第六話 視る
今度は寝ていてもセリを起こす事にした。食事をした方が回復も早いだろうか?ほっとくと一日中寝ているのじゃないかというのも心配だ。
「セリちゃーん起きてるぅ?」
ロードに抱っこされているセリは、すでに寝衣である。目もとに手をやり、なんとか起きようとしている様子だ。
「寝てる」
本人はそう判断した。
とにかく眠い。よくわからないけど目を瞑ったらまた寝られる。結構困っていたけど、考えたくもない。
ロードが髪を撫でるのももっとやってほしい。だって気持ちよくねれるんだから。
「どうしたものカシラ?」
そのまま寝かせておくだけでは良くならなそうだ。
「一度、視ようか?どんな感じ?」
「とにかく眠い。」
帰ってきたキースがセリに近づく。
とろりとまなこが、瞼が下がる。
とりあえずソファに座らせた。正確にはロードが座った上だが。
その横、キースが側に座った。
「魔力流すよ?両手出して。」
ゆるりとセリが両手を出す。ロードが背を支え、魔力が巡る感覚を覚えた。
鑑定に近いのか、回復魔法のようなものなのか?
魔法が気になったが、セリの思考はよく回らなかった。
「巡らせてみたけど、滞りはない。」
それは、問題なしという意味。
体が疲れた感じはない。ただ眠りに誘われてしまうのを症状というのか?
セリの身を委ねられたロードがセリの様子を話す。
「寝ているの様子は穏やかだ。」
「疲れだけでこうなるカシラ?」
今までにない様子だ。何か異常の前触れだろうか?
今も寝てしまいそうだ。
「頑張って…起きてる。」
「頑張ってなきゃ寝る訳だ?」
カナンがセリの頬を突き、ロードが抱いたまま避けていた。
ここだけ見れば平和だ。それを見ながら
キースが、シュルトに声をかける。
「シュルトは大丈夫だね?」
「ソウネ、問題ないワ」
「人族のシュルトに問題ないなら、環境のせいは薄いか?」
「他の体調不良を訴えている?」
「兵士にはいないし、食事もまだ食べ慣れているものを出していたのだケド」
「異変を感じないのなら、環境の要因は省いて良いかな?」
「獣人の感じない何かって線も薄いよなあ。」
キースとロードにも、心当たりはない。
「子供だから?」
人族が弱いのもあるが、大人との体力面に差が影響しているとしても。
「まだ部屋から出ていないだろ、外の見えない環境が悪いとか?」
「北の砦に居たんデショ、篭る生活はしたことあるんじゃないカシラ。」
セリはシュルトに丸で合意を示した。ぐったりというほど酷くはないが、怠そうだ。
グスタフはまだだが、夕食を食べることにした。セリが寝落ちしそうだ。




