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捕虜少女の行く先は、番(つがい)の腕の中?  作者: BBやっこ
第八幕 訪れた北の砦
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第十三話 会話


「いつから、暗いところでも見えるの?」

「そうだな、洞窟型のダンジョンで何十日間か過ごした時か。薄暗い場所だった。」


「そっか。数日なら近くの洞窟で過ごしたことあったけど。明るかったなあ。」


セリの教会の近くに、水を汲みに行った洞窟の事だろう。ぼんやりと明るい中は狭く、迷うこともない広さだったが。ロードが気になったのは別な事だ。


「洞窟で、何か用があったか?」

「ん?野営の訓練だよ」


冒険者になるつもりだったセリが、狩りで外に出る前に練習のため洞窟で過ごした日々があった。


教会で食事が出るという楽なものだったが、やはり寒かった記憶が残っている。ロクな装備がないせいでもあったが。お金を使うのには食糧が優先、孤児院はだいたい金欠だ。


「ここは、なんだかあったかいね?」

ぽっかり空いた部屋に、温める装置はなさそうだが寒い!とも思わない。


「寒い風や雪を通さない天然の土壁の影響だ。」


グスタフの解説が入った。説明になるとかなりの長文を話してくれる。


シュルトやカナンとは違ったリズムだった。専門家はえて独特なものだろうか。


お喋りは上手くいっている。

グスタフもロード、2人とも会話を続ける印象はなかった。一緒に居てどうなるかとちょっと心配していたセリ。


“専門家はよく話す。専門の話に限る”


そういうものだし、ロードがセリに冷たい態度を取ることはまずない。

子供に気を遣わせることはないだろうと見込んでいた。


暗い小部屋から、狼の耳で声が聞き取れる。カナンは予想通りだなと確認して、護衛のために周辺の様子を見に行った。



お喋りを楽しんだセリは、ロードに飲み物を用意してもらいながら

何が起こるんだろうかと、ワクワクしていた。


これから、飲み物をのんでなるべく起きているつもりだ。暗いので眠くならないか心配した結果。


「コーヒーか。」

グスタフにも渡されたらしい香りは独特だ。炒った豆の煮汁で苦い。今は見えないが黒色らしい。


「ミルクをたっぷり入れてある。」

実はセリが渡されたコーヒーは、ほとんどミルクだ。礼を言って口にする。


「美味しい」

苦味があってもミルクの味が温かく旨い。


「砂糖追加で入れるか?」

ロードは何もなしで飲んでいるらしい


「なしで飲む」

ちょっと大人ぶりたかった。


お菓子も出してもらった、クッキーだがいつものように甘い。


「苦いお菓子ってどれくらい?」

「ほろ苦いくらいにはなっているな。」


グスタフもロードも食べている。お菓子はキースがいっぱい食べている印象が強かった。フルーツパイなどのお菓子も好きらしい。グスタフについて、新しく知れた事だ。


「コーヒーの苦さが好ましい。」


そんなコーヒータイムを過ごしていて。

闇色の綿毛が、部屋の隅で舞い上がったのは見えなかった。

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