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捕虜少女の行く先は、番(つがい)の腕の中?  作者: BBやっこ
第八幕 訪れた北の砦
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第十五話 持ち帰り

グスタフが静かに部屋の隅へ近寄っていった。


闇に慣れた目で、揺らいでいる存在が濃くなる。魔力をあげたのだろう。

(光は、3つだろうか。)


個数として数えるのも、光という表現は変だろうか?

ぼんやりと浮かぶ闇色。グスタフが出した片手に近づいたのが分かった。


「あれが精霊?」

「グスタフがそう判断したなら、そうだろう。」


セリの手のひらくらいの大きさが浮いていた。瞬くような動きは弱々しいのか、そういった存在なのか。


(判断が難しい。)


いきなり近づくのも驚かせるだろう。気になるが待った。

部屋は他に変化もなく、静かだ。他の場所では兵士が巡回に来たりとしていると思うが。ここは外れているのかも。


「良いぞ」

グスタフに呼ばれ、セリとロードが精霊に近づいた。


特に逃げる様子はない、綿毛。触れたらふわふわだろうか。

(ブラックベリー色かな)


いっきに美味しそうな物にしてしまった。

グスタフの指先に乗るようにして、大人しそうだ。


「触っている感覚はある?」


魔法を使っている時のような、光の源を触っている格好だ。

「感覚はない。魔力は感じる。」


そっとセリに精霊の乗る指を向ける。

「闇の精霊、魔素不足で光のオーブのようになっている。」


「敵意はないな。」

「ああ、消えそうだ」

ロードが確認して、グスタフが他の2つも寄ってきている。セリは、ふわふわと漂いそうな精霊を両手で受け取る。


「魔力、あげられる?」


「触れていれば、少し魔力を持っていく」


今も、魔力を吸っているらしい?


「体に異変は?」

ロードが心配してセリに確かめる。

「特に?」


魔力の移動さえ、感覚で感じられない。


「精霊は魔力で育つわけじゃない。場の魔素を取り込んでいると考えられている。今は存在が薄れているな。」


「本来の形じゃないのか。」


ふわふわなのは見た目だけらしい。ツンツン突くとちょっと揺れた。


「魔素不足で魔法が使える状態なら、精霊獣になって移動している筈だが。」

「動けてないな。」


動けなくなってしまったのか、出られなかったのか。

「聞いたら答えてくれるかな?」


セリの手に包まれているような精霊に視線が向くが、ふわふわ浮いているだけだ。


「意思疎通ができるまで、力が戻ればな。」

「どれくらいかかるんだ?」


「この様子だと、年単位だな。」


少し明滅する精霊と話せるにはまだ先らしい。


「一緒に居る?」

ふわっと揺れたのは、迷ったのか合意だったのかも。


そっと、服の中に入れてみた。特に出たそうにはしていない?


「そこ、なのか。」

ロードが複雑そうだった。

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