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捕虜少女の行く先は、番(つがい)の腕の中?  作者: BBやっこ
第一幕 極北の城
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第30話 お茶会

“鉄は熱いうちに打て”

とばかりに、次のお茶会は早かった。


今度は護衛付きでのおとないだった。


(ちょっと安心した。)

貴人に誰も付いていないって異常事態だと思うんだけど。


文句も言えないんだろうな立場が。

護衛が追い出されているのをセリは見送った。


カナンはセリの護衛なので残っている。

『目線でお前!何かあったら責任に問うからな?!』って脅されてた。


『お前らこのメンバーで、何があるんだよ。部屋が壊れても傷ひとつねえメンバーだわ。セリちゃん以外。』

とカナンの方は思ってたりする。


(カナンも大変だなあ。)と苦労してそうなやりとりに、

お茶を淹れて労う事にしたセリだった。



以前のように紅茶をボウルに淹れ、甘い物と軽食をシュルトに用意してもらった。


今の時間は昼の少し前。

夕暮れには解散と決め、早速話を始めた。


「決めないと夜中まで居座られるわよ?」

シュルトの意見が採用された。


「これが前に作ったやつ」


セリが出したのは紐を編んだり、石を包むなど装飾的なものだ。

暇なので思い出しながら作ってみた。


「魔術的なマークに似ているものはあるが、効力?」

キースが見ているのは、荷物の目印に使う御守りの類だ。

売り物として、小銭を稼げるので時折り作っていた。


「あー。祝福に似てる?」

「あれは、水も特殊だったな。」


キースとグスタフの話に

「加護があるのが関係ある?」とセリが入り込む。


セリの鑑定結果の内容は、守秘義務があると確認したが

(バレても良いし。)

言っても良いかはロードに確認済みだ。


「運命神と水の魔力か。ありそうかな?」

「他の魔力持ちでも可能性は…」


(神様に魔力属性って関係あるんだなあ)

話を聞いているセリは、当然のようにロードの膝の上だった。


先日の講義では椅子に座っていたのが不満らしい。

体面的に断ったんだが、後が面倒だった。


それで、部屋ではオッケーと押し切られた。


礼儀的にどうなのかと心配していたセリだったが

(気にされていないので、まあいっか。)


気にせず会話を聞き、疑問を挟んだりしている。


話に参加しない、カナンとシュルトは暇で別の話をしていた。


「なんでいんの?あの人(キース)

「ン〜。元々、グスタフとは親交があるワ。セリとは鑑定した関係。」


「なんか探ってる?」

「サア。興味あるだけトカ。」


あり得る。

そして、暇だ。


「セリちゃん、おとなしいよねー眠くならないのかなあ。

あの2人の話、つまんなくない?」


「知識には貪欲デショ。聞いてると思うわヨ。」


確かに、セリちゃんは図書館の利用も多い。


「あの魔力も勉強の成果?」

「ナニ?誰か動いたの?」


「別にぃ。ここは獣人が多いから、まだだな。」

「人族なら?」


「騙りが出そうだな。」


魔力がある子供は人気は出やすい、養父母の申し出とか出そうなもんだが。


「ロードがいるモノ」


力技も権力でも、跳ね除けられるか。

「被害を抑えんのってオレの仕事になんの?」

「そーねぇ。止めるのも仕事じゃないカシラ。」


「めんどくせえ」


顔を合わせる仲だ、ポンポンと言いたい事が出て来た。


「薬は良いの?」

「あー。懐が寂しいんでもうちょい後で。」


「ソウ。残しておくけど、無理しないのよ?」

「へいへい」


世間話もそう長くは持たない。シュルトは

小瓶のジャムをいくつロードに渡そうか考えていた。



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