第三十八話 ゾロゾロ
近くの印をつけた場所に着いた。何もないのを確認する。
「ホント、ただの部屋ネ〜。」
シュルトも付き合ってくれるが、目に見えて何かある訳ではない。それは、セリも知っていた。
一応、自身でも探ってみたのだ。
壁を叩いてみたり、水魔法を当ててみたりもした。
特に、精霊ちゃんの反応が違わないか確認しようとしたけど。
疲れて動けないような感じがしたので、セリがウロウロするだけで終わった。
つまり印にある場所は、“セリが気づく変化はない場所”だ。
カナンは入り口で待機。飽きたとも言う。4人が入った部屋は狭いのも確かだった。
ロードとグスタフが揃うと圧迫感が違う。グスタフは慣れた様子で魔法を使っている。薄暗い部屋でも魔力の流れがわかった。
ロードはセリの姿を目で追い、離れそうなら距離を積めた。
(保護者より追跡者ネ)
入り口付近で待っているシュルトが思う。
動きが素早いのも、怪しさを増していた。
この位置なら、何かあっても逃げられる。この中で安全な場所。
グスタフは土魔法で防げる地の利があり、セリにはロードが必ず守る。
ここでもし土が落ちて来て、なす術もなく埋まるのはシュルトだけだ。
カナンは素早く、退路の確保に動くだろう。
「どったの?」
「ン〜。ワタシの守りも強化しないとなーッテ思ったのヨ。」
「ソウ?セリちゃんが気にするから、気をつけているんだけど。」
「アラ、ビップ待遇ネ」
「まあ、セリちゃん優先だけどねー。」
生き埋めになっても助けが来るらしい。ちょっと気分が上がった。
グスタフの行動は採掘だ。土魔法で、鉱石を探すのを眺めるセリはそう結論づけた。
精霊ちゃんの様子を見て、特に変化はない。昨日頑張ってくれたので、しばらくは反応がないんじゃないかとさえ思う。
グスタフと話したが。口数は少なめだったが、酔いはないらしい。
“石の対価は、不用。”
精霊の保護をしたい。相性の良い者への支援は当たり前なんだとか。
セリはお礼になる事を考えて、精霊ちゃんの様子を報告する事。お守りを作る約束をして、返す事になった。
グスタフの研究関連の事になったけど、邪魔にはならないだろう。
撫でられた。
ロードとは違う感じが、なんか照れる。
その後、ロードにしっかり撫でられた。
カナンも参戦して、騒がしくなったけど。髪がボサボサになったのでシュルトがたしなめて終わった。
そんな部屋を出る前の事を思い出していると、グスタフの作業が終わった。
採掘する上での状態を見たらしい。もう1ヶ所も同じように終わり兵士用の食堂へ向かった。
「早いけど飯だー。」
食事自体は、同じものを食べていたが、ここの食堂でははじめてだった。




