ロードが「量が多いから一緒に食おう。」と通常運転。
カナンは「オレも昼食そこで済ませるわー。もち、護衛もするよ」
気楽に言ってる。
シュルトは別の用事で不参加だ。
「食事の用意は手間ではないカラネ!食堂での食事も美味しいし、
たまには良いんじゃない?」と賛成だった。
警戒体制もあるので、安全だろうと心配は欠片もない。
それより、ロードがトラブルを起こす可能性のが高い。
今回行くのは兵士が多く利用する食堂だ。
一方的に悪くなる事は無いと思うケド
心配だけでセリの行動を止めたくはない。
ただでさえ、囲い込みと目される程の行動範囲だ。
ロードの部屋と、面会の部屋、図書館しか行ってないし
交流も固定されている。
そして必ず、ロードが付く。
セリがストレスに感じている様子はないけど、
この城での生活に変化があっても良いと思うのヨネ。
なんだかんだ、何とかなる気がしているシュルトだった。




