第九話 夢の色
(夢だ)
暗い中、頬に何か当たる感触はベッドの上で寝ている感覚。
もこもこのモノと一緒に寝ている夢。
頬に当たる感触が、気持ち良い。
どんな服装か場所かもわからないけど、不安はなかった。
寝ている、夢。
穏やかで暗い、誰も居ない穴ぐらだ。
『セリ』
大丈夫、起こしてくれる人がいる。ここのところ、寝てばかりいるから、何もしていないのが心苦しいけど。
多分怒ってない。
私も怒らないから、ちゃんと話そう?
手を動かす。もこっとした気がする。そのモヤは真っ黒で…
「捕まえた?」
そこで、目が覚めた。
「おはよー」
近くに居たのが、カナンだった。
キョロキョロと、辺りを見回す。
「セリちゃん?」
寝る前に居たのは、グスタフだった。寝てしまったので、ロードがいると思った。けど、カナンだった。
場所は、グスタフと話していた部屋。食事も食べるここで、寝ていた。
「大丈夫〜?まだ眠い?」
「うん。大丈夫。」
想定外のカナンに驚いて、まだ夢かと思っただけ。
「ロードは?」
「グスタフと出かけてるぅ。セリちゃんの寝ているのが、グスタフとロードが入った場所と関係あるんだろうなーって事になてるよ。」
「他の人は違うの?」
なんで2人を限定したんだろう。
「部屋の外に出てて、セリちゃんが寝ちゃう反応したのが2人。」
思い返すとそうだろうか?
「ロードはいつも一緒だから分からない。」
「確かに!キースが外れたのは、何でだろうねえ〜。」
「聞きたい?」
キースが部屋から出て話に参加するようなので、セリが率直に聞いた。
「うん。何で?」
“素直”と、側の2人が共通の感想を持った。キースは、すんなり答えた。
「属性の関係かな?」
「魔法属性だと…」
「ロードが氷で、グスタフは土。」
キースの問いに、セリとカナンが答える形になった。
「キースは、回復?」
「回復とか転移に属性は関係ないんじゃない?」
「まあ?空とか光属性と考える術師もいるけどねえ。」
「え、四属性が基本じゃないっけ?」
一般教養で最初に習うのは、4つの属性だった。
「火、風、土、水?」
セリが答えたが、キースが追加を求める。
「基本として教えるのはそうだね。学術的にはもっと増えるよ?」
「えーと、光と闇と」
「金?」
「え、何それ?」
「木光土金水っていうのも、あるらしい。」
「よく知ってるね?マイナーなやつ。」
「小国出身っていう、東の国出身の人から聞いた。」
「そんなのあんの?」
そのまま3人で、魔法属性やその意味の話になる。その盛り上がりの中、部屋に2人が帰ってきた。




