第二十四話 探検
「今日は洞窟内のしておきなさいナ」
朝食の後、洞窟を出て森にまで行きたいセリだったが、シュルトの説得を了承した形だ。
「とりあえず、体を動かしたい。」
それが、満たされるにならまだ洞窟内でも良いと思った。まだまだ見ていない部屋なかりなのだ。
「けどさぁ、面白いもんなんてないよお?」
カナンの言った通り、洞窟内は確認済みだ。グスタフも全体を把握している。
「洞窟の中に住居、坑道、保管庫が作られているだけだな。」
これと言った発見もなければ土しかない。鉱石の欠片くらいなら拾えるかもしれないが。
「海の方を見に行きたい!」
「あ〜、管制室かぁ。」
海側から仕掛けを開けて通ってきたものの、セリは通り過ぎただけだ。
岩場のように隠された部屋を見てはいない。
「興味持つようなもんは、なさそー。」
海に出るにも、まだ寒い。装備も揃っていない水の中へ行くのは避けたい。
「管制室を見て、海の水を触る。」
「まあ、目的があるならいっか。」
「すぐ終わりそうだな。」
今いる部屋から、すぐに着く距離だ。
「昼食にするにも早過ぎるわな。」
「じゃあ、坑道の探索して良さそうな脇道を見つけて、食べる。
まあそれでいっかと、出掛ける持ち物を確認する。
「昼食と、お出掛けセット?」
「精霊ちゃんに、収納バッグ。」
セリの装備は、軽い。採掘の真似ができるように、道具を持っていこうかと考えている様子だ。
「持っていく。」
ロードが持って行ってくれるようだ。重い筈の道具を収納バッグに入れてくれた。
セリは、海の水を採取する用の瓶を入れる。他には石を拾って鉱石という可能性を思いつく。それを持ち歩くには?
「鉱石って、どう採るの?」
「あ〜、樽?」
「トロッコに入れて移動させる。」
数個なら、必要無さそうなので木の桶を持っていく事にした。セリのバッグには入らないので、カナンが持つ事になった。
「まあ、持ち物ないからいっか。」
護衛より子守りの意味合いが強いが、まあ嫌ではない。そんな気持ちを自覚しつつセリ用の手拭きをシュルトに手渡されて持ったのだった。
外に出る訳ではないので、服装も軽く動きやすい。
楽しみなのはシュルトが持たせてくれた昼食用の野菜たっぷりパン挟み。シャキシャキ感のあり、塩味が濃くて美味しい筈。
少し手伝ったけど、どうやってシャキシャキのままなのか。なんとかその調理方法を習得しようと決意する。
その練習をするなら、作った物は食べる事になるだろう。その時、ロードもカナンも食べてくれるだろうか?
そう考えながら、シュルトに見送られて部屋を出たのだった。
「行ってくる!」




