第二十七話 側道
「もう、お昼にする?」
空腹を自覚したセリが、お腹を抑える。いつもより早い気がするが聞いてみた。
「昼には早いなあ?」
カナンの言う通りで、頷くロードも同意する。普段なら、軽食を食べているくらいか?
セリが考えていると、ロードの手から素焼きされた木の実をもらった。
カリコリッと音が鳴る。全く抵抗なく食べてる。
(餌付けの構図)
その2人の様子をカナンが眺めていた。
「逆側に行こうか?」
セリの気が済んだので、元々決めていた移動を告げる。
カナンにも木の実をあげながら、歩く。手渡しで貰った木の実を齧りながら、カナンが聞く。
「移動した途中に座れるトコあっから、昼食で良い?」
「うん。」
食べる場所に当たりをつけて置いてくれたらしい。そこまで、気になる所を見ながらのんびり進む事にした。
ロードの否定はない。セリにとって危険と感じた時くらいだ。
「セリ」
ア〜ンと口を開けて木の実を要求されたので、セリの手から食べさせた。
他の人に構うと、度々ロードからの要求がある。
(近過ぎると、構って欲しがるんだな。)
着々とロードの扱いを覚えていく。よく見ていると感情がのった瞳を向けてくるので判断しやすいくもあった。
それをできるのは、番として大事にされているセリ1人なのだが。自身に向けられているモノの比較の経験がないせいで、実感がなかった。
そして道中、気になる場所というのは。
『精霊が反応している気がする』らしい。
「ここは、なーし。」
暗闇を好む、闇の精霊だがあまり広い部屋は反応しない。首から下げられた袋の中には、石と共に精霊が居る。
液体が揺れたかのように、少しの振動を感じた時だけ辺りを探した。
「反応が薄いのって、弱ってるからなの〜?」
「んー、震えて教えてくれるから、一緒にお散歩。」
消え掛けていたとグスタフに言われた、弱った精霊だ。元気がないのも当然といえばそうか。
特に何もない部屋をうろつくセリを見守りながら、暇なのでロードに話しかける。
「意外だったな〜精霊、育てるのオッケーなんだ?」
無口だった頃より、分かるようになった竜人の反応を見る。
基本、面倒なのか会話が弾むということは無い。
こっちから突っかかって、揺さぶってみたいのは任務柄か趣味か?
“竜の尻尾を踏む”、趣味はない筈だ。
気が済んだので戻ってきた。木の実を口に食べながら、移動する。
カナンにもあげた。ここで、ロードにしっかり構うのが重要だと学習していたので手を繋いだのだった。




