第三十話 速決定
洞窟で見つかるものは魔石かもと小石を拾いながら、部屋を制覇する勢いで、巡った。
「魔石、困るか。売れないし。」
「シュルトに渡せそうなもの…食糧か?」
商人としての印象が強い上に、ロードに関しては食事の担当。お土産を考えるのにも、管理してくれている商品の印象が勝った。
「んー、肉は外に出ないと狩れない。」
“セリの悩む姿も可愛い”とロードが眺めながら、決まる気配はない。その様子を見ないフリするカナン。
(オレは、寒い思いをしたくない。)
光が灯る魔導具が点々と使われ、温かい洞窟内。氷魔法の魔力で冷気がくれば寒い。ロードの半分くらい無意識な威圧と共に漏れ出てくる。
セリに気づかれないのと、冷気が向いかないのが流石の技量だ。
ちょうど地図を広げていたカナンの手元をセリが気づき、ーのぞかせてもらうと。赤い印がつけてあった。
「これ何?」
「落盤注意の場所〜。」
土魔法で補強してあるらしいが、近づかないよう北の砦に近い箇所だった。
「氷魔法で解決できる。行きたいなら構わないぞ?」
ロードがいれば問題ないのは確かだが、後始末が面倒だな。多分全部凍らせる。カナンは希望を見ようとセリに向いた。
「用はないね。」
助かった。氷を始末する仕事は、回避だ。
結局、進みながら考える事にした。ドワーフの居住区では兵士達の在留地だ。見た事ある顔もいた。カナンが所属していた、情報部はいない筈だが。
駐屯する兵士が、住めるようになっていた。洞窟内に慣れず、外に行く兵士も居たのだが。概ね平和な生活を送っている様子。
「酒屋?」
「貯蔵の酒を売っている。」
机と、壁をくり抜かれた棚に酒が並ぶ。
元々あった場所で酒は絶対に保存しておくという、規則らしい。
ドワーフの暮らしには、お酒を重要視しているのだろう。
「シュルトへのお土産になる?」
「保存が良い酒、食べ物も買えるよー。」
ちょっと弱いか。食べたいものがあれば、買ってくれるつもりのロードを見ながら再考する。
慌ただしく帰ってきた兵士が通り過ぎた。その後ろからのんびり、大きな声が。
「腑抜けとうな!」
「まあ、そういう年もあるんだろーのお〜」
兵士ではないみたいな独特の声はドワーフ達だった。技術者として来ていたらしい。
「よお。変わった所で会ったなあ!」
セリ達の生活区域は、奥の奥にある部屋だ。
こっちには食堂もあるが、部屋に運んで食事をしていたため会う機会はないと思われた。
「土産?きのこだな!」
洞窟きのこ以外のものを栽培しているらしい。見せてくれる事になり部屋へ案内に立ったのだった。




